第59話 私がお姉ちゃんです!


「雪君は私のことをお姉ちゃんって呼ぶこと!」


「「「はっ?」」」


「待て待て、俺は一応同じチームなんだが?」

「あーしは別にいいけど……」

「……ダメよ。雪の姉は私の役目よ」

「いや、時雨は幼馴染だろ」

「幼馴染兼、恋人兼、第二夫人兼、姉よ」

「属性もりすぎぃぃ!」


「今日だけいいじゃないですか! 罰ゲームですよ?」


「……今日だけよ」


「やりました!」


「いや、だから同じチーム……」


「さぁ、雪君! お姉ちゃんと一緒に遊びましょうね♪」


 俺の意見は聞き入れてもらえないらしい……


「わかったよ、お姉ちゃん……」


「んじゃ次はレースゲームでもどう? ちょうどさっき見つけておもしろそうって思ったんだよね!」


「別にいいわよ」

「おまかせしますわ」

「俺もいいよ」


「んじゃ、いこいこー!」


 俺達は愛羅について行くと、レースゲームがある場所にたどり着いた。

 家庭で子供から大人まで遊んでいる雨天堂のレースゲームだ。

 操作するのはコントローラーではなく、座席に座るタイプだが。


「これも罰ゲームありか?」


「もちもち♪」

「当然よね」

「もちろんですよね!」


「……ちなみになんだが、一位が四位に罰ゲームを与えるんだよな?」


「一位が好きな人に罰ゲームを与えましょ」

「そうですね、それがいいと思います!」

「あはは、じゃあそれでいいや」


 時雨と神藤さんがニコニコこちらを見ながら返答している。

 絶対に俺に罰ゲームをするつもりだろ……

 負けられないな……!


 そして俺達はそれぞれ席に着き、お金を投入して、キャラクターを選択した。

 始まる――― 俺達のレースが!

 スタートの合図を告げるカウントが始まった。


「勝ったら今日は海より私を優先して頂戴ね」

「じゃあ、あーしはユッキーに回転寿司でも奢ってもらおうかな?」

「私は雪君の連絡先もらうね!」


「盤外戦術はやめろ!」


 そして、レースが始まった。


「あ、ちょ、ユッキーずるい!」


 俺はスタートダッシュに成功して、みんなを置き去りにし、競馬の大逃げが如く先を行く。何を隠そう、高校や大学時代に友人とちょくちょく遊んだことがあるのだ。悪いが勝たせてもらうぞ!

 俺はアイテムを拾いながらコインを集め、どんどんみんなを引き離していく。


「ちょ、雪! 止まりなさいな!」

「そうだよ雪君! お姉ちゃんに勝ちを譲って!」

「ユッキー速度違反! 罰金払ってもらうから止まって!」


「止まるわけねぇんだよなぁ! 俺が勝って敗者に罰ゲームを与えるぜ!」


「へぇー? ユッキーは誰に何をさせるの?」

「雪君はお姉ちゃんに何してもらいたいのかな?」

「雪! 今日は雪が好きなプレイをしてあげるから譲って頂戴!」

「プレイって何? ゲームのこと?」

「!? お姉ちゃんに内緒でいたずらしたらメッ! ですよ!」


「だから盤外戦術はやめろ!」


「雪のことだから、また何か衣装着させたいんでしょ? この間のゴスロリまた着てあげるから!」

「ユッキーってゴスロリ好きなん? あーしも着ようか?」

「雪君、お姉ちゃんも着てあげようか?」


「俺は別にゴスロリが好きなわけじゃないぞ!? 愛羅とお姉ちゃんも乗っかるんじゃないよ!」


「そうね、童貞殺しの服にも興味を示してたものね? 一番好きなのは乳暖簾かしら?」

「? 乳暖簾って何? あーし初めて聞いたんだけど?」

わたくしも初めて聞きましたわね。どんな衣装なんですの?」

「それはねぇ―――」


「おいやめろ! 変な知識を植え付けようとするんじゃない! ってあぁ!?」


 まずい! 動揺してコースからはずれて砂利道に入ってしまった! なんとかコースに―――


 ズドーン!!


 俺のキャラに雷が落ちてきた。


「ふふ、そこでゆっくりしてなさいな」

「ナイス! シグシグ!」

「一気に差を埋めましょう!」


 ぐぉぉぉぉぉ! なんとかコースにもど―――


 俺のキャラが轢かれてペラペラの紙みたいになった。


「あっはは! じゃあねぇユッキー!」


「なんてことしやがる……!」


 ちょ! ペラペラの時間が長い!


「これで雪は終わりね?」


「ちょ、まっ!?」


 どんどん抜かれていく!? まだだ! まだ舞える! ここから巻き返し―――俺のキャラが虹色に光る車に後ろから追突され、また吹っ飛ばされた。


「お姉ちゃぁぁぁぁん!?」


 そして―――


「シグシグには悪いけど、勝たせてもらうね!」

「雪に命令できる権利は渡さないわよ!」


 二人がデットヒートを繰り広げぶつかり合っているところに―――


 バコーーーン!!!


「「あぁ!?」」


 虹色の車が追突し、二人を吹き飛ばした。

 そのまま虹色の車がゴール……


「やりましたーーー!」


 神藤さんがアイテムを使って全員を捲り、見事勝利した。


「やられたわ……」

「見事にやられたね!」

「酷い目にあったわ……」


「じゃあ雪君! 連絡先教えて!」


「おう。それでいいなら喜んで!」


「あ、ユッキー! あーしもあーしも! お昼ご飯の時の約束忘れないでね!」


「はぁ……また雪の携帯に女の連絡先が増える……」


 俺は二人と電話番号とBeamのアカウントの交換を行った。


「イエーイ! ユッキーとまた遊べるねー! これであーしもユッキーとマブダチだー!」

「雪君、お姉ちゃんにいつでも連絡していいからね?」


「おう!」


「んじゃ、プリクラやってメダルゲーに沼りに行こうか!」


「あいよ」


「プリクラって何するゲームなの? とるって言ってたから何かを集めるゲーム?」


「そのとるじゃなくて、写す方の撮るだよ!」


「写真を撮るの? 携帯でいいじゃない」


「チッチッチ! 撮る時に盛ったり、撮ったあと落書きしたりして、シールになるんだよ! そんで大事な物に貼ったりして思い出にすんの!」


「ふーん、雪、あとで二人で撮りましょ」


「おう、いいぞ」


「じゃあお姉ちゃんも雪君と二人っきりで撮る!」

「ならあーしも!」


 何度目の感想かわからないけど、美少女とツーショットで複数回プリクラするとかモテモテ気分味わえて、この世界最高だな!


「あぁ!」


 俺はみんなで撮ったあと、それぞれとプリクラを撮り、思い思いの落書きをして一つの思い出にした。

 また、みんなで遊びに行きたいな。


 そして俺達はメダルゲーで沼に嵌り、いい時間になったので現地で解散することにした。


 帰りにスーパー寄るついでに、ちゃんと宝くじも買って帰った。


★********★

ゲーセンネタって書こうと思えば、まだまだ書けたけど、長くなるからこの辺で……

もう一つの作品がこの作品のランキングを抜いてちょっと複雑!


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