第47話 恋人になって……そして……

 建築と爆破を繰り返した日から数日が経過した。

 正直あの時は賢者が大賢者になるまで搾られたが、時雨が元通りに戻ったように思えたのでいいかと思っていたが、実際はそんなことなかった。

 ここ数日の出来事をまとめるなら―――



 学校では昼休みの時だけ来ていたのが10分休憩にもたまに来るようになり……


「雪」


「お、今休み時間なのか」


「そうよ、充電にきたわ」


 それだけ言うと時雨は俺に抱きつき、顔を首元に埋め意地でも離れない姿勢になる。

 俺はそんな彼女が愛おしく、抱きしめ返し頭を優しく撫でてあげている。


「おやおや、熱々だね! 実に羨ましい」


「雪は私の恋人ですから」


「……恋人? ……あっはっは! そうか恋人か! 実にいいじゃないか!」


「えぇ、とても幸せな気分に浸れて、このまま溺れてしまいたいです」


「くっくっく、とても甘美な響きだね。でも気を付けなくちゃいけないよ? 雪君は君だけのものじゃないからね? 雪君には最低でも五人妻が必要なんだ。君だけが独占すると、雪君も、君自身も良くないことになるよ」


「わかってますよそんなこと。でも今だけは私の雪でいてもらうだけです」


「分かってるならいいんだ」


 そう言うと、友梨佳先生は後ろから俺のことを抱きしめ始めた。


「……何してるんですか?」


「君があまりにも羨ましくてね。我慢できなくなってしまったよ」


「今は私の雪なんですが???」


「ここでそんなことされたら、私だって女なんだ、我慢できるわけないだろ? 邪魔しないようにするからさ」


「……ちょっとだけですよ」


「わかってるさ!」

 

 それだけ言うと、時雨は俺にキスをし始める。

 唇を啄むようにするキスが時雨のデフォルトになりつつある。

 正直、家でなら構わないが、外では勘弁して欲しい。

 もう理性の天使が堕天しかかってるんだ。ほら見ろ、性の獣と今日はどういうプレイにするか話始めたじゃないか。快楽落ち待ったなしだよ。


「し、時雨、流石にこれ以上は我慢が出来なくなる……」


「んもぅ……しょうがないわね……お昼休みに続きをしましょう。それならいいでしょ?」


「外でしないって選択肢はないの?」

 

「今はちょっと無理かも……」


「――――――」

 

「落ち着いたら自重するようにはするわ」


 そして、再度キスが再開されそうになったところで予鈴がなった。


「あら、急いで戻らないと」


「お、おう」


「雪?」


「ん?」


「私で大きくしたんだから、他の人で出したら嫌よ?」


 時雨は不満そうに頬を膨らませながら言ってくる……

 あざとかわよ……


「…………」


「先生も今は自重して下さいね?」


「先手打たれたなら仕方ないなー。ちゃんとお昼休みまで我慢するよ」


「先生も参加するつもりで?」


「参加してもいいけど、技術指導でもしてあげようかと思ってね?」


「なるほど。なら許可します」


 俺の意思が介入する余地はないのかな?

 それだけ言い残し、時雨は保健室を出て行き、約束通り昼休みは友梨佳先生の指導の元搾られた。


********


 放課後、家でまったりする時なんかは―――


「お兄ちゃん、何してるの?」


「んー? 何かアニメでも見ようかと思ってな」


 Nile Riverでアニメを漁っていた。

 そして薄々気付いていたが、基本的には前の世界と歴史自体は男が女に変わったぐらいで対して変わってはいない。故に、アニメなども基本同じなのだが、やはり登場人物などにやはり違いがあった。


「なんか、主人公が女の子の作品が多いな」


「そりゃねー、男で声優やる人とかいないだろうし」


「たまに、男主人公もあるけど、多分女性なんだろ?」


「さぁ? 別にアニメ見てないから知らないけど、そうなんじゃない?」


 んーそう考えると、知ってるアニメでも違った視点で楽しめそうだから以前見た作品でもいいなー……


「んー……」


「お兄ちゃんってアニメとか見るんだね」


「そうだな、けっこう見るな。おもしろいぞ?」


「ふーん?」


「海はアニメとかじゃなくてドラマを見てるのか?」


「ドラマも見ないかなー、映画とかなら見るけど」


「なら、アニメ映画とかでも見てみるか」


「あーならテレビとかのCMでやってるやつにする? ほら、その画面の右のやつ」


 この作品か、TOPにデカデカとバナーがある辺り、おすすめなのだろう。


「じゃあ、これにするかー。時雨も……」


 そして俺は時雨を見るが、時雨は帰ってきてから着替えもせずにずっと俺に抱きついている。


「私のことは気にしな……雪は映画見ながら私にかまってくれれば何でもいいわ」


「難しい注文するなよ……」


「今日は雪が学校に居なかったから大変だったのよ。ずっと雪のこと考えて座学の授業は集中できないし、体育は帰ったら雪としたいこと考えて、ボーッとしてたら怒られるし、昼食も雪がいなくて寂しくて、何も考えずにパン選んだら無駄に高いのに美味しくなくて散々だったわ」


「最後俺関係なくね? ちなみにどんなパンなんだ?」


「ゴージャス海鮮パン」


「…………」


「パンにマグロ、ホタテ、サーモン、イカ、エビ、タコ、カニ、イクラ、ウニが挟まってるパンなんだけど、980円もしたのに鮮度が悪くてネッチョリしてて美味しくなかったの……」


 なんでパン屋はそんなパンを生み出した……ご飯に対抗したかったのか?


「それは……相当不味そうだな……」


「えぇ、酷い目にあったから雪に慰めてもらわないと、割に合わないと思わない?」


「俺で割を合わせようとするのはおかしくないか?」


「恋人が傷ついてるのよ? 慰めなさいよ」


「……た、大変だったなー時雨、よしよーし」


 俺はとりあえず頭を撫でることにしたが時雨は不満なのか、物足りないのか、非常に不満ですと顔に書いてる。


「と、とりあえず映画見ようぜ!」


 俺はそう促し、映画を3人? で見始める。

 映画を見始めるが……時雨は我関せずの構えでずっと甘えてくる。

 具体的には、俺の手を取り、頬でスリスリしたり、口に咥えたり、後ろから抱きついて首や耳をハムハムしたりとこっちの気を引こうとアレコレ手を出してくる。

 終いには、胡座をかいた俺の上に座って抱きついてきた。

 しょうがないので、抱きしめながら、頭を撫でてあげることでやっと大人しくなった。

 そして、映画が終わる頃には時雨は寝てしまっていた。

 

「時雨、時雨、終わったぞー?」


 俺は時雨の背中をポンポンと叩いて起きるように促す。


「んんっ……雪……?」

 

「おはよう」


「……………」


 寝ぼけ眼で俺をじっと見つめている……見つめるだけかと思えば、軽くキスをしてきた。


「……起きてすぐに雪とキスするだけで、こんなに幸せになれるなんて思ってもみなかったわ……まるで夢みたい……」


「……それぐらいお手軽な幸せなら毎日してやるよ」


「えぇ、お願いね」


 ―――そんな感じのイチャイチャな日々を過ごしていた。

 時雨の落ち着きが少しづつ戻ってきた頃にそれは起きた。


 分かっている。決して気に掛けていなかったわけではない。

 でも、そうは思えなかったのだろう。

 俺が悪いことは明白だ。


 ある日、海が泣きながら家を飛び出した。



★********★

すみません、次話から2話程、明るくない話になりますので、甘い飲み物か甘いお菓子と一緒に閲覧してください。どうしても、海の過去の話を書く必要が……

私はプリン食べながら書きました……


★お知らせ★

6月1日0:01にラブコメの新作出します。

基本こっちをメインで書くので毎日更新はしませんが……よかったら見てね!

更新がなかったら……間に合わなかったなこいつと思って下さい……

なお、紳士向け作品ではないので、紳士の方はこっちで満足しつつ、新作も見てね!

6月1日に1~3話公開 2日に4話を公開予定です。



応援、フォロー、星を付けて頂き誠にありがとうございます!

創作意欲に繋がるので応援、星を何卒・・・!

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