第46話 WSS……初めて聞いたわそのワード
戻ってきた時雨に俺は放心した。
とても……かわいくて……きれいだ……
「どうかしら? 雪の好みに合わせてガーターストッキングも着てみたわよ」
その場で軽くくるりと回ったり、ゆっくり回ったりして、じっくり見せてくれる。
「あぁ……すごく似合ってるよ……」
「良かったわ! 一応こっちも希望通りに合わせてきたけど……」
時雨はそう言うと、ゴスロリの短いスカートを片手でめくった。
そこには白い太ももと、黒いガーターベルトがあり、中央には俺の意見を反映させたであろう暗めの赤いおしゃれなデザインの下着が姿を現した。
む、むちゃくちゃエロい……
「ど、どうかしら……ちょっと恥ずかしいわ……」
時雨は本当に恥ずかしいのか、片手はスカートをめくり、もう片方の手はグーの形で自分の口を隠しながら、頬を赤らめ、上目遣いで俺を見ている。
数日前までこちらにガンガンアピールしていたのに、今回はあざとかわいくアピールするギャップに俺は撃沈した。
「さ、最高だ……優勝は時雨で……」
「えぇぇぇぇ!?」
「やったわ!」
海は驚き、時雨は喜ぶ。
「ま、まさかお兄ちゃんがちゃんと選ぶなんて……」
「……俺も成長してるってことだ」
「腹いせにお兄ちゃんのタワマン限界まで爆破させていいよね?」
「そんなに何度も建設できるわけないだろ!」
「あら、何度も建設しないと、黒を白に染めれないわよ? それとも赤を白に染める? そっちの方が回数少なそうだけど」
「サキュバスかよお前ら」
「『見習いサキュバス VS 絶倫の民』、いいタイトルじゃないかな? 撮影でもする?」
「しないよ! なんのタイトルだよ! 確実に18未満禁止じゃねぇか!」
「サブタイトルは『無限爆破編』とかかしら? このタイトルだと、絶倫の民が優勢にみえるわね」
「なら『見習いサキュバスの色欲』とかにする? ちょっとだけサキュバス側が優勢そうにみえない?」
「お前ら何の話してんだよ。ツッコミきれねぇよ……」
「まぁ、いいか。じゃあお兄ちゃん、限界まで爆破させるね」
「……明日学校行くので限界までするのはお赦し願えないでしょうか?」
「学校行くとまた保健室で誘惑されて暴走させるでしょ? なら、誘惑されても建設しないようにした方が安全じゃないかしら?」
「……わかった。抵抗しない。抵抗しないから一つ頼みがあるんだが」
「何?」
「……写真撮影してもいいか?」
「本当にしたかったのね」
「しょうがないお兄ちゃんだなー」
そう言うと海は膝の上から降りて俺の前に立った。
「ちなみになんだが……海は履いてるのか……?」
「気になる~?」
「……気になる」
「んふー! 仕方ないお兄ちゃんだなー!」
海は俺に背を見せるようにくるりと回ると、そのままセーターを少しだけまくった。そこで姿を見せたのは……
「てぃ、Tバックだと!?」
「うん! 昨日一緒に買ったんだー! お兄ちゃんが興奮するかもって思って」
海のきれいなお尻のラインが出てすごく興奮する……でも……
「もう興奮してるよ。これ以上興奮してもビルは高くはならないぞ」
「なーんだ、天を突くドリルに進化するかもって期待してたのに」
「なるわけないだろ!」
「ならさっさと爆破させて、次建設する時にもっとよく見せてあげるね♪ ほらほら、写真撮っていいんだよー?」
海は露骨にセクシーポーズをし始めたので俺はベッドから降りて携帯を持ち出し、写真撮影を始める。
うん、いいね! 俺の携帯にエロ画像が溜まっていく! ……エロ画像を溜めて俺は使うことがあるのか? いや、楽しいからいいか。
「雪、私も撮って?」
そして、時雨も負けじとアピールをし始めたので、俺は無言で頷き、撮影をする。
あぁ、いいぞー! すんばらしぃぞぉー! ……ん? なんかBeamに連絡がきたな、誰だ?
「? どうしたの?」
「あぁ、Beamに連絡が……梓さんからだわ」
「はっ?」
「誰?」
「あー時雨は知らないか、入院中俺の担当看護師になってた人だよ」
「お兄ちゃん、なんで連絡先交換してるの? 絶対にタワマン限界まで爆破させるから」
「雪、恋人がいるのに堂々と浮気とか最低だと思わないの?」
梓さんから連絡がきただけで二人の目のハイライトが消え俺を無の感情で見ている……
「待て待て、ステイステイ、連絡先交換しただけで急に圧出すんじゃないよ! というか恋人になる前に交換してるんだから浮気なんかじゃないだろ!」
「……それで? なんてきてるの?」
「え、あー、内容は………」
俺は、Beamを開き固まった。
梓『今日はいっぱいぎゅっとしてくれてありがとうね♡』
梓『次来た時もしてくれるとうれしいな♪』
梓『雪君はいつも一人で悶々としてるのかな~? 雪君の為にサービスサービス♪』
Beamには下着姿の梓さんの画像が貼られていた。
上から撮ったであろうアングルから、上目遣いのカメラ目線で顔を向けており、上半身は白い下着が胸を包み込み巨大な谷間を魅せつけている。大きいとは思っていたけど、こうやって見るとよりそのすごさが伝わってくるな。
梓『雪君が求めるならー……もっとすごいのも送っちゃうけどな~?』
さて、俺一人だったら問答無用で送って欲しいと要求していただろう。
だが、俺の携帯を覗く者が二人いた。
「へぇー、まーた発情してるんだ?」
「ふーん、私の雪に色目使うとかいい度胸じゃない?」
そして二人は示し合わせたかのように連携を始める。
まず海が俺の携帯を取り上げる。
時雨は俺の手を引いてまた、ベッドの上に座らせる。
座った俺の膝の上に海が座り、俺の両手を掴み、海の胸を直で触るように服の中に突っ込ませ、奪い取った携帯で自撮り撮影モードにする。
時雨は俺の後ろから抱き着きカメラ目線の状態で俺の耳を甘噛みする。
準備が整ったら海が写真をパシャリ。
写真を取ったら時雨に携帯をパスして、海は膝の上から降りる。
時雨は受け取った携帯でポチポチと何かをし始め、終わったら俺に携帯を返してくれた。
手慣れた連携に何もできず、俺は開かれた自分の携帯を覗いた。
最初に今撮られた写真が貼ってあり―――
雪『今からこいつらと朝までオールナイトパコパコするからけっこうでーす!』
雪『一人さびしいなら動画撮って送ってあげようか?』
雪『タイトルは【見習いサキュバス VS 絶倫の民 -見習いサキュバスの色欲 無限爆破編-】な? 発情したなら一人で処理してろ』
―――なんて文章送ってやがる……
送ったレスは既に既読のマークがついている……
返ってきたレスには―――
梓『私の雪君がねとられたああああああああああああああああ』
―――俺は梓さんの物ではないんだが……俺視点で考えると、先に会ったのは梓さんだから、この場合、BSS(僕が先に好きだったのに)……いや、WSS(私が先に好きだったのに)になるのか? この世界ならではのワードだな。
「じゃあ、お兄ちゃん覚悟はいいかな?」
「浮気したからにはお仕置きが必要よね?」
「……話をしよう」
「「断る!」」
海と時雨の技術は例の本によって格段に上達している。
俺のタワーマンションは晩御飯の時間まで建築と爆破を繰り返した。
**********************************
応援、フォロー、星を付けて頂き誠にありがとうございます!
創作意欲に繋がるので応援、星を何卒・・・!
コメントもお待ちしております!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます