第44話 甘えん坊+キス魔=恋人
「だ、ダメかしら……?」
時雨が泣きそうなにしながら、上目遣いでこちらを見てくる。
「ダメじゃないが……結婚出来ればどうでもいいって感じじゃなかったか? 海とかも恋愛なんて漫画の中にしかないって言ってたし……」
まだ俺が前の雪と違うということを明かす前はそんな感じのニュアンスだったと思うんだが……
「雪のこと異性として好きになっちゃったんだもの……そしたら……恋人になりたいって思って……」
「…………」
「雪は、私のこと嫌い……?」
「そんなことは決してない」
「じゃあ……好き……?」
「……あぁ、俺も時雨が好きだ」
時雨は花が咲いたような満面の笑みになり、軽く口付けをしてきた。
「うれしい……なら……私を恋人にしてくれる?」
「……あぁ、俺の恋人になってくれ」
俺がそう返答すると時雨は俺の胸にまた頭をこすりつけ始めた。
「えぇーっと……とりあえず、おめでとうと言ったらいいのかしら?」
俺の後ろで母さんが呟いた。そういえばここ玄関だったわ。
「あー……ありがとう?」
「なんで貴方が疑問系なのよ」
「いや、なんというか、結婚することまで決まってるのに今更感が?」
「まぁ、仲がいいことにこしたことはないから、大切にしなさいね?」
「わかってるさ」
「ひとまず、中に入れてもらえるかしら? 私もゆっくりしたいから」
「ごめんごめん。ほら、時雨、部屋に行きたいからちょっと離れてくれ」
俺は時雨にそう伝えると頭を胸にこすりつけるのをやめ、俺の腕にしがみついてきて、今度は腕に頭をこすりつけ始めた……マーキングかな?
どうしようにもないので、そのまま俺は靴を脱ぎ、部屋へ向かったのだが……
「えっとー……」
「ほげぇー……」
「―――――♪」
海は放心状態となっており、時雨はご機嫌な様子で俺にしがみついている。
「あぁー……あれだ……今日はダラダラしようと思ってたから、一旦昼寝でもしようかと思うんだが……?」
「え、あー……うん、いいんじゃないかな? お兄ちゃんのベッドなら3人寝れるし」
そう、俺の部屋のベッドは今後のことを予定してかセミダブルのベッドなので3人位なら普通に寝れるのだ。大きいベッドって夢があっていいよな!
「なら、少しだけ寝かせてくれ。まだ昨日の疲れが少し残ってるんだ」
俺は自分のベッドに行き横になると当然のように海と時雨が両サイドに寝転がってきた。
「じゃあお兄ちゃんお休み」
海がお休みの挨拶に軽く口づけをしてくる。
「雪―――」
時雨も海と同じように口づけを―――
「んっ……んむっ……」
長い―――またさっきと同じように俺の唇を啄むようにキスをしてくる。
あの……眠らせる気ないよね?
「んっ……し、時雨、これだと眠れないんだが?」
「……雪とキスしてると頭がボーっとしてきて、気持ちよくて、ずっとしてしまうわ……私、こんなにキス好きだったのかしら」
「――――――」
「その……もう少しだけいいかしら?」
「……も、もう少しだけな?」
「♪」
俺が許可すると時雨は再度キスをし始めた。
もうね、わかってる。こんなことされて反応しない者はいないんじゃなかろうか?
俺の理性を司る脳内天使は『ハイハイいつものね』と言わんばかりに性の獣と戯れ始めている。
「……お兄ちゃん、今からベッドで寝るのにテント張る必要ないんだよ?」
海に早速感づかれた。
「仕方ないからたたんであげるね♪」
海は俺の返事を待たずに、俺のズボンに移動して準備を始めた。
時雨は―――
「んむっ……んんっ……」
キスすることに夢中になっている。
俺は我慢できず、空いている手で時雨の胸を揉むことにした。
「んんっ! んっ……」
上は時雨、下は海……相当贅沢なことをしているんではなかろうか?
「ゆ、雪……」
「ん?」
「お願いがあるんだけど……」
「なんだ?」
「その……私にも……して……?」
「――――――――」
時雨はそれだけ言うと体をベッドの上の方に寄せ、俺の手を取り時雨の下半身に引き寄せた。
「―――やったことないんだけど……」
「教えてあげるから」
時雨の言葉を聞き、俺の性の獣が閉じ込められた空間にひびが入る音がした。
**********
―――あれから、俺達は賢者バフを手に入れ、ぐっすり寝てしまった。
軽く昼寝するつもりが、数時間も寝てしまっていた。
横を見ると海と時雨は俺にしがみつき、ぐっすり眠っている。
正直このまま二度寝してもいいと思うが、このまま寝てしまうと確実に夜眠れなくなってしまうので、無理やりにでも起きることにした。
「ぐぁぁぁぁ……」
俺はなんとか二人を引き剥がし、上半身を起こし伸びをする。
「ん……おはよう、お兄ちゃん……」
海も気付いたのか、上半身を起こし挨拶をしてくる。
「あぁ、おはよう。ぐっすり寝ちまったわ。寝すぎると夜眠れなくなって明日寝坊しちゃうぞ?」
「んんー……起きる……」
まだちょっと眠そうだが大丈夫だろう。
時雨も起こすか。
俺は時雨の肩を揺すって起きるように促す。
「時雨、時雨、そろそろ起きようぜ」
「んぅんー……雪?」
目を薄っすらと開け俺を見つめてくる。
「おはよう時雨、そろそろ起きよう」
「えぇ……そうね……」
時雨は寝ぼけたような状態で上半身を起こし、こちらをじっと見つめるとゆっくりとした動きでこちらに寄りかかり、そのまま俺の肩に頭をこすりつけ始める。
「……恋人がいる幸せってこういう感じなのね」
「……あぁ、そうだな」
「雪」
「ん?」
「好きよ」
「……俺も好きだよ」
時雨は俺の気持ちを確かめると腕にしがみつき、そのまま動かなくなった。
完全に甘えん坊になってしまったな……
そんな時雨を海は呆然と眺めていた。
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