第24話 反省!

 女神様との再会は意外と早かった。というか次の日である。


「あぁ、ここが女神様がいる神社だったんですね」


「そうだよー☆」


「いやー大変な目に合いそうでしたよ」


「一人で行動するのが悪いね☆ ハイ、タオルどうぞー」


 そう言って、女神様が俺にタオルを差し出してくれる。

 ありがたくこれで拭かせてもらおう


「ありがとうございます。やっぱそういうもんなんですか?」


「そうそう☆ この世界の女性は男性に飢えてるからね☆」


「はぁー……今後は注意しますよ……」


「うんうん☆ 気をつけて外出してね? 君をここに連れてきちゃったけど、君に恐怖が植え付けられて他の人と同じようにはなって欲しくないからね☆」


「そうっすよね」


「あ、でもでも☆ 傲慢にもなっちゃダメだよ? 女の子と仲良くすごして欲しいんだからね?」


「それは大丈夫ですよ。むやみやたらと暴力を振るったりするつもりはないんで」


 正直、先ほどの件で女性に対して恐怖があったかと言われればNOだ。

 単純に目立ちたくなかったというのと帰ってやることがあり、長くなりそうだから嫌だというだけであって、心の底ではもっと女性と関わりたい。

 俺は死ぬ時にそう考えていたはずだ。


「うんうん☆ それがわかってるなら大丈夫だね☆」


「えぇ、女性を泣かせることは……あるかもしれませんが、むやみに悲しい思いをさせないことは誓いますよ」


「あっはは☆ 君は正直だね☆」


「女神様の前で嘘ついてもしょうがないでしょ?」


「それもそうだね☆ これからもいろんな女の子と仲良くズッコンバッコンしてくれれば何も言うことないから☆」


「ズッコンバッコンって……ヤリチンになれとでも?」


「君にも悪くない話だと思うけどー?」


「そりゃーいろんな女の子をとっかえひっかえしたくないかと言われれば、したい気持ちもありますが……」


「でしょー? そ・れ・に☆ 女の子とやるだけでお金貰える場合もあるんだし、それを仕事にしたらいいんじゃないかな?」


「えぇ? 女の子とやるとお金もらえるんですか?」


「そりゃそうだよ☆ この世界に男は少ないんだし、性欲を持て余す女の子なんてたくさんいるよー?」


 そう考えると悪くはない気がしなくもないが……


「あとあと☆ 未婚の女性を自然妊娠させると男性保護省からお金もらえるからね☆」


「えぇ!? そうなんですか!?」


「そうだよー☆ 人工授精より自然の方が確立高いし、男の子が生まれる確率も少しだけど上がるからねー☆ さらに男の子だった場合、男性と女性に追加報酬もあるよー☆」


「ほーう、いいこと尽くめですね。そんな制度があるなら他の男性……臆病なやつはまだしも、傲慢なやつとかズッコンバッコンしまくってるんじゃないですか?」


「いーや? この世界の男性って性欲薄いからあんまりしてないよー☆」


「そうなんですねー……」


「うんうん☆ だからみんなと仲良くね?」


「仲良くはしたいですけど……海と時雨がいますし、さすがにズッコンバッコンするのは……」


「そう? あぁ、前の世界の倫理観だとそうかもしれないね☆ でもここは違う世界だよ? 人によっては、体の相性で結婚相手選ぶなんてふつーのことだよ? むしろ複数の女性を娶らないといけないから、そういう女性が相手にいないと男性としても困るだろうからねー☆」


「おぉぅ……」


「それにその2人がいるとしても、けっきょく最低あと3人は選ばないといけないじゃない? いくら君でも変な人と結婚するのは嫌でしょ?」


「まぁ、それはそうですね」


「うんうん☆ 最低あと3人って言ったけど、上限はないからね?」


「あ、上限ってないんですね」


「ないよー☆ だから女神としては、君にはいろんな女の子と仲良く好きに生きて欲しいだけだからね?」


「わかりました。そういう方向もあると考えておきます」


「うんうん☆ じゃあ報酬をもらおうかな?」


「報酬?」


「神に相談に乗ってもらえるなんて滅多にないことだよー? 報酬があってもいいんじゃないかな? 前回会った時、なんて言ってたかなー?」


 ……菓子折り持ってこいって……あぁ、そういえばケーキ買ってたな。

 海や時雨の為に買ってたけど……まぁいいか。

 俺はエコバックからケーキを取り出し、二つとも差し出した。


「どうぞ、お収め下さい」


「うんうん☆ 話がわかる子でよかったよ☆」


「まぁ、約束してましたからね」


 女神様は俺からケーキを受け取ると、どこかにケーキが消えていった。


「あとで、ゆっくり味合わせてもらうよ☆ にしても二つはもらいすぎちゃったかなー?」


「下手に1つだけ持って帰っても困るんで、気にしないで下さい。」


「そっかー☆ んーじゃあこうしてあげる☆」


 そう言って女神様が俺に近づいてきたかと思えば、女神様は両手を広げ、俺の頭を抱えると自慢の大きな胸に俺の顔を埋めさせた。


「!?」


 な、生だと! 海にも抱きしめてもらったが、服の上からだ。女神様は乳暖簾でほぼ着ていないと言っても過言ではない。そんな女神様に抱きしめられるとどうなるか、生乳に顔を埋めることになる! しゅ、しゅごいいいいい……


「どうかなー☆ 神に抱きしめてもらった感想はー?」


「しゅ、しゅほいでふ」


「あっはは☆ 何言ってるかわからないねー☆」


 そのまま女神様は堪能させるように俺の頭をグリグリと胸に押し付けたあと俺を離してくれた。


「す、すごかったです」


「うんうん☆ 喜んでもらえたようでなによりだよ☆」


「あ、ありがとうございました」


「どういたしましてー☆ それじゃ、気をつけて帰るんだよー?」


「ふぅー……わかりました。ありがとうございます」


「うんうん☆ じゃあまた菓子折り持っておいでねー?」


「えぇ、また来ます」


 そう返事するとまばゆい光に包まれ、俺は元の場所に戻っていた。

 さっきまで持っていた、タオルも消えている。


「帰るか……」


 そうして俺は携帯でスーパーまでの道のりを調べ、そこから来た道を思い出してなんとか無事に家に帰ることができた。

 帰り道にまた先ほどと同じようなことがないかビクビクしていたが、特に問題はなかった。


「さて時間も時間だし、プリントはあとからやるとして、夕飯の準備でもするか」


 米を研いで炊飯器にセットし、サラダ用に野菜を切り、生姜焼きの準備をしていたら玄関が開く音が聞こえた。


「「ただいまー」」


 海と時雨が帰ってきたようだ。


「おかえりー」


 俺は台所からそう叫び、晩御飯の準備を進める。


「あ、お兄ちゃん大丈夫そう? 手伝ったほうがいい?」


「あぁ、大丈夫だよ」


「今日は何を作るのかしら?」


「豚の生姜焼きだよ」


「生姜焼き? 生姜なんてあったけ?」


「……あったよ」


「……お兄ちゃんもしかして一人で買い物に行ったりしてないよね?」


「……イッテナイヨ」


「あら、雪。なんでここにカツラがあるの?」


 時雨が俺のカツラを持っている。

 そういえば変装しようと被り、似合わなかったからカツラをリビングに投げ捨てたんだった。

 さて、これは……


「お兄ちゃん?」

「雪?」


 うん、わかる、わかるよ、二人からちょっと怒ってる感じがする。

 おみくじって当たるんだなー。

 ここで変にごまかしても余計に立場が悪くなるだけだ。

 潔くなろう。


「すみませんでしたあああああああああああ!」


 そのあと俺は海と時雨に叱られるのであった。


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