第23話 ちょっとスーパーまで行ってみました☆
俺は公園で会った親子と少しだけ遊んだあと、来た道を戻り家に帰った。
弁当がせっかく温めたのに冷めてしまった……まぁ、冷めてもおいしいからいいか……
さて、弁当も食べたことだし……いきなりあのプリントを再開する気にはなれんな。
そういえば、晩御飯俺が作るんだった。冷蔵庫の中身を確認するか。
俺は台所に向かい冷蔵庫の中を開けた。
「うーん……どうすっかなー……豚肉あるし、生姜焼きでもするか。付け合わせはサラダでいいとして……生姜チューブなくね? 」
それっぽいところ探しても……ない……
「んー帰りに海に買ってきてもらってもいいけどー……それぐらい買いにいくかー」
再度俺は財布と携帯とエコバックを持ち外に……待て、さっきのことを思い出せ。
さっきコンビニまで歩いただけで出会った人にあれだけ警告されたんだ、何か対策をするべきだろう。
どうやって……?
…………
女装……はさすがに難易度が高すぎる……カツラだけ被っていくか?
俺は自室へ行ってカツラを被った。
どんな感じになっているだろうか?
俺は脱衣所の鏡で確認する為、脱衣所に向かった。
「うーん……これだとただ俺が金髪になっただけじゃね……?」
これだとけっきょく男ってのは隠せないし……めんどうだしいいや!
俺はけっきょく被っていたカツラをリビングのテーブルに投げ捨て家の外に出た。
んでー近くのスーパーは……スーパー『ヤースイヨー』って店か……安直な名前だが庶民の味方って感じがして個人的には好感がもてるな。
さて向かうとしますか!
―――やってきましたスーパー『ヤースイヨー』!
道中周りを見ながらここまで来たが特に問題はなかった。
平日とはいえ人はいるからと心配していたが、女性とすれ違っても男とバレることはなかった。意外となんとかなるもんだな。
ついでに男がいないかも見ていたが、まったく見かけなかった。
スーパーの入り口から買い物カゴを取り、野菜コーナーから見て周る。
値段的には……確かに普通より安く感じるな!前の世界基準だけど。
夕食のサラダの為、野菜を物色していると買い物に来ている女性達の声が聞こえる。
「そういえば聞いた? なんでもさっき外を歩いてる男がいたらしいわよ?」
「えぇ!? 珍しいですね! 普通は車とかで移動してるでしょうに」
「しかも、一人で歩いてたって!!」
「本当ですか!?」
「本当本当! 一人で歩くなんて危険よね~! 私が保護してあげなくちゃ!」
「とかなんとか言って生搾りしたいだけでしょ〜?」
「いいじゃない! 保護する代償よ!」
「もー見つけても変なことしないで下さいね? 私朝のニュース番組に出て、いつかやると思ってました。なんて言いたくないですよ?」
「冗談よ! 冗談! でも私も男性と触れ合ってみたいわねー」
「そうですねー」
それって俺の話か……? 噂広まるの早くないか? これが女性のおしゃべりネットワークか……
っていうかなんだよ生搾りって。搾られたいとは思うが、俺にだって選ぶ権利はあるはずだろう……?
……余計な噂が広がる前にさっさと買い物を済ませよう。
サラダに使う野菜を取り、生姜チューブを取って……食後のデザートも買っておくか。
スイーツコーナーに立ち寄り安めのケーキ2個セットを2つ買い物カゴに入れる。
購入する為レジに並んだが……なんだろう視線を感じる気がする。
「いらっしゃいませー」
買おうとしている商品がスキャンされていく……なんか視線が集まりだしてない……?
「合計で995円です……あの……もしかして男性ですか?」
どうしようバレたんだけど……? いや待て、まだだ! まだ終わらんよ!
声を出さずに嘘をつけば逃れられるはず!
俺は無言で首を横に振り、1000円札を置いた。
「そ、そうですか? 1000円お預かりします。こちらお釣りです。またのご来店お待ちしております」
俺は買い物カゴを取り、エコバックに購入した商品を詰め、店を出ようとしたところで呼び止められた。
「あの、そこの方?」
思わず立ち止まり、振り返る。
そこには知らない女性が1人いた。
「男性ですよね……?」
し、しまった! 立ち止まるべきではなかった! これは罠だ!
「チ、チガウヨ?」
「いや、無理がありません? それ?」
俺の裏声技術では騙せなかったようだ。
「あの、差し出がましいことだと思いますが、男性一人だと危険ですよ? 送っていきましょうか?」
「い、いえ! けっこうです。急いで帰りますので!」
「そ、そうですか? 気を付けてくださいね?」
「ありがとうございます! それでは!」
俺は急いでその場を離れ店の外に出た。これで逃げ切れ「すみません! そこの男の人!」なかった……
「あの! 男性の方ですよね!? もしよかったら握手してもらえませんか!?」
さて、今いる場所を考えて欲しい。今いるのは店の外だ。
当然人がいる訳で周りの視線が俺達に集まっている。
今までの流れを考えるとここで握手をしたとしたら、どうなるだろうか?
答えは私も私もと集まってくるのでは……?
なので、ここで俺が選択すべき答えはただ一つだ。
【三十六計逃げるに如かず】
俺は逃げた。
体力には多少自信がある。
脇目も振らず、ただただ走った。
……そして、疲れきったところで止まった。
「ハァ、ハァ、ハァ……きっつ……」
久しぶりに全力疾走した気がする。
「ハァ、ハァ、ハァ……全力疾走したから喉乾いた……ってここどこだよ……?」
何も考えず走ってきたから周りの景色を見るのを忘れてしまっていた……
あぁ、いや、けっきょくさっきのスーパーまで携帯使って戻ればいいか……
「どこか飲み物がある場所……」
冷静に周りを見渡すと横には鳥居があった。神社の入り口のようだ。
神社にも自販機あったりするし、行ってみるか。
俺は入口の鳥居をくぐり、境内へと足を踏み入れた。
季節は冬。周りに木があるが桜だったりするのだろうか?
だとすれば春になったらいい景色が拝めるかもしれない。
神社御本殿の方に向けて歩いていると、遠くに自販機が見えた。
自販機まで立ち寄り、飲み物を買い、喉を潤す。
「はぁ……生き返るわー……」
さて、ここ数年神社など来ていなかった。
どうせ神社まで来たのだおみくじを引いていこう。
俺はおみくじ売り場まで行き、100円を投入しておみくじを引いた。
おみくじの運勢は……
「凶……」
俺に運はなかったようだ……
それで内容は?
「一人での外出危険、誰かと行動すると吉」
今言われても遅くなーい?
「他は……学問は良好、恋愛は新たな出会いありただし妨害あり、縁談は複数期待されたし……」
妨害ってなんだよ妨害って障害じゃないのか……他は……
「家庭は反省すべし……俺怒られるの?」
凶という割にはそこまで悪くない内容なのではないだろうか?
まぁ、それでもあくまでおみくじだし、指針ぐらいに考えておこう。
引いたおみくじをおみくじかけに結び、参拝もしておこう。
神社御本殿に行き目を閉じ、二礼二拍手一礼。
「今後もいいことがありますよーに……」
「あっはは☆ いいことがあるといいねー☆」
俺のつぶやきに返事があり、思わず目を開け、顔を上げると俺はあの白い空間にいた。
「さっそく来てくれるなんて☆ そんなに揉みたかったの?」
女神様との再会は意外と早かった。
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