第22話 そういえばこの世界の女の子ってこうだったね


 外に出る為、携帯と財布とエコバックを持ち、着替えがある風呂場に向かった。

 俺は風呂場で服に着替え……そういえば財布の中身確認してなかったな。


「一応金はあるな、1万円も入ってれば、安いトレーニングウェアも買えるだろうし大丈夫そうだな……クレジットカードも入ってるがこれ使っていいのか? さすがに母さんに聞いてみるか」


 財布の中身も確認したし、外に出よう。

 家の鍵は玄関に置いてあったので問題はない。

 さて、外出するのはいいが、この辺のことをまったく知らない。

 だから俺は素直に携帯のマップを頼ることにした。


「えっとー? コンビニは……ここか……歩いて10分は掛からなそうだな」


 俺は携帯のマップを頼りに周りに見て景色を覚えながらコンビニへと向かう。

 ここまで人と出会うことはなかった。遠くに犬の散歩をしている女性を見かけた位だ。

 そして俺はコンビニに入った。


「いらっしゃいませー」


 俺は定員の挨拶を聞きつつ、昼飯を買う為、弁当コーナーへ向かう。

 昼時だからか数人客が弁当コーナーにいた。

 何食べるかなー……とんかつ弁当にして、あとお菓子も買って行くか。

 弁当とお菓子を持ってレジへ向かう。


「いらっしゃいませー、987円です。お弁当温めますか?」


「はい、お願いします」


「……? かしこまりましたー」


 店員がレンジにお弁当を入れ温め始める。

 この弁当を温める時間って短いけど地味に暇なんだよなー


「あのー……」


「はい?」


「お姉さんかっこいいですねー、普段何されてるんですか?」


「私は男ですよ。中学生です。もうすぐ高校生ですが」


「お、男!? 声の感じから違和感を感じたけど男!?」


「え、えぇ、男ですよ?」


「えぇ!? 保護者の方と一緒じゃないんですか!?」


「さすがにそこまで子供ではないので一人です……」


「そ、そうですか……この辺は安全だと思いますが、気をつけて下さいね?」


「ご忠告ありがとうございます」


「……本当に男ですよね? 普通に会話成立してて怖いんですが……」


 俺もお姉さんの反応が怖いです。


「あー私は別に女性恐怖症とかではないので大丈夫ですよ」


「……あのー……もしよかったらですが……握手とかしてもらえませんか?」


 俺はアイドルか何かなのかな?


「いいですよ」


 俺は手を差し出すと、定員は恐る恐るこちらの手を握ってきた。


「はぁぁぁ……ゴツゴツしてますね……これが男性の手……」


 そんな風に定員が俺の手を握っていると、レンジが温め終わったと電子音を鳴らし始めた。


 ピーピーピー


「あの、温め終わったみたいなんですが?」


「えぇ!? あのもう一度温め直しませんか?」


「温め終わった直後に温め直す意味ないですよね!?」


「くぅ~……またこのコンビニに来てくれますか?」


「えぇ、近場なんでちょくちょく来ますよ」


「ほんとですか! 絶対ですからね! サービスしますから!」


 この人は店長か何かなのだろうか? というかただのコンビニでサービスするとかOKなのか? ここはチェーン店じゃなくて個人店なのか?


「わ、わかりました。また必ず来ますね」


「ありがとうございます!」


 俺は店員から温められた弁当を受け取りコンビニを出た。

 コンビニから大声で「ありがとうございましたー! またきてねー!」と聞こえてくる。他にも客がいたんだが、さすがに恥ずかしい。


 俺はついでに散歩する為、適当に知らない角を曲がる。

 ぶらぶら歩いていると公園が見えてきた。

 公園では小さい子供と母親らしき人が遊んでいる。平和でいいことだ。

 ボール遊びをしている見たいだが……ボールがこちらに転がってきた。


「すみませーん」


 パタパタと母親らしき人がこちらに走ってきた。

 俺はボールを拾い投げ返したりせず、そのままボールを取りに来た女性に手渡した。


「どうぞ」


「……え?」


「? どうしました?」


「も、もしかして男の人ですか!?」


「はい、そうですけど?」


 そして女性は周りをキョロキョロしだした。


「周りに護衛の人がいませんけど、もしかして一人で出歩いてるんですか!?」


「ご、護衛? 近所を散歩してるだけなんで一人ですよ」


「えぇ……!? この辺は安心だと思いますけど、気をつけてくださいね?」


 まじでどんだけこの世界の男性は危ない目にあってるんだ。


「ご忠告ありがとうございます。」


「……あと、もしよかったら……握手して頂いたりとか……?」


 この世界で男は男というだけでアイドルのような扱いなのか。


「いいですよ」


 コンビニの時と同じように俺は手を差し出すと、女性はこちらの手を握ってきた。


「わっわっわ! 本当に私男の人と握手を!」


「そんなに珍しいんですか?」


「えぇ! こうやって男の人を目にすることも珍しいですし、まして触れることなんて……。どうしましょう手を洗えなくなったわ……」


「さすがに汚くなるので洗って頂いたほうが……」


「……そうね、変に洗わずにいると菌が繁殖して子供に移っても嫌だし、仕方ないわね……」


「まま~?」


 女性と話しているとママと呼ぶ小さい女の子がこちらへやってきた。

 俺と話し込んでいて気になったのだろう。


「あぁ、ごめんね! 今このお兄さんとお話してたの」


「お兄さん?」


 小さい子供だったので俺は目線を合わせる為にしゃがみ込んだ。


「こんにちわ、お嬢さん」


 挨拶をすると小さな女の子がこちらをジーと見ている。

 どうしたのか? と首を傾げると女の子はこちらに両手を広げてきた。


「お兄さんだっこー」


「あぁ、いいよ」


 俺は女の子を抱っこしてあげた。


「えぇ!? だだだだ抱っこしてる!?」


「あ、すみません、勝手に娘さん抱っこしてしまって」


「い、いえ! それは構わないのですが……」


「お兄さんあそぼー?」


「あぁ、少しだけだけどいいかな?」


「やったー!」


「私は夢でも見ているのかしら……」


 そうして俺は女の子とその母親と一緒に少しだけボール遊びをした。

 こうやって大人の女性と子供と一緒に遊ぶと父親になった気分になって少しだけほっこりした。


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