第10話 陽キャ御用達のゲーム☆彡①
「お兄ちゃんもういいよ?」
「ベッドの前で固まってどうしたのよ?」
「……」
お兄ちゃんの顔を見ると完全に固まっている。
この時雪の中では天使と悪魔が今もなおバトル中だ。
「ふーん……えいっ♪」
「!?」
雪の後ろに回り膝カックンをし、雪はそのままベッドに上半身を倒れこませた。
**********
<SIDE 雪>
止まっていた思考が動き出す。
俺の脳内で天使が膝から崩れ落ち、悪魔が天使に三又のヤリを突き刺し、ファンファーレが鳴り響いた。
驚きのあまり息を吸うと脳内に海の匂いが充満する。
めっちゃいい匂いがする! これが海の匂いか!
この世界に来て思うのだが俺は匂いフェチだったのだろうか?
前世ではこんなに女の子と触れ合うことが出来なかったので知らなかった。
この世界にきて自分のことながら初めてのことを実感していると背中から2つの重みを感じた。
「どうお兄ちゃん? 海の匂いは?」
「あら、雪って匂いフェチなの? 今度は私のベッドでも同じようにする?」
「いや、ちょ、これは……」
「ベッドじゃなくて直接嗅いでくれてもいいんだよ?」
「そうね、ベッドなんかじゃなくて私の体にしなさいよ」
待て待てまずい! テントを張ろうとしてる。
**********
<SIDE MY SON(脳内)>
呼んだ?
呼んでねぇよ!
**********
<SIDE 雪>
「そ、そんなことより何かするんだろ?」
「うーん、別にこのままでもいいけど、やりたいことあるからそっちやろうか」
海と時雨に腕を抱きかかえられ、起き上がる。
せ、セーフ……俺は耐えたが……下半身に視線を感じる。
「まぁ、これだけじゃさすがにかー」
「どうでもいいわ、問題はここからなんだから」
「そうだねー」
「なんの話?」
「「なんでもなーい」」
そう言いながら、二人に引っ張られ席についた。
海と時雨がニッコニコでテーブルを囲んで座っている。何をするのだろうか?
「じゃあ、お兄ちゃんがいつも女の子慣れする為にやっていたゲームしようか!」
「うん、何するの?」
「「王様ゲーーーーム!!!イエーーーーーイ!!!」」
ドンドンパフパフー!
海は小さな太鼓を持ち、時雨はパフパフラッパを持っていた。
それどこから取り出したの?
「えっ!お、王様ゲーム!?」
大学生や社会人などの陽キャがするあの王様ゲーム!?
一度もやったことないんですけど!? ないんですけど!?
「ほ、本当に俺はそんなことしていたのか!?」
「そうだよー♪ まぁ、このゲームは時雨姉が来た時限定だけど!」
「そうそう! あーんなことや、こーんなことしてたのに、忘れてしまうなんて悲しいわ」
前の俺何してもらったんだ! 言え! 俺もしてもらいたい!!!
前世で遠くから男女がキャッキャしていた王様ゲーム……うらやましかった……
それが今人数が少ないけど体験できる機会がきたのだ……
乗るしかないだろ……このビックウェーブに!!!
「OK! やろうやろう!」
俺が乗り気でいると、海と時雨は笑みを深めた。
「じゃあ、この割り箸引いてねー、先端が赤い人が王様でーす」
ドキドキ……
割り箸を見られないようにしながら引く。
割り箸を引きさり気なく見たが、王様ではないらしい、2番と書かれている。
「いくよー!? せーのっ!」
「「「王様だーれだ!」」」
「私よ!」
王様は時雨だったようだ。
「そうねぇー……じゃあ、2番の人が異性の好きな部位を言う」
「俺が2番だ……好きな部位ねぇ……」
「雪の女の子の好きな部位はどこかしら♪?」
「えっと……胸かな……」
「「胸!?」」
「な、なんだよ、俺だって男なんだから別にいいだろう!?」
「ち、ちなみにお兄ちゃんは大きいのと小さいのどっちがいいの?」
「大きい方が好きだな」
「「大きい方!?」」
二人が衝撃を受けている、何故?
「そ、そうなのね、ちなみにどう? 私の胸? もうすぐ高校生の身としてはかなり大きい方じゃないかしら?」
時雨が胸を見せつけてくるので、思わず凝視してしまう。
「ちなみに84のDよ?」
「大変すばらしいかと思います」
横からふふん♪ と聞こえてきた。
「私は86のE……勝った!」
「まじかよ……」
今まで抱きつかれてばっかりだったので、よく見ていなかったが海もかなり大きいこと気付いた。
というかもうすぐ中3という段階でそれは大きすぎないか……?
「くっ……今まで雪は勝手に貧乳が好きだと思っていたから油断してた……」
「私はよくお兄ちゃんに胸揉んでもらってたからねー♪」
「「はぁっ!?」」
前の俺はあの胸を好きなように揉んでいただとおおおおおおお!
「作戦たあああああああああいむ!!!」
時雨がそう叫び海を端っこに連れて行く。
**********
<SIDE 時雨>
やりたい放題の海を部屋の隅に強引に連れてきた。
「あんた絶対それ嘘でしょ!?」
「もちろん♪」
「ほんとやりたい放題するんだから……!」
「そんな怒らなくてもちゃんと時雨姉もいい思いするようにしとくから」
「ほんとでしょうね……」
「ほんとほんと、お兄ちゃんに関して嘘ついたことないでしょ?」
「……まぁ、信じるわよ」
「それにこれは布石だから」
「布石?」
「そう、実はね……」
海が私の耳に口を近づけて布石について教えてくれるが……
「大丈夫なんでしょうねそれ……」
「前のお兄ちゃんだったら絶対無理だけど、今のお兄ちゃんならいけるでしょ。私の勘がそう言ってる。」
「まぁ……それが通れば、私に取っても都合がいいし、今後のこと考えたら必要よね」
「そうそう、だから最初は私に任せて?」
「わかったわ、うまく行ったらちゃんと報告しなさいよ?私も攻めるから」
「おっけー!」
そう言って戻っていく海について行きながら、どうかうまく行きますようにと心の中でそう願った。
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