第2話 この世界の女の子どうなってんの?

 小鳥遊先生の話を聞き、俺は「少し疲れたので休ませて下さい」と伝え、小鳥遊先生との会話を打ち切り、そのまま就寝した。


 窓から朝日が差し込み、目が覚めた雪は変わらず病室にいることにため息をついた。


 やっぱ夢じゃなかったか……となると今後どうするべきか……


 そんなことを考えていると扉の方からコンコンコンと音がしてガラガラと扉が開いた。


「おはようございまーす。大淀さーん? 起きてますかー?」


「おはようございます。えっと看護師さんは……三戸さんでよかったですかね?」


「はい! 自己紹介がまだでしたね! 三戸 梓(みと あずさ)って言います!」


「よろしくお願いします。三戸さん」


「えへへ、よろしくね雪君! あ、雪君って呼んでもいいかな?! 私のことも梓って呼んでいいからね!?」


「はい、では私も梓さんって呼びますね」


「!? いいの!? もちろんだよ! えへへ、男の人に名前で呼んでもらえたぁ……!」


 名前で呼ぶだけでこの反応なのか……


 梓さんがくねくねしながら喜んでいる様子を眺め気付いた。


 というか……梓さんめっちゃかわいくね……? 胸も大きい……


 梓さんは茶色のセミロングヘアでGカップ以上はあるんではなかろうか?

 明るい笑顔でとてもキュートな女性だ。正直お近づきになりたいなどと考えながら梓さんを眺める。


「あ、食事持ってきたから食べてね! それとご家族にも連絡したからそのうち来ると思うよー!」


「わかりました。ありがとうございます。」


「えへへ、雪君はいい子だねー!」


「? そうなんですか? 普通だと思いますけど」


「そんなことないよー。今までに何人か男性見てきたけど、私が話かけても、何にも返答しないか人か、ボソボソと何言ってるかわからない人か、ひどい人だとしゃべるなデブ! とか罵倒してくる人しか見たことないもーん」


「えぇぇ……」


 この世界の男性の在り方にドン引きしながら、自分の感想を伝えた。


「梓さんみたいにかわいい人私見たことないですよ! 今まで会ってきた男性は見る目がないんですね」


「本当!? 私かわいいの!?」


「私から見ればめちゃくちゃかわいいですね」


「そっかー……えへへ、えへへっ! 雪君から見て私かわいいんだ……えへへっ」


 照れてる姿もめちゃくちゃかわいいな……!


 そして梓さんは、はっとした表情をしたあとこちらを向いた。


「ゆ、雪君は女性が怖くないの?」


「えぇ、別に怖いとは感じませんね」


「じゃあじゃあ、手を握ったりしても大丈夫!?」


「手? はい、どうぞ」


 手を差し出すと恐る恐る梓さんは俺の手を握ってきた。


「ふぉぉぉぉぉ! 初めて、男性の手を握った!」


 あまりにも反応がかわいいのでそのまま梓さんの手を両手で包むように握った。


「ほら、別に怖くありませんよ。にしても梓さんの手はすべすべですね」


 握った手の甲をナデナデすると梓さんはその手を凝視し、固まったと思えば


「ち、ちなみになんだけど……ハ、ハグなんかも……OKだったりする……?」


「ハ、ハグですか!? 私なんかで良ければ、こちらからもぜひ……!」


 両手を広げてウェルカム状態で待っていると梓さんがゆっくり、ゆっくりとこちらに近づいてくる。


「い、行くよ!?」


「どんとこい!」


 俺が返答したと同時に梓さんはこちらに飛び込んで、抱き着いてきた。


「ふぁぁぁぁぁ! これが男性を抱きしめた感覚……! 女の子と全然違う……!いい匂いするし……しあわしぇぇぇぇ」


 俺も梓さんを抱きしめるが、梓さんの大きい胸が俺の胸板でグニャリと潰れたやわらかさを感じ、女性のすっごくいい匂いがするし、しあわしぇぇぇぇ!


 そのまま自然に手を梓さんの頭に持っていき、撫で始める。


 ナデナデ


「ふにゃぁぁぁ……」


 梓さんは恍惚の顔を浮かべそのままされるがままになる。


 5分ほど時間がたっただろうか、唐突に梓さんは興奮した顔でこちらを見てきた。


「私、今日から雪君の胸板に住む! 仕事終わったら雪君の胸板に帰ってくる! 明日引っ越しの準備と婚姻届け取ってくるね!?」


「待て待て待て、流石に展開が早すぎる!」


 あまりにも一方的な通達に驚き、ハグから逃れる。


「えへへ! 冗談、冗談だよ~! 半分ぐらいは」


 半分本気じゃないか! だが正直悪くないんじゃないかと考えもあり悩ましいところだ。


 そんな梓さんにデレデレしていると今度はすごい勢いで扉が開いた。


「雪!!」

「お兄ちゃん!!」


 二人の女性が部屋へ飛び込むように入ってきた。


 一人は20代後半ぐらいに見える茶色のミディアムヘアで大人の女性。


 もう一人は高校生?中学生?ぐらいに見える黒色のポニーテールヘアの女の子。


 二人は部屋に入り、こちらを見ている。


「えっと……おはようございます。私の……家族……なんですかね?」


 二人は俺が言った言葉が受け入れられないのか絶望したような顔になり、号泣した。

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