第24話 その名はとーめんたーず

「…それで、アシヤ君はそんなに声が枯れているのか。」

「ぅ゛ぇぇ、叫び過ぎで喉ぃだぃでず…」


 無事にサンダースケイルの駆除を終えたお嬢様たちは、ミーティングがてらゴールデンドーン社の事務所に戻っていた。


 私はいつも通り、携帯端末にリンクして付き添いだ。

 あくまでもお嬢様の私物と言う扱いなので、仕事の打ち合わせに口を差し挟むような真似はしない。


「あわわ…ご、ごめんなさい!あれはもう絶対フリだと思って!何の疑問もなくノールック焼殺しちゃいました…」


 ノールック焼殺って、また凄いパワーワード出て来たな?

 ヘロヘロになったお嬢様に向かって、落ち着いた雰囲気のブルネット女性が、ペコペコと頭を下げている。


 大人びた佇まいだが、身長はお嬢様より頭一つほど低い。

 この方の名はレディア・ホーエンハイム。

 劫火の魔女レーヴァテインの異名を持つA級探索者であり、

 信じがたい事に、あの炎城ホムラ様の中の人だそうだ。


…いや、ホントに?それマジで言ってんの?

 よしんばそれが事実だったとして、実は炎城様って3人くらい居たりしない?

 え、ガチ?


「あはははははwwwやっさん、素でもったいない病発動しまくってたもんねぇwww芸人適性高くて見習いたいわ〜www」


 一方、ボルヘス様の方は、附子島ベノミの配信で見た通りの笑い上戸だった。

 今回の合同探索で、これが素だと言う事がイヤと言うほどよく分かりましたわ。


 実は以前からお嬢様のファンだったらしく、いつのまにやらお嬢様の事を、”八津咲ネイル”の名字にちなんで”やっさん”と呼ぶようになっている。


 それ自体は構わないのだが、流石にオフでその呼び方をされると身バレに繋がりかねないので、生身の状態ではあまり習慣化しないで頂きたい。


「まあ、なんにせよ、三人ともお互いの力を十分に引き出し合えたようで何よりだ。特務ガーディアンの撃破依頼を、たったの3機で半日とかからず完遂して戻るとは。高い期待をさらに上回る成果だった。」


 そう言って、クロウリー社長は満足げに顔を綻ばせ、手元のラップトップ端末を操作した。

 これにもゴーレムが宿っているのだろうか?


 主の許しなく他のゴーレムと念話を繋ぐことはできないが、一度ロイやイヴも交えて事務所の皆で話をしてみたいものだ。


 ファイルが開かれ、端末と連動したプロジェクターが、応接スペースの壁に画面と同じ映像を映し出す。


「こちらも君たちのお披露目用のPVの叩き台ができた所だ。ユニット名は、かねてから伝えてあった仮名が予定通り採用された。地の底に巣食う、機械仕掛けの魔物達さえも震え上がらせる、地獄の拷問官…その名も『とーめんたーず』!」


――――――――――――――――――


moglive production presents…


MOGLIVE 4TH GROUP


―TORMENTORS―


『こんブスで~す!って、誰がブスやねん!モグライブ4期生、とーめんたーずのおクスリ担当!附子島ぶすじまべノミですっ!みんな~、あたしキレイ~?』


 とーめんたーず、劇薬拷問官―附子島べノミ

 忌わしき、毒の権能を持つ地獄の3女神の長女。

 朗らかな笑顔の裏に、底知れぬ狂気を隠した、陰惨なる苦悶の伝道者。

 しかして彼女の惨たらしい実験の先には、迷える魂の救済が待つのだと言う。

■誕生日:3月3日 ■身長:173cm


『消毒!消毒!こん消毒ッ!モグライブ4期生、とーめんたーずの火炙り担当!炎城えんじょうホムラであります!諸君、松明は持ったな?』


 とーめんたーず、焼印拷問官―炎城ホムラ

 呪わしき、炎の権能を持つ地獄の3女神の次女。

 曇りなき澄んだ眼を、狂熱に焼き焦がされた、苛烈なる灼熱の伝道者。

 その迷い無き深紅の軌跡は、罪深き魂を赦す浄化の路であるのだと言う。

■誕生日:7月7日 ■身長:149cm


『ハイホー!皆様こんリッパー!モグライブ4期生、とーめんたーずの解体担当!八津咲やつざきネイルでーす!あなたのハートは、いくらかなぁ?』


 とーめんたーず、鉤爪拷問官―八津咲ネイル

 恐るべき、刃の権能を持つ地獄の3女神の三女。

 妖精の如き可憐な舞いに乗せて、狂乱の爪を振るう、非情なる略奪の伝道者。

 裁きの一撃をもって、汚れた魂を斬り伏せ、無垢なる数字に還元するのだと言う。

■誕生日:9月9日 ■身長:167cm



『『『地獄の沙汰もカネ次第!カネがないなら身体で払え!我ら冥府の秩序の守護者!地獄の拷問官”とーめんたーず”!』』』



―TORMENTORS―


―THE STRONGEST ONES―


―COMING SOON…

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