第10話 迷いクジャクから野良クジャクへ

 ふと気づきましたが、私が書くことは食べ物の話か、動物の話か、になりがちなようです。


 田舎暮らし、お洒落でエコな感じにならない当エッセイ、そんなわけで(?)、動物ネタ参ります。


 本日のお題は『クジャク』です。


 * * *


 ある日のこと。

 スマホを手にした夫が、思い出したように言いました。


「そういえば、Jさんからメールが来たんだよ」

「おお。元気にやってる感じ? Nさんも元気かな?」


 Jさんといえば、迷いロバを飼っているご近所の友人です。

 Jさんが旦那さんで、Nさんが奥さんになります。


「うん。元気そうだけど、びっくりすることがあってね」

「ん?」

「ある朝、庭に出たら、庭の木の上に、クジャクがいたんだって」


 クジャクですか……?

 

 この辺りでは、大きい鳥といえば、七面鳥が飛んでいたりはしますが……クジャクはさすがに野生のクジャクというわけではなさそうです。


「……それはびっくりだね」

「うん。さすがにどこかで飼っていたのが逃げ出したんじゃないかって、今飼い主を探しているらしいよ」


 どこかで飼っていた、というのもびっくりですが、実際に庭にクジャクがいたわけなので、そうなんでしょう。


 実際、獣医さんのところで、カンガルーも見かけましたし。

 皆さんのペットがとても自由で、エッセイのネタには困らないからありがたいところです。


 夫の話によると、Jさん夫婦は飼い主探しをしていたようですが、ある時、気がついたら、クジャクさんはまたどこかに行ってしまったらしい、とのことでした。


 クジャクも鳥ではあるので、地面から木の上にジャンプしたりと、飛べることは飛べますので、仕方ないところです。


「そっか〜。今度は『迷いクジャクがウチに来たので、飼い始めました』なんて言われるかと思ったよ」

「はっはっはっ、さすがに、迷いクジャクにはびっくりするよな」



 そんな会話を交わして約1ヶ月後のことでした。


 夫が運転するトラックに乗って、隣町から自宅へ戻る途中、大通り沿いをよちよちと歩く、太った鳥を見かけました。


(何の鳥だろう?)


 鶏でもアヒルでもないし。

 七面鳥でもない。

 鷹でもない。


 ブルーがかったグレーのその鳥はもしかして……。


「今、私、メスのクジャクが歩いているのを見たかもしれない」

「ええええっ!??」


 夫よ、そこで急ブレーキは踏まないでいいです。

 田舎の1本道とはいえ、危ないですからね。


 さて、クジャクに戻りましょう。

 オスのクジャクは長い尾羽に立派な頭飾りをしたゴージャスさですが、メスは見た目が地味なんですよね。


 以前、旅先のクジャク&オウム・トロピカルな鳥さん♡ふれあい広場的なところで散々写真を撮ったので自信があります!


「結局、迷いクジャクは家に帰れないまま、野良クジャクになっちゃったのかな……」


 クジャクを見かけたのは、ご近所でたくさんヤギさんを飼っている家の近くでした。

 動物好きの一家なら、もしクジャクを見つけても、きっとよくしてくれるに違いありません。


 野良クジャクまで来て、これ以上珍しい動物には出会わないと思いますが、もし出会った場合はまたご報告しますね^^


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