世界の片隅で今日も生きてます

第2話 【最高のごはん１】エジプトの豆スープ

　新しいシリーズを始めました。

【最高のごはん】シリーズです！

　食いしん坊ぶりがバレてしまいますね♡

　さて、今日ご紹介するのは、もう……恐ろしいくらいの昔に旅行した、エジプトで食べた豆のスープです。

（年齢をバラしたくないので、何年前かはご容赦ください）

　じっくり煮込まれた豆がとろっとしていて、クミンの香りがピリッとアクセントになったこのスープ。

　大げさですが、その時の私の体を救った１杯になったのでした。

　＊　＊　＊

　エジプト旅行。

　添乗員さん同行の、安心なパッケージツアーで行ったのですが、そこはエジプト。

　心配なことは山のようにありました。

　まずは、水の心配。

　それから、食べ物も。

　お腹を壊したらどうしよう、と不安になります。

　エジプトはトイレ事情も心配だったので、ますます食べ物に敏感になります。

　水で洗う生野菜も怖い！　と思ったりして。

　（これは何十年も前の話なので、今は違うかもしれません）

　そんな中、ツアー参加者は１人、また１人と体調を崩していきました。

　そしてついに添乗員さんまで、お腹が不調に……！！

　私の不安も高まります。

　果たして予感は実現し、しっかりとお腹を壊したのでした。

　ツアーのスケジュールって、結構大変だったりしますよね。

　自由時間は少ないし、バス移動が多いので、移動時のトイレも心配になったりします。

　私が体調を崩したのは、確かに現地の食べ物や水もあったかもしれませんが、心配しすぎて、ちゃんと食べられなくなっていたことと、トイレを心配して、水分をあまり取っていなかったこと。

（だめだぁ、こんなんじゃ）

　エジプトは当然暑いです。

　日差しは強いし、体力が奪われていきます。

　この調子で、最後まで旅行を全うできるのだろうか？

　あんなに憧れていたエジプトなのに、これでは観光すらちゃんとできないのでは。

　落ち込んでいた時に、出た夕食のメニューが、豆のスープだったのでした。

（おいしい……！！）

　私は一気に平らげました。

　温かな、水分もたっぷり、栄養たっぷりの豆のスープは、ちょいとスパイシーで、どんどんお腹に収まります。

　こんなに食べ物がおいしい、と思ったのは初めてでした。

　翌日、少し復活した私は、水分も積極的に取るようになり、体調も回復していきいました。

　英語も適当なのに、なぜか勢いがついて、遺跡見学の合間に、現地のお茶屋さんに入ります。

　現地のおじさんが飲んでいた、ガラスのコップに入った熱々の甘い紅茶を頼んで、楽しむようになりました。

　暑い空気の中で飲んだ熱い紅茶は、甘さが体を癒してくれ、最高でした。

　無事にエジプト旅行を終えて帰国。

　それは私の初めての海外旅行でした。

　ちょっとの勇気と、食べ物のありがたさ。

　自分の体の大切さ。

　そんなものを学んだ、エジプトの旅でした。

　＊　＊　＊

　豆のスープは今でも好きで、よく作ります。

　ポーランド風ソーセージと白いんげん豆のスープはお得意のレシピで、しっかりとクミンを使って香りを付けます。

　クミンの香るスープを食べる度に、エジプトの豆スープを思い出すのでした♡