文鳥
文鳥を一羽、飼っている。わたしがヒナから育てた。
白くかがやくような羽毛に、さくら貝のくちばし。黒真珠みたいな目のまわりが、赤くふち取られているのも愛らしい。
ヒナの頃は鶏ガラのおばけみたいだったものが、こんなにも美しく育っただなんて。
手乗りで、誰にでも人なつっこいけれど、一番なついているのはもちろんわたしだ。
遊ぶのが大好きで、かごの扉を開けるとあわてて飛び出てきて、いったん人差し指につかまる。それから思う存分、部屋のなかを飛びまわる。
といっても、まったくの自由気ままというわけではなく、名前を呼ぶとどこからでも飛んで戻ってくる。かわいいやつだ。ところ構わずフンをしなければもっといいのだが……。
遊び疲れると、わたしの手のひらに体をうずめて休憩する。水浴びをする時のようにからだをふくらませ、手のひらのカーブにぴったりと寄り添う。目の下をやさしく撫でてやると、まぶたを閉じて気持ちよさそうにじっとしている。そのまま撫でていると、ほんとうに眠ってしまうこともある。
こんなに小さくて、あたたかくて、美しい生き物を手にしていると、どういうわけか、ギュッとひと思いに握りつぶしたくなる。
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