第2話
私は仲間のいるテント場まで戻りながらさっきあったことを考えていた。
魔王がなぜ私の前に現れたかと言うと、単なる暇つぶしと自分を倒しに来るもの達がどれほどものか見に来たらしい。
私が感じたあの魔力、今の私たちでは歯が立たないだろう。魔王を倒すより先に魔王城に向かう道中で、魔物にすらやられるかもしれない。
そして謎の一言を残し魔王は夜に消えていった。
それは
「我はお主を嫁にしたい」
と、何言ってるんじゃァァ!思い出すだけで頭がパンクしそう。
「はぁ…色々ありすぎて疲れた、早く寝よう」
溜息をつきながらテントに入る。どうやらほかの皆ももうテントで寝ているようだ。
テントの周りには魔物避けの魔法がかかっているので襲われる心配は無い。
朝、私が起きると既に仲間が焚き火を囲いながら話をしていた。何やら深刻そうな面持ちだ。
「おはようございます。皆さんどうたのですか?」
仲間が私の顔を見るとなんとも言えない顔をする。
「…コニー、君には失望したよ」
キルが口を開く。
「私なにかしてしまいましたか?」
「酷い!シラを切るつもり!?私の大切なネックレスを盗んだくせに」
ミミィが金切り声を上げながらキルに泣きつく。
「ミミィ大丈夫だよ、僕が守るからね」
「えっと、私がミミィさんのネックレスを盗ったと…」
「ああ、そうだ昨日の夜ミミィが大事なネックレスが無くなったと言うから皆で探したんだ、そしたら君の荷物の中からネックレスがでてきた」
人の荷物を勝手に漁るなんて酷いものだ。
「私は取っていませんし、私が取ったという証拠はあるんですか?」
「コニーさん酷わ、私昨日の夜謝りに来てくれたら許そうと思っていたのに」
「ミミィ…証拠はこの子の涙だ、それに僕も君の荷物にネックレスが入っているのをみた」
ええ…そんなのミミィが私の荷物に入れてキルに見せればいくらでもでっち上げれるのに。
他の皆も軽蔑眼差しを私に向ける。
「君にはこの討伐隊から抜けてもらう、仲間のものを盗む奴を仲間だとは思えない」
キルが私を睨む。どうやら有無を言わさず追い出す気らしい。
昨日ミミィが覚悟しとけと言っていたがこんなに早く仕掛けてくるとは思わなかった。
「…分かりました。私は抜けます」
まぁ別にこの討伐隊に思いれはない。居心地も悪かったし抜けて自由にできるならそれに越したことはない。国から命令されて組まされただけだし、帰っても家もないから別の国で暮らしても問題もないかも。
「あ、でも最後に一つだけ魔王結構強いので今のままだと勝てないですよ」
ここまで旅をして来たよしみで昨日感じた物を忠告してみたのだが。
「何を言っているのよ、実際に見た訳でもないのに。もしかして仲間から外された腹いせ?」
本当のことなのに。
「呆れた、僕達はもう行くよ」
どうやら私が起きる前に出発の準備を済ませていたらしいキルたちは森の中に消えていく。去り際にミミィがニヤっと嫌な顔をしていった。
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