今日わたしは死ぬと分かっていて学校に行った
今日
わたしは死ぬと分かっていて学校に行った
今日は人生最後の日
どこに行くでも
誰に会いに行くでもなく
わたしは
死ぬと分かっていて学校に行った
眠くなるばかりの先生の授業
騒がしい教室
子どもっぽいクラスメート
だらだらとした無駄な時間
静かな場所に行きたくて
みんなが帰った夕方、学校の小さな図書室に立ち寄って1冊の文庫本を借りた
返せる宛もないのに
今時貸し出しカードに図書室備え付けの鉛筆で自分の名前を書き込む
白く灯る蛍光灯より
少し埃っぽいカーテンの間を窓から差し込む夕日の方が眩しかった
誰もいない家
玄関でローファーを脱いで揃えると自分の部屋に上がり制服のままベッドに倒れ込んだ
窓越しに差し込んでいた夕日がすっと消えた頃
わたしは思い出したようにベッド脇に倒れているカバンから借りてきた文庫本を取り出す
明日わたしはこの世にいない
こんな何気ない日常も
もう来ない
泣くでもなく
虚しいでもなく
ただただ空っぽで
部屋に唯一の窓にふと目をやると
それでもきれいに小さな月が
終わりかけた春の空に浮かんでた
バイバイ
この世界
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