第37話

「人類諸君、余はバルサク宇宙帝国皇帝エリザベートである。今日はこの地上から戦争が終わる日になるはずだった。日本側の降伏調印式があったからである。余は皇帝名代として信頼する皇帝教育係のカイゼル元元老院議長を派遣し、調印と同時に戦争終結宣言を出し人類と手を取り合い新たなる一歩を踏み出すはずだった……。だが、それが叶うことはなかった!卑劣にも地球防衛軍とピュアハーツは調印式を行うため首相官邸に向かうカイゼルを襲撃し暗殺したのだ!皇帝名代暗殺は皇帝暗殺と同等に扱われる!この日本を焦土にしても許されるほどの暴挙だ!カイゼルの功績は我々が挙兵する前からの付き合いである!建国時の人間は覚えているだろう、我らが師を!我々が立ち上がる時叱咤激励した彼を!私が皇帝ならカイゼルはまさに国父だった!建国したときも!帝国になったときも!帝国が有名無実化したときも!宇宙に進出した時も!事実上の宰相としてこの国を仕切り導いてきた!その宰相が卑怯な騙し討で殺されたのだ!日本は降伏すると、東京都を通じて連絡してきたのだ。正確には東京都が日本政府に降伏調印を進めたのだがな。だがこれが答えである、日本という国家は最後の最後まで卑劣で!卑怯で!唾棄すべき国家だった!そして我々は報復したのだ!これが今の霞が関だ!東京全域の攻撃も考えたが東京都は降伏しているので日本政府所有施設を全て破壊させてもらった。もし彼らが勝てないとわかった際にこの国を穏便に着地させるのなら何故もっと早く行動しなかったのか!なぜ明石海峡大橋を爆破するような真似をしたのか!国家も!地球防衛軍も国民なぞどうでもよいからだ!事実我々の解放地域に対して……言葉を飾るのはやめよう、日本が降伏していないのだから日本占領地域だ!その場所に対して無茶苦茶な取引をふっかけ!インフラ設備を破壊し!それでもなお戦いを続けた!彼らには国民に対して何一つ感情を動かさない!無知で無能な集団に過ぎなかった!この国を破壊したのは誰だ?我々か?いいや違う……日本政府と地球防衛軍とピュアハーツだ!これを消滅させることが我々バルサク宇宙帝国が日本国民に……日本地域に対してできる責務である!連中はこれまでも自分たちこそが我々を救う救世主だと言いながら成果も上げず専横してきたのだ!我々が諸君らの救世主になるかはわからない、だが無謀な戦争を続けることはしないと誓おう。我々はいつでも勝つことが出来た、我々の目的は植民であり移民である。だからこそこの星を傷つける攻撃はできなかった。もし我々の旗艦が砲撃すればこの星は消し飛んでいただろう。我々はハンデで戦っていたに過ぎないのだ!その甘い態度がアメリカ合衆国や国際連合のような欺瞞と権益で腐り果てた組織に付け入らせてしまった!これは我々の落ち度である!我々は信頼できる盟友であるカナダ、スペインとともに地球の発展のため努力することを誓おう!我々バルサク宇宙帝国はバルサクから始まり多くの国家を取り込み国民としてきた、帝国の崩壊は国家の崩壊を意味し、国家の崩壊は全国民の崩壊に他ならない!国家に人種間の差別は許さすただ能力によってのみ地位を得る!無論、別に優秀でなくても生きていける!何処の誰が優秀でないと言うだけで人としても下に置き、その上迫害までして生活を苦しめる国家のために働けるのだ?我々は運命共同体なのだ!苦しむ人間が自業自得でなければ手を差し伸べ、苦しませた人間をみんなでぶっ飛ばす!単純な助け合いをするだけなのだ!今より暮らしやすい世の中へ!我々を信じて手を取ってはいただけないだろうか。日本政府は滅んだ、地球防衛軍ももうほとんどいない、ピュアハーツを倒せばすべてが終わる!国家の敵は何処にいる!今まさに手元にあった平和を奪い去った我らが敵は!我々バルサク宇宙帝国という運命共同体から一人の同士を奪い去った連中は今何処にいる!我々バルサク宇宙帝国はピュアハーツに対して宣戦を布告する!地球の方も守れぬ連中に生きる場所はない!平和のため連中を倒そうではないか!カイゼル元元老院議長もそれを望むだろう、我々がすることはなにか。それはこのようなテロリストであるピュアハーツを倒し地球を、バルサク宇宙帝国を平和にすることではないだろうか?もしよろしければ卑怯な手段で殺された我らが師を知らぬ人たちも黙祷を捧げてはくれないだろうか?」


 演説を中断し黙祷をする皇帝を見ていた人々は絵画のようなその姿を見てなんとも言えぬ湧き上がる感情を感じていた。


「黙祷してくれた方々はありがとう、これにより我が師カイゼルも眠りにつけるだろう……我々は良き統治をし、同化し、ともに歩いていくだろう。100年か1000年もすれば笑い話になり、過去のくだらない話になり恨みも怒りも忘れるその日を私は願っている。まだ人類の寿命は100年がせいぜいだが同化が進めば伸びていくだろう。今より良き暮らしを共に作っていこうではないか!」






「さて……脱出しないといけないよ」

「エデソン博士……」

「スーパーギャラクシーピュアロボは何故か帝国に補足されない、さぁ乗るんだ……逃がしてあげるよ」

「これからどうなるですか?」

「名指しでお尋ね者だよ?そりゃ……殺されるんじゃない?」

「「そんな!」」

「なんとかならんのか!」

「はぁ……」

「まぁ無理でしょうね~」


 5人の力ももうだいぶ減ってるな、これはもう駄目だな……。

 次は幹部全員で仕留めに来るだろうね。抑える領土も人員もないし……。

 関東平野地下基地を見て抑えられてないならそこに……。ロボを使えば国外も行けるな……補給はもう略奪でいいだろう。

 降伏すら出来ないとは流石に想定外だったよ……せめて命だけはと思ったけどこれは厳しいかもね……。

 鉄壁くん、すまんね……。

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