第28話
適応化怪人を雑に出し続けるというただそれだけの行動をし続ける。
人類側は基本的に強化されたところでピュアハーツに叶うわけもなく叩きのめされ死んで消えさる、帝国兵も同時侵攻をするものの結局ピュアハーツが廃墟ごとピュアバズーカを打ち込み、撤退。
たまに適応化部隊の怪人が一人二人と巨大化して敗北して町ごと消し飛ばす。
テレビ番組のように迂遠な作戦もなくただ出来たらすぐにぶつける、訓練謎人類側には無意味、見込みがあるやつだけそっちに回せばいいと即座に戦地へ投入。
シュタインは休暇という名の爆睡生活に入り、シーザはカナダの森林地帯ですべての連絡を絶ち休暇を満喫している。
政治と軍備開発は完全に停滞状態に陥り帝国のシステムの問題を浮き彫りにする中で久々に皇帝親政状態で働く皇帝は流石に研究開発は専門外じゃないかと思いながらリストに目を通す。
「今日だけで200人、そして全員素手で殴られて死亡か……ピュアハーツってゴリラ改造したんじゃないか?それかゴリラ・ゴリラ・ゴリラ星の生き残りなんじゃ」
巨大化した報告はなく何が原因なんだかさっぱりわからん、そりゃ知りませんわかりませんとしか言えんわな……とさじを投げつつその足で議会へ向かう。
「適応化部隊200人全滅、帝国軍は千葉房総半島からピュアハーツの迎撃、これに失敗し大隊長4名戦死、師団長ヴェルゲナー負傷撤退。退役」
「陛下、海兵隊を出すべきでは?」
「あれは元々宇宙艦隊の人間を無理やり使ってるに過ぎん、解体すら視野に入れている、敵艦への切込み部隊を残して艦隊に戻すことも検討中だ。シタッパーが苦慮している」
「騎士団は大規模襲撃をかけないのですか?」
「適応化部隊の巨大化に巻き込まれて踏まれたら死ぬ、爆発に巻き込まれたら団長と言えど死ぬ、ピュアバズーカ封じで使う適応化部隊のせいで騎士団自体が適応化部隊と切り離さざるを得ない。同時に騎士団とピュアハーツが戦闘状態に入り帝国軍と適応化部隊が侵攻した際にピュアハーツがどれを迎撃するかといえば間違いなく適応化部隊だ、あの巨大ロボが出張ってきた場合は面倒だ。おそらく稼働時間は短いが三軍の迎撃でロボが地団駄でも踏もうものならそれだけで軍は壊滅するだろうな。我々がするのもはや地球完全平定ではない、ピュアハーツの完全撃破だ。町中で騎士団が戦闘行動をしている際に今はロボに乗って国家の危機だから町ごと踏めばいいと大義名分を与えたらそれこそ終わりだ、連中の倫理観を守らせねば我々は勝てない。地球を破壊して滅ぼすのは簡単だ、それこそ元帥でも提督でも騎士団長でも用意に解決する。諸君らは忘れてはいけない、この星を比較的無傷で手に入れねばならん、主砲の一発でこの星は破壊されるようなひ弱さなのだ。自らの孫を抱くかのごとく丁寧に接しなければならぬ。我々は勝てるが勝ち方が決まっているのだ、この惑星を手に入れ臣民を……」
「わかりました、私がでます」
「マクウルト議員」
「適応化済みです、今日までに亡くなった適応化部隊は1万5000人を越えました。そのうち巨大化したのは何体ですか?」
「7体だ、初の巨大化事例から1月……」
「そろそろ我々の血を流すときです、無論勝つつもりではありますが」
「なにか策でも?」
「変わりませんよ、私が引き付けてる間に多方面で侵攻すればいいだけです。全部を奪還されてるわけではありません、ピュアハーツが奪還した地域を抑える地球防衛軍はもはやいないものですよ、最前線は帝国兵がいるところ、後は進むだけ……私はバルサク建国時からの人間ですからね、巨大化くらい出来るかもしれませんよ?」
「…………わかった」
「では八王子でお願いします、軍は私に合わせず好きなように」
「マクウルトが怪人として出兵する?」
「うむ、八王子に出る、それに合わせて帝国軍は攻撃を仕掛けて欲しい」
「騎士団は出しますか?」
「帝国軍も主攻は千葉か?それなら……」
「いや、騎士団を出さざるを得ない、マクウルト氏は元第13騎士団長だ、現13騎士団を出す必要があるだろう、そもそも聞けば懇願されるし却下に当たる理由がない」
「では騎士団は出す方向で任せるアッサー」
「我々はあくまで数で押して巨大化した適応化部隊が主要都市を爆死で破壊して敵地の奪還を阻みピュアハーツの出現場所を狭めていき5人を叩き潰すという方向でよろしいのですね?」
「ああ、変身してるんだか変態してるんだか変形してるんだか普段からあの格好で基地にでも籠もっているまではわからんがな、巨大化して爆死できれば八王子の道路網を完全に遮断できる、そうすればあの地域の奪還もこちら側の占領も優先順位が下がるからな。もっともマクウルトなら勝つだろう」
「第13騎士団長のベルーは適応化できませんでしたから……巨大化した場合は厳しいですね」
「致し方あるまい……巨大化の際は撤退するように」
「御意」
「なるほどな、こうも厄介な奴らと帝国は戦っていたわけか」
圧倒的な兵力を蹴散らしていくピュアハーツ。騎士団、帝国兵の混成軍を蹴散らし、たまにパンチが当たるが少しだけ怯んだくらいで即座に反撃する。
「明らかに強くなっているように思えるな、キホテも今戦えばすぐ敗れたかもしれん」
「ええ、あれは私より強いですね」
「ベルー、そう言うな……まぁ構わん。爆弾はしかけたか?」
「もちろん、巨大化に失敗しても爆死しないエビデンスはないのでこれで八王子を完全に破壊しましょう」
「エビデンス?」
「こんな場面で使うとテレビで見ました」
「この星は娯楽が多いな……エビデンスね、決め台詞かな?」
「やたら連発してるので多分そうでしょう」
兵は倒れ続け、それでも2人は動かず観察し続ける。なにか突破口はないかと。
「隙だからけだが隙がないな」
「奇妙ですね……0,1秒の隙があるとかのほうがまだわかりますけど」
「大振りだが隙を付けない……エデソンの改造かなんかか?圧力?」
1年で消える力が漏れ出てるだけである。それが威圧するようにでているので皆が怯んでいる。出力を上げたせいで強くなったピュアハーツのたたきと2つ合わせて怯んでいるのである。
奇しくも2人はその力に震えているようで、隙がないように見えているのだ。
「では勝ちに行くか」
「ええ」
「何や今回は数が多いやん!」
「しかも手強い!」
「なんか面倒ね~」
「領土を失ったせいで移動がへったのが……皮肉だね」
「どうせ陽動もありますよ!早く別地点へ!」
「おっと、そうはさせんぞ!元老議員マクウルト!」
「第13騎士団長!ベルー!」
「き、騎士団長!」
最初の戦いのトラウマから怯む5人だったが、自分は強化されていると思い直し前を向き名乗る。
「この世の悪を焼き尽くす!灼熱業火!レッドハーツ!」
「邪悪な心を凍らせる!氷河凍土!ブルーハーツ!」
「大地の怒りを思い知れ!森羅万象!グリーンハーツ!」
「天空の怒りその身に宿せ!神罰神雷!イエローハーツ!」
「愛は世界を包み込む!博愛の女神!ピンクハーツ!」
「「「「「世界の平和は私達が守る、地球に輝く5つの光!防衛戦隊ピュアハーツ!」」」」」
「何が世界だもう日本だけだろ!」
「うるさい!」
答えはパンチ、ベルーはその威力にドン引きしていた。
「マクウルト前団長!こいつら……ものすごい怪力です!も違いなくゴリラ・ゴリラ・ゴリラ星の亡命者かなんかですよ!」
「まだ生き残りがいたのか!クソ!奪うことしか考えてない底辺知能ゴリラめ!」
「誰がゴリラだ!人類だ!」
「失礼ね~殺すわ」
「死ね」
「見ろ!ベルー語彙力まで同じだ!ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ星の生き残りだと連絡しろ!打つ手を変えねばどうなるかわからん、繁殖されたら厄介だぞ!パカパカ性交してパカパカ生むぞ!こんな奴ら増やされたら終わりだ!今度は惑星ごと吹きとばせんぞ!」
「するか!」
「ふざけんな!」
「捕らえられた人類の女を開放しろ!この種付けクソゴリラめ!」
恐ろしい風評被害が加速しているがこの戦闘シーンは世界同時中継である。
人類側も宇宙人同士の戦いに巻き込まれたのかよ、行方不明の女性ってもしかして地球防衛軍が?と失い続けた支持をさらに落とし続ける。
総理は官邸の机を思いっきり蹴っており、鉄壁長官はエデソンをちらりと見るが絵で損は思い出したくないと震えていた。
皇帝は戦闘後の緊急会議を決定し通知を出して溜息をつく。
ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ星の生き残り?あの強さと悪知恵と繁殖行為しか頭にない?流石に嘘だと思いたい。
「数発受けたマクウルト前団長、感想は?」
「こいつらゴリラゴリラ・ゴリラ星の生き残りだわ」
「「「「「違う(よ)!」」」」」
「もう許さない、ピュアヘブンを打ち込む!この弱さなら大丈夫」
「……!?躱すぞ!」
「躱す、そうですね……市役所の方向へ」
躱すぞは事前に決めた符号で爆破用意、市役所は起爆装置がその方面にあると言う意味である。
「「「「「五光照覧!ピュアヘブン!」」」」」
これは躱せんな……。せめて……!
ドン、と自分を突き飛ばすベルーが消し飛ばされたのを見たマクウルトは中継にうつるように、見苦しくても、市役所の方へ向かう。
この距離なら……わかるまい、俺か爆弾か!巨大化出来なくてもそれでいい!貴様らは今後行動の指針自体を縛られるがいい!
そうしてマクウルトは、お約束のように巨大化せず消し飛び、市役所の爆弾を連鎖起爆させ、八王子市を吹き飛ばした。
そしてピュアヘブンを打ったピュアハーツは戦闘慣れにより確実に殺したことを確信していたため即座に横浜に迎撃に向かった。
そして……怪人自体が巨大化せずとも爆発するという可能性はエデソンや鉄壁、占領されたりされなかったりを繰り返す街に与えた影響は大きかった。
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