第14話

 俺の海兵隊が夏のアイスのごとく溶けていく。

 一般人のふりをして一気に占領、転移候補地から除外でピュアハーツの転移を阻止する作戦は順調ではあるのだが……。


 少しでも手間取ると転移してきて薙ぎ払われる。地球防衛軍を避難させてから薙ぎ払うのでこちらは地球防衛軍にすがりつくしかない、だが地球防衛軍を逃がしたり全滅させれば悠々自適にピュアバズーカをぶっ放して終わる。

 人質でも取れればまた変わるかもしれないが……やはり今後の統治に差し障る。作戦柄テレビで生中継されてる訳でもないので地球のためだと人質ごと殺しにかかって俺達に責任を押し付けるくらい平気でやるかもしれない。


 そしてまた、最前線で通信が途絶する、連中も覚悟が決まっている。死ぬ気で足止めをしてピュアハーツを呼ぶ。地球防衛軍は兵力の分散を平気でやるが攻勢をかければバズーカで吹き飛ばせると完全に高をくくっている。

 持ち回りで指揮官自体を交代して戦術自体を部隊で変えるか?いや、撹乱の利点はあるが各部隊を活かせるとは思えん。俺に騎士団の指揮は無理だろうしな、逆に海兵隊なら2人は指揮できるのはなんとも……悲しい話だが。


 今回は20以上の村や町で一斉に占領を始めたんだがな。半分は失敗か、飛び地だとこちらが管理上は不利になる。少なくとも作戦を遂行し続けて地球防衛軍とピュアハーツが最前線をじっくり潰していく戦法を封じるしかない。

 各隊長たちにはピュアハーツがでたら逃げるように言っているが一撃で消えるな。

 付き合いの長い人間は消えてくのはなかなかに絶望だ。彼らにも家族はいるしその家族にが住む土地は足りている。それでもなお戦争は続く。

 いや、人間体じゃないのもいたな。


 勝てるのに舐めプをせざるを得ない戦争。我々の誰もが虐殺者になりたくなく、なるべくなら宇宙船地球号に乗船して共存したいと思っている。

 侵略者と暮らしたくない気持ちもわかるがね。


 だが連中は侵略者と戦うために地球を人質にしてるようなもんだぞ?俺でもそうするけどな。それで優位だと思ってる姿が滑稽だな!

 踊らされてる我々の滑稽さは醜悪な喜劇そのものだがね。

 艦隊の主砲一つで片がつくことをダラダラとやっている時間と人的資源の無駄な浪費。

 海兵隊員は死ぬとわかってもやらざるを得ない、それが任務だし死なないかもしれないからだ。実際必ず全滅してるわけではないからな。


 勝った後、どうするんだろうな?ピュアハーツの処刑を理性で留めることができるだろうか?

 地球防衛軍の要、いや本隊であるピュアハーツを放置することは危険すぎるのではないか?本当に講話できるのだろうか?日本政府側からアプローチがないのは新地球防衛軍に交渉を全部投げているのだろうか?


「第8海兵師団第9連隊各中隊が通信途絶」

「撤退させろ」

「第7特殊作戦部隊、通信途絶。第12特殊作戦部隊、撤退」

「第2海兵師団第1連隊、第2連隊通信途絶、第3連隊全滅判定」

「第3海兵師団第1連隊通信途絶」


 全く好き勝手にぶっ放してくれる、一撃で連隊が吹き飛んだ。 本部大隊や連隊長たちは生きてるだろうが何処へ吹き飛ばされたんだか。

 少なくとも中隊のメンツは絶望的だな。数の活かし方がこれではな。艦隊戦はともかくこちらは専門外すぎたか。


 それにしても面倒臭がって全部の連隊を師団ごとにと1から割り振ったのは失敗だったか?第1連隊の通信途絶が多くて何処が途絶したかわからなくなってきた。

 なるほどね、ナンバー持ち連隊が一つしかないの先人の知恵だったわけだ。

 まぁ、バルサク宇宙帝国は100億人で一応国民皆兵だからな。103410連隊とか覚えるほうがしんどいだろうから仕方がない、師団数を増やして軍団数を増やしてとやっていかないとたまらん、それでも宇宙戦で数億消えれば再編して消える師団もあるが。


「海兵隊総司令部前進!」

「辞めさせろ、総司令部が前に出てどうする」


「佐官級のみで前進、地球防衛軍と戦闘を開始、ピュアハーツ転移した模様」

「総司令部敗退はまずい、とにかく下がれ!転移で帰ってこい!」

「総司令部、地球防衛軍基地に大規模な攻撃、撤退」

「転移は?」

「使っていません、多方面を優先するようにとの伝言が」


「総司令部ピュアハーツと戦闘開始」

「俺が出る!」

「いえ、もうバズーカで吹き飛ばされたと、生命反応があるので佐官級は全員無事かと」

「無事ならいいというわけではない、怪我の大小があるだろう」

「かすり傷程度だと」

「頼もしいね……」


「マリン総司令、再度地球防衛軍基地を攻撃、撤退しました」

「ハラスメントに終止しているな、効いているのか?」


 これはもう本当に将官級だけでゴリ押して勝つしかないのか?だが吹き飛ばされはするからな、各戦線で将軍たちが吹き飛ばされては戻り数の力で勝つ姿は……正直地球の統治のため云々以前に帝国側が……不甲斐ないと怒り出すかもしれん。

 それに死なないだけだしな、普通に相性の問題で死んだりしたらそれこそ大問題だ。


 そう考えるとあの戦隊ものは国民感情を配慮しないで俺達より過激な手段を取れて勝てなかったのか、弱いんじゃないか?

 それに誰が死んでも問題なさそうだしな、こっちでアッサーとかが戦死したらもう撤退すら真面目に考えた上でアメリカの山脈なんか目じゃないくらいの姿に日本をしてやるだろうな。


「騎士団、奈良京都方面に降下。ピュアハーツはそちらに向かった模様」

「好機だが……いけるか?」

「再編は必須です……攻勢をかけるのであればまだ可能ですが……移動占領作戦だと不可能です」

「ここで攻勢をかけてもより再編時間が伸びる結末しか見えん、地球防衛軍の基地にハラスメントし続けてやるか……俺が」

「シタッパー提督はここでお待ち下さい、規模の大きい作戦の時は後方で指揮をお願いします」


 この程度で規模が大きい作戦とか……まったくここに来てからいいことが何一つない。故郷の侵略はやっぱダメなのかもしれんな。

 それにしても一番活躍してるのは佐官級で固めてハラスメントに徹してる総司令部で次点で総司令官か。

 やはりニチアサ怪人システムは正解なのでは?

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