第9話


 それは迷宮の下層から、時にシーフの忍び足。時に聞き耳、時に魔術師の暗視の呪文を用いて、迷宮の天井や壁の隙間をまるで蛸の様に這いながら上層に登って行った。

 目指すのはあの香りの持ち主だ。……取って喰らった脳四個に魔力を通し、その機能を強制的に励起させる事で、それは遥か遠く離れた場所にいる獲物の音を拾っていた。

 音は五。非常に重たいのが一体、重たいのが一体、非常に軽いのが一体、そこそこなのが二体。……一人は金属鎧を着ている重武装の戦士と思われる。

 それは更に倍率を上げる。革や絹がすれる音、鋼ががちゃつく音、呼吸音。

 嗅覚はわざと使っていない。上層から流れてくる煙には、恐らく魔物除けの薬草が混ざっているのが、吸い上げた知識を通して理解してた。

 種族としての本能から、生き物が持つ『脳』という器官の使い方をそれは十分理解している。

 この脳というのは多種多様な知識を溜め込む壺であり、記憶と思考を合わせる歯車であり、肉体と魂を繋げる鎹である。そこに自分の持つ魔力を通す事で、それは哀れにも犠牲になった脳の知識や技能や経験を使う事が出来るのだ。

 ……故に、まだ心や自我といった物を残した脳達は地獄の様な苦しみを味わい続けるのだが、それにとっては彼等の痛みもまた貪りつくす対象に過ぎない。

 脳を喰らう醍醐味とは、蓄えた知識や記憶や経験を使うだけでなく、自我や心までも味がしなくなるまでしゃぶり尽くす事である。

 例えばこうして、脳四個に痛苦を与える一方で、この前取って喰らったハーフエルフの脳には快楽を与えている。魔力を通し本来なら性交で得られる法悦境の快感に浸し続ける事で、それは獲物に残った一握りの自我を尊厳と共に壊そうとしているのだ。

 ただ、嗜虐を満たす為だけに。

 ――人は、それらの事を魔と呼んだ。

 そして黄金の血が魔を呼び寄せる。


 ×    ×    ×


 不意に目覚めたのは尿意を感じたからだ。アスフォデルスは浅い眠りから目覚めると、一度もぞりと身体を震わせる。あの後、一先ず落ち着きを取り戻しそのままなし崩し的に全員就寝した訳であるが、どうやら寝る前に少し水を飲み過ぎたらしい。この感じは朝まで持ちそうにない。

 周囲は明るい。その理由は未だパチパチと音を立てる焚き火と、その番をする小人のゴーレムが時折備え付けの薪と魔物除けの薬草を焚べている。

 バルレーンは正面向かって右、ユーリーフは左側。ファングインは、同じ毛布の中自分の隣で寝ている。

 ……思えば、ここ最近ずっと彼女は傍にいる。そうして悲しみに落ち込む度、ファングインはずっと抱き締めてくれていた。誰かに抱き締められたのは、随分久しぶりの事であった。まるで出会った時の師匠の様に。

「……」

 そっと、手を伸ばしてみる。師匠とは背丈も顔の形も違う筈なのに、どうしてだか彼女に面影を見出そうとしてしまう自分がいる。……その首に腕を回そうとした一瞬、そこでアスフォデルスは我に返った。

 いや、やっぱり今は尿意だ。感傷とか浸ってる場合じゃない。

「ファングインさん。私、おトイレ行きたい」

 彼女は毛布から音を極力立てず抜け出すと、ファングインに小声で話しかける。するとファングインが毛布から体を起き上がらせた。目を瞑り、呼吸は規則的でどうやらまだ寝ているらしい。

「……あれ冗談じゃなかったんですか」

 寝る前バルレーンに夜中のトイレについて訪ねた時、帰ってきた返事はこうだ。”ファンの袖を引っ張ったら寝ながら付いてきてくれるよ”と。

 何の冗談だ、と一瞬思ったが冗談じゃない。バルレーンはただ単に短く事実を告げていたのだ。

 彼女が呟くとファングインは寝息を立てながら、アスフォデルスの後ろにつく。剣術の極意に辿り着いた剣士が、寝たまま剣を振るい、気付いたら敵を倒していた話を幼い頃父から聞いた事がある。聞いた時は、子供心に荒唐無稽な話だなと思ったが、まさかこの年齢になって目にするとは。

「まぁ、剣の上に立つ事できるし……寝ながらついても来れますか」

 昼間の戦いを思い出し、目の前の光景を納得すると彼女はファングインを連れてトイレを目指した。

 軽く開けていた扉を越え、闇の立ち込める迷宮に再び潜る。明かりの無い迷宮は、一歩間違えれば遭難してしまいそうになるが、その都度ファングインが眠りながら彼女を導きトイレには難なく辿り着く。

「少しここで待っててください」

 彼女がそういうと、未だ眠り続ける緑ローブの少女はこくりと頷き入り口の前に留まった。

 ……闇に慣れた目に映るトイレの中は、大小様々な瓶が並んでいる。彼女はその内の小さな瓶を引きずり出すと、閉じていた上蓋を開けた。中にはカラカラにひからびたスライムの残りが一つ入っている。これが迷宮のトイレである。

 彼女がこげ茶のズボンから出したわら紙を床に置くと、そのままズボンを下げようとした。

 ――想像するなら、動きは蛇。それは狙いを定めた蛇が獲物を捕らえようとする様に似ていた。 

 足元に忍び寄った柔らかい何かが触ったと思った瞬間、アスフォデルスの身体には肉の厚い何かが絡み、気が付くと身体を引きずられて逆さ宙吊りの態にされる。

 喉が引き攣り、声にはならなかった。絡みついた何かが強く締まると、そのまま腹の空気が一気に外に漏れる。次いで口元にも何かが絡み、声が漏れ出ない様にされた。

 一瞬の内に自分に何が起きたのか、全く分からない。しかし、自分の身体がゆっくりと部屋の左奥に近づけられると徐々に――それの姿が見えて来た。

 砕け散り、大きな亀裂となった左隅から自分を持ち上げる触手と爛々と輝く目が七個。目は碧や緑や茶など、どれ一つとして同じ色の瞳は無い。徐々に近づくにつれ、不規則な息遣いが聞こえてくる。

「あ」

 声。

「あ、あっあっあっ」

 自分が上げた物ではない、男と女二人が重なった喘ぎ声が響く。声は一人、また一人と重なっていく。低い年かさの男の声、高い少年の様な声、ハスキーな女の声。まるで喘ぎ声の重奏だ。

「あ、助け、あっあっあっ、殺し、あっあっあっ、苦し、あっあっあっ、気持ち良」

 声は人間の物かもしれない。しかし、それは――けして人間ではない。理解する。これは自分を取って喰らう魔の者だ。

「……ッ! ……ッ!」

 時ここに至りて、恐怖は沸点を迎える。まず覚えたのは恐慌。声にならぬ悲鳴を上げ身を捩り、何とか触手から抜け出そうとするも引き締めはより強くなるばかり。

 毒の様に全身に回った恐れから、股座の力が緩み出そうと思っていた尿が溢れ出す。逆さ吊りにされ、それは涙と混じり頬と茶色い髪を伝って地面にボタボタ落ちていった。……そこで彼女が思ったのはバルレーンでもユーリーフでもファングインでもなく、今は遠く離れてしまったファルトールの事であった。

 助けて師匠、そう思った時にはもう抵抗する力すら残っていなかった。

「あっあっあっ、やめ、あっあっあっ、狂、あっあっあっ」

 そうして、亀裂の闇の中からもう一本触手が伸びる。

 彼女の青い瞳がみるみる内に広がっていったのは、触手の先がまるで蟷螂の斧の様に尖っており、惜しむらくは人間の少女一人など容易く切り刻めるだろうと察したからだ。そしてその先には、死より恐ろしい運命が待っているであろう事も。

 ――だが、その運命に辿り着く事は無かった。

「うー」

 風切り音の代わりに唸り声が一つ。ただそれだけで、彼女を縛っていた分厚い肉の蔦は突如分かたれる。音の無い白銀が暗闇に煌めく。

「ふぎゃ!」

 自分に絡んでいた触手が分断されても、アスフォデルスの身体が地面に叩き付けられる事は無かった。そこにはファングインが先程まで瞑っていた左目を確りと開けて立っており、彼女の身体を両腕で受け止めていたからである。

「ふぁ、ファングインさん……」

 アスフォデルスの腹腔にようやく空気が戻り、喉を震わせ口にしたのがその名前である。彼女の表情はいつもの穏やかな顔でなく険しい物を浮かべ、触手が潜む亀裂を睨んでいた。

 琥珀色の瞳は、今は敵意に染まっている。これ以上、自分の手中に収まった少女に手を出そう物ならけして容赦はしないと。そう言わんばかりに。

 ひそやかな冷たい殺気が場に染み渡る。……一拍の後、亀裂に潜んだ魔は触手を収め、ずるずるとその場を後にした。アスフォデルスの身体に未だ巻き付く、触手だけが先程まで起きた事が現実であった事を示す唯一の証拠であった。

「ファングインさん、ファングインさん……」

 一度目は確かめる様に。二度目は嗚咽交じりに。自らを襲った恐ろしい物が去った安堵から、堰を切った様にアスフォデルスは彼女の名を呼び続ける。

 ファングインはと言えば、一転して何時もの穏やかな顔に戻し、そのまま自らの衣が汚れるのも構わずに震えるアスフォデルスの身体を抱き締める。

 ただ自分はここにいると、恐ろしい物は去ったと、もう泣く必要はないと。言葉の喋られぬ身で、そういう思いを伝える様に。顔に浮かんだ傷はそこで徐々に薄れ消えて行った。


「なるほどね、そういう事があった訳か」

 ファングインがアスフォデルスを助けてからしばらく経ち、事の詳細を知ったバルレーンはそう言った。現在、異常を察したバルレーンとユーリーフは起きており、トイレで何があったかをアスフォデルスから告げられて把握した所である。

 汚穢に滴った身や衣、顔や茶の髪を湖水とファングインが持っていた無患子の粉で泡立たせて洗い、替えの下着に履き替えた後。アスフォデルスはようやく落ち着きを取り戻していた。

 それでも未だ恐怖は拭えきれていないのか、同じくローブを脱いだファングインの左腕に身体ごと抱きしめている。……腰までかかる銀の髪の少女は、アスフォデルスのされるがままにされていた。

「で、これが証拠ね」

 焚火で深緑のローブとこげ茶のズボンと灰色のチュニックを乾かす横で、バルレーンは赤瑪瑙の瞳を右に向けた。肉は木の幹程も厚い、一メートルはあろうかという赤黒い触手である。獲物を滑らせ逃さない様に吸盤が付いており、ファングインが切った断面は鋭く滑らかだった。

「こんなの見た事ないな。『不凋花の迷宮』どころか、他の迷宮でも見た事ないよ」

「……いつか、港町で見た蛸に似てますね」

 ユーリーフが恐る恐る触手に手を伸ばし、それが何なのかを調べる。骨は無く、彼女が先程言った様に感触は蛸に近い。バルレーンもユーリーフも初めて見るそれには、何の推論も立てられなかった。

「アスフォデルス、これが何か解る?」

 バルレーンが話を向けると、アスフォデルスは首肯し静かに答えた。箱庭村での事、そして今回の事。それを踏まえれば答えは自ずと彼女の中から出て来た。

「恐らく。……これは、魔族です」

 ――神話に曰く。

 天地開闢の折、降りたりし別天つ神々は世を三つの国に分けた。

 光満つる雲際の天つ国、豊芦の人の国たる中つ国、臥したる眠りの下つ国。これを三世とし、それぞれ分かつ理の壁をとこしえの物とし、何れも独り神となりて去れり。

 さりとて、別天つ神々去りし後。下つ国より泉が如く穢れが満ちた。これらの穢れを魔と呼び、爾ら中つ国の民を苛むという。

「神話によれば、天地開闢の後に生まれたのがこいつ等です。私達の人の世を苛む異界の魔の者達、それを俗に魔族と呼ぶ――子供の頃、教会の説教とか寝物語の御伽噺で悪魔とか聞いた事ないですか? つまり、ああいうのです」

「実在したんだ、悪魔って……」

「私も直接見るのは初めてです」

 バルレーンが感慨深そうにそう言うと、アスフォデルスは説明を続ける。

「神官や僧侶が祈り奇跡を呼ぶ神が秩序の勢力なら、こいつ等は差し詰め混沌の勢力ですよ。本能としてこいつ等は人間を苛み、傷つけ徹底的に玩具にする。しかも現れる時は現世の物質と霊的な肉の要素を持つ、霊肉で体を構成してる為か普通の武器は殆ど効かない筈。……その筈なんですが」

 その青い瞳が上を向くと、そこには銀髪の大女がいる。

「う?」

 ファングインは、私? という風に小首を傾げ唸った。

「なんですが。ファングインさんの剣って、普通の鉄製ですよね? こう斬り落とすなら本当は魔力を帯びた武器か、銀の武器しか出来無いんですけど……」

「まぁ、ファンだしね。剣一本で無理を通せる女だから……」

「……今回のは、まだ現実の法則に則してる方じゃないでしょうか?」

 少し話は逸れたが、アスフォデルスは気を取り直して魔族に対して話す。正体と性質の次は、特性だ。

「恐らく、こいつは東方の伝承で語られる死脳喰らいです。獲物の脳を喰らい、その知識や技能。記憶や経験を利用する事に長けた不定形の魔族。……今まで潜った徒党は恐らく私達以外全員食われたんだと思います」

「……どうして、魔族はこの『不凋花の迷宮』に現れたんでしょうか?」

 ユーリーフの素朴な疑問に対し、アスフォデルスは一度顔を顰める。そして躊躇いながら語気を落としてまた話し始めた。

「解りません。ただ、こいつはスケルトンとかの魔物と違って、自然に現れる物じゃないです」

「というと?」

「魔族は、必ず魔術師が呼び出さないといけません。ですが呼び出す方法も、使役する術も遺失されてます。私だって出来ないです……古い伝承を集めた本で、存在だけが語られる技術ですよ」

 バルレーンはそこで一息置いて。

「なるほどね、まぁ原因不明なのは分かったよ。それで、死脳喰らいとまた出会う可能性はある?」

 バルレーンがそう訊ねると、アスフォデルスは一度首を縦に振る。

「魔族は習性上人間を見たら襲わずにはいられません。ここで私を見つけた以上は撤退しても、必ず次の襲撃を掛けてきます」

「それじゃ勝てばいいだけだね」

 一つに纏めて結った、馬の尻尾の様な一房の先を口元に当てながらバルレーンは平然とそう言った。

「……まさか、魔族に挑む気ですか?」

「だって、契約は最奥まで御案内する事でしょ? ボクちゃん、契約は絶対に守る主義なの。それに相手の特性は把握した。銀の武器はボクが用意してるし、切り札だってユーが持ってる。それに何よりファンさ」

「ファングイン?」

 バルレーンが右手の人差し指を指すと、途端ファングインは立ち上がり、少し離れた所で右手で剣を引き抜く。そしてそのまま微動だにしなかった。

「ほら、ご覧の通りもうやる気が最高潮。過去一と言っても過言じゃないよ」

「棒立ちしてる様にしか見えないんですが……」

「と思うじゃん? 達人なら、アレもう今の段階で頭の中で化物と千合打ち合ってるんだよね」

「私、素人です……」

 ファングインの強さはもう充分過ぎる位分かった、ユーリーフのアンオブタニウム・ゴーレムの特性も理解した。

 しかし、ここで改めてアスフォデルスに疑問が浮かぶ。目の前にいるこの赤毛の少女の実力は一体どれ程なのだろうか。日中は、ほぼファングインが乱舞した為実力を見る事は無かった。

「あの、気を悪くしたら申し訳ないんですけど。バルレーンさんって、そもそも戦えるん……です?」

「いきなりどうしたのさ?」

「……正直この一週間、その二刀を抜いてるのは見た事無いですし」

 アスフォデルスがそう言うと、バルレーンは芝居じみた素振りで顎に手を当ててしばし考え込む。思い返してみると、確かにアスフォデルスの前で戦った事は無かった。酒場にいれば戦闘をしないという噂も十分耳にするだろうし、それを踏まえ考えてみると、彼女が不安になりこう尋ねるのも無理からぬ事だろう。

「あー、確かにね。でも今日は流石に仕方なくない? ファンが大暴れしてたじゃん」

 赤髪の女盗賊がそう言うと、ファングインの顔が若干自慢げな表情に変わった。……それを介する事なくアスフォデルスは言葉を続ける。

「だから、今その二刀抜いて見せてください」

 真剣な表情でアスフォデルスはそう言った。対し、バルレーンはと言えば――

「無理だよ、だってこれ張りぼてだよ?」

 あっけらかんと間髪入れず気軽にそう返す。

「え、張りぼて!?」

 バルレーンは腰に吊るした右の刀の柄を両手を交差させて掴むと一気に引き抜く。鞘は全くの空洞であり、鍔から先に刃は付いていなかった。そこらの子供の玩具でも竹や木の刀身ぐらい付いているだろう。

「良く出来てるでしょ、これー。ぱっと見、本物にしか見えないよねー」

「でも、さっき銀の武器持ってるって……」

 そう言うとバルレーンは左人差し指で柄を指差し。

「この柄、銀製」

「冗談ですよね!?」

「勿論冗談だよ、ばっかだなーアスフォデルスは」

 連続して驚く様を見せるアスフォデルスを余所に、バルレーンは笑いながらからかう。それに対し今まで沈黙を黙っていたユーリーフが一度咳払いをした後。

「……バルちゃん、アスフォデルスさんは真面目に聞いてるんだから、からかうのは良くない」

「ごめんごめん、ちょっとアスフォデルスの反応が面白くってさ」

 アスフォデルスがからかわれた事を理解し空白の心が怒りに染まる前に、バルレーンは釈明を始めた。

「これは元々相手の注意を引く為に着けてるだけさ。腰に堂々と剣でも吊り下げてれば、知恵のある奴は必ず引っかかる」

「なら、その腰の鉈で戦うんですか?」

「これは工作と料理用だよ。じゃあ、ボクの得物を教えるとね――」

 彼女がそう言った時だ。アスフォデルスが思いつめた表情を取る。

「いえ、言うのはちょっと待って下さい」

「どうしたの? 自分で当ててみたくなった?」

「それもありますが。でも、張りぼての剣で隙を誘う事までするって事は……もしかしてバルレーンさんの得物って正体バレたら意味をなさなくなる奴じゃないでしょうか? なら、この場で一番弱いのは私です。もし死脳喰らいに捕まって知識を吸い出されたら、不利になりますし」

 大真面目な顔をしてアスフォデルスがそう言うと、バルレーンは一瞬虚を突かれた顔をし、直に笑みを浮かべた。

「かっこいいとこあんじゃん。でも大丈夫だよ、君があいつに捕まる事なんてないから」

「なんでそんな事言えるんです?」

「だって、君はボク達が守るんだもん」

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