第93話  新たに招待……



 ブァランタン国王家族がいる部屋の扉をノックして声を掛けるシンヤ

 それにブァランタンが応えて中に入るシンヤ



「失礼します。皆さん無事で良かったです」



「やあやあ、平木さん助けて頂きありがとうございます」



 嬉しそうにお礼を言うブァランタンは直ぐに横へずれる



「平木様、この度はご助力いただきありがとうございます。ブァランタン国王の妻でジャスティーネと申します」



 綺麗なカーテシーをするジャスティーネ



「平木 靱平です。冒険者としてシンヤで登録しています。お好きな方で呼んで下さい。

 ローザリンデ王女との約束しましたから、適材適所ですね。ブァランタン陛下はローザリンデ王女から聞いていた方と実際は違ったのはわざとですか?」



「お久しぶりです、平木様。今回はありがとうございます。はい、そうです。敵を騙すにはまず味方からとお母様から教わりました。

 と言いますが、お父様のビビリは城の者なら皆知っていますので、余り意味は無かったかも知れません。申し訳ありません」



 娘の言葉にブァランタンの方が反応して苦笑いになった



「よく学んでいるな。ジャスティーネ王妃も博識ですね」



「ありがとうございます。平木様の居られた勇者パーティーの方から、伝わったと聞いております。

 それと、夫は敬語は不要とお話していますので、私にも敬語は不要です」



「……分かった。でも、敬称は付けさせてもらうよ」



 それぞれ頷くブァランタン達。そこへ



「取って来ましたよ……ってシンヤの旦那か。それにブァランタン陛下」



 戻って来たダーネルリーヴェスはジャスティーネとローザリンデは護衛も含めて話していたが、ブァランタンがいたので膝をついて頭を下げようとしたが



「しなくていいよ。もうじき国王ではなくなるからね。それに、僕の不甲斐なさも君達に迷惑をかけたから今までごめんなさい。そしてありがとう」



 下げなくていいと、言われたが頭を下げたダーネル



「ダーネル、お願いしていた物はありましたか?」



「ああ、ありましたよ。セヴェーラ様との手紙に計画書も内容は結構ずさんだけど、よくやろうと思ったもんですよ。」



 ジャスティーネにて渡した。



「確かに、ありがとうございます。後は、貴方をブルーナ公爵家に戻したら良いですね」



「そう……はならないからな?! 思わず返事しそうになったけど、サラッと何を言ってるんですか?!」



 ジャスティーネから公爵家に戻れと言われて返事をしそうになりつっこむダーネル。

 


「おやおや、何はともあれ今は休みましょうか。平木様と、ダーネルは客室をお使い下さい

 あなたとローザリンデは久しぶりに3人で寝ますか?」



 ブァランタンは”そうだね“ と嬉しそうに言うが、ローザリンデはジャスティーネの後ろに隠れて扇子で口元を隠して顔を覗かせた。

 ブァランタンは悲しい表情になるもローザリンデはどこか楽しんでいた



 そして、命を狙われていたライアン会長は


「ライアン様、向こうも全て終わったそうです。暗殺に動いた暗部は6人だけみたいです」



「そうか、ロベリアお疲れ様。ゆっくりするといい」



 ジャスティーネの伝言を受けた侍従から聞いて伝えたロベリアは、頭を下げて死体の処理に動いた

 バルコニーに1人飛ばしたので様子を見に言って”あっ“と声を出したロベリア

 声を聞いて駆けつけたライアンに



「……ここに1人飛ばしたのですが、死体が消えています」



「まだ、息があったのだろうか?」



「いえ、確実に死んでいました。戦闘が終わって見たときは死体があったので間違いない筈です。下を見ても死体がありません。

 最後に見てから時間は少しありましたが、その間に何かあったのでしょうか? でも、人が来た気配は無かったのに……」



 完全に混乱しているロベリアを落ち着かせる為にソファーに座らせたライアンである



 その頃、パールド王城の城壁の端で



「くそっ! いつの間に平木と連絡をしていたんだあいつらは! お陰で馬鹿な王と側室親子は仕留めそこねるし、貴族の体は使いものにならなくなった。辛うじて逃げ出せて、バルコニーに落ちていた死体を使ってここまで来れたが……」



 城壁を見上げる魔族の亡霊。憑依している体を見て


「今の俺では、この体を上手く使えないからこの壁を超えられねぇ……かと言って体を捨ててザンバーガ様の所に戻っても、傷付いた思念体で途中で力尽きる。どうする?」



「なるほど。やはり先程の攻撃は耐えたけどダメージは入ってたんだな」



 後ろから話描けられて慌てて振り返ると


「平木 靱平……貴様、気付いていたのか?」


「お前の思念体は消えて無かった。思念体や霊と言えど気配はある。ならば後は追うことは出来るからな」

 

「貴様もこの時代に来てこそこそ動いているが、魔王様の復活は止められない! 勇者もザンバーガ様の手の内に居て準備も整う! きさ……ぎゃぁぁぁぁぁあ?!」



 鋼の刀ではなく輝煌一文字で胸を突き刺したシンヤ。魔族の思念体亡霊は絶叫を上げて紫色の霧となり消滅した


(今の話でザンバーガはアリュード殿下をまだ勇者と気づいていない? 

 それとも気づいているが誰にも話してないのか?  今のアリュード殿下では、相手にならないとわかってるからか? 

 ユイナさんのお陰で聖魔法に幾つかのスキルは身に付けたけど、神属性はまだだが……)



「そろそろか……今は休むか」



 考えことをしていると警備をしていた衛兵が先程の断末魔を聞いて駆けつけてきた

 衛兵はシンヤの事についてジャスティーネから聞いているので姿を見ると敬礼してきた

 衛兵に説明をすると”後は任せて下さい“ と言われたので任せて客室に向かうのだった



 その日の夜



「やはり来たか……でも、何で俺の元の家の応接間なんだ?」



 毎度御馴染み女神の夢に呼ばれて前回の部屋なのでソファーに腰掛けて目の前の人達を見る



「もしかして、女神様の夢に呼ばれたのでしょうか?」



「女神様の夢?! 俺は夢で呼ばれてのは初めてだよ。それが、ユイナさんの本当の姿なんだな」



 辺りをゆっくり見る元の姿に戻ったユイナ結衣。アリュードも辺りを見るがユイナの姿に何故かしみじみとつぶやく



「私も呼ばれたんたけど、ロイド君は呼ばれなかったのかな?」


 

 元の姿になったヒカリ陽菜は驚きつつも転生者であるロイドの姿がなくて辺りを見て



「久しぶりだね、ユイナちゃん。シンヤさんとアリュード殿下もお久しぶりです」




 ヒカリにそれぞれが ”久しぶり“ と挨拶を返した所で


「みんな〜いきなりごめ〜ん。告知なんて出来ないからね〜 

 アリュード君は夢の中では初めましてっしょ

ロイド君は小さいから向こうで、お留守番だから大丈夫〜 ヒカリちゃんも体は側にいるし、何かあったら戻すから安心してね」



「お久しぶりでです、アルフィーナ様。今晩は宜しくお願いします」


「お久しぶりです、女神様。なら大丈夫ですね。いきなり戻されない事を祈ります!」


「こんばんは女神様。お久しぶりです」


「俺はよく呼ばれるから久しぶりではないな……それでだ……」



 それぞれ挨拶を女神にした後に声を掛けたシンヤが真正面に目を向けた

 そこにある人が座っていた。皆どう接していいか分からなかったので触れなかったが

 その人物は静かに立ち上がると優雅にカーテシーをして





「平木様は1時間振りですね。アリュード皇子殿下お久しぶりでです。

 それと、ユイナさんとヒカリさんですか? 初めまして、パールド王国の王妃ジャスティーネ・メイ・パールドと申します。

 お気づきかと存じますが、私も転生者です。お見知りおきを。」



 微笑みながら挨拶されて女神以外が顔を見合わせるのだった



 


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