第85話 元凶(?)のカイルド帝王と
カイルド帝城の謁見の間にて
壇上の王座に恰幅のいい50代のひげ面の男が座って騎士の報告を聞いている
現帝王ボッケカス・マイン・カイルド
「
目障りなら砦の軍事費を更に縮小……いや、切ってしまえ。そして全て此方に回すのだ
それと、愚民共がまたほざいてきたと? 奴らは、自分の立場が分かっておらんな。もっと絞り取れ! 歯向かうアホどもは見せしめに吊るして晒しておけ! よいな」
「はっ! 畏まりました!」
報告に来た上級騎士は最敬礼を取って謁見の間を出た
「全く余がおらぬと使えん奴らだ……そうだ、異世界から来て逃げ出した小娘2人の所在は掴めたのか?」
「まだ探索中でございます。今は、探索の手を広げています」
「うむ、速く見つけ出せ。生娘のうちに余の物にせねば楽しみが半減するからの
異世界から来た小娘共は、想像以上に良かったからな。騎士にくれてやったのは、ちと勿体なかったか? そうじゃ、聖女共がまた残っておったな?
もう、余の所に連れて来るのだ」
寧留達の事を思い出し卑猥な笑いをするボッケカス帝王。すると、後ろに控えていたエレアナが
「……恐れながら陛下、それは、時期少々でございますわ。聖女の回復魔法と解毒魔法は強力です。
聖女と同等の回復力は残念ながら我が帝国内も含めておりません
魔王復活までは活用すべきです。魔王が復活した暁に、陛下のお好きになさっては如何ですか?」
「ふむ……ザンバーガ殿のがおるなら聖女の初を貫いても構わぬと思うが、お主はどう思うバディアス宰相」
聞かれたのは、金髪の黒い瞳をしたジャルドとメローニアの父にしてシクリーニ侯爵家当主でもあるバディアス・シクリーニは顎に手を当ててて
「幾らザンバーガ殿が影から力を貸してくれているとはいえ、聖女の力は必要と判断出来ます
エレアナ様の仰られた通り魔王が復活した後に、改めて陛下の寵愛と子種を与えてやれば宜しいかと思います」
「ふむ……確かに、魔王が復活すれば余は幹部の1人となり永遠の命と強大な力を授かれる
さすれば、余は人間の世界の王となるからな。見せしめに、聖女も合わせ他国の王女や王妃を愚民共の前で可愛がり女にするのも一興か
それに、異世界の小娘共を召喚もし放題と言うもの……良かろう、エレアナにバディアスお前達の案を採用してやろう。
存分に聖女の力を使うと良い」
同時に頭を下げるエレアナとバディアス
「話は以上だな。エレアナ、今日はお前が相手だ。付いて参れ」
「……畏まりました」
立ち上がるボッケカス帝王にカーテシーをするエレアナ。ボッケカス帝王の後について謁見の間を後にして、ボッケカス帝王の寝室に向かう
途中でエレアナは通路の影から視線を感じて目を向けると、翡翠色の髪に金色の瞳をした女性メローニアが居た
エレアナと視線が合うとサッと身を隠す
寝室からエレアナを呼ぶボッケカスの声が聞こえて中に入ると、鍵を掛けて自身のドレスを脱いでいった
その日の夜
エレアナはボッケカスとの情事が済んで入浴後に、自室でメントに髪を乾かしてもらいながら櫛で梳いて貰っている
「何故、私の周りに居る男達は女とヤル事しか頭に無いのかしら?」
「男の皮を被った者たちとして、波長が合うのかも知れませんね。しかしそのせいでエレアナ様は……あの
「いくらゴブリンでも色んな意味で食べないわよ、あんな男は」
髪が乾きとき終わるとメントに部屋に戻るように言うエレアナ
「畏まりました。何かありましたらお呼びください。おやすみなさいませ」
頭を下げて部屋を出るメント。エレアナはベッドの上で横向きになり
「うっ……くぅ……」
苦しそうに暫くお腹を抑え続けると
「はぁ……あの男は加減と言うものを知らないのかしら。7才の頃に初めてを散らされて以来 全く……」
ベッドから降りて椅子に座ると机の上にあるティーカップに手を伸ばす
「あの男は本当に魔王幹部になれると思ってるのかしら……思ってるわね。本当に愚か……まぁ、力がなく何も出来ない私も同じ穴の狢。せいぜい、やりたい事をして貫かせて貰うわよ」
一口飲んで、夜空に輝く月を見上げるエレアナだった
その頃
バディアスは自身の執務室で
「ボッケカスの奴、本当に魔王の幹部になり人間の王となれると思っているのだからな。
滑稽過ぎて、笑いを堪えるのに大変だったな」
書類仕事をしながら昼間の事を思い出し笑いを堪えるのバディアス
「城に居る騎士達はほぼ手中に収めてある。
アリュード率いる砦の連中より遥かに数は多いが、質が圧倒的に違うからこのまま戦えば勝てない。
異世界の奴らとボッケカスを魔王復活の生け贄に使えれば邪魔な者は消えて俺は魔王の力を手にできる。そうすれば……」
邪悪な笑みを浮かべてこれからの動きを考えるバディアスであった。
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