第76話 再会
*リディーナは王女として振る舞うときは、レティシア表示で書きます。
少しの間 呆然としていた
「国王達の様子を見に行かなくて良いのかな?」
「そうですね。余りの事に呆然としていました。
皆! 近衛騎士は私と一緒に王城へ! 騎士団と兵士の皆さんは手分けして王都を見て下さい!」
レティシアの命を受けて、それぞれの隊長が指示を出し国民の皆と一緒に分かれて王都へ入って行った
レティシアは近衛騎士達と王城に仕える侍従に侍女を纏めて王城に向かうべくシンヤに話しかけると
「レティシア姫、俺は少し行くところがあるので先に王都に行っててほしい。城も安全だから大丈夫だよ」
「分かりました。お待ちしております」
王城に向かうレティシア達を見送り王都の外に走り出すシンヤであった
王城の前に着いたレティシアは城を見上げて固まっていた
(ここに戻るのは、約8年ぶりね。12歳の時に皆が逃してくれて、エリナーティアと共にアーヴィンに拾われ助けてもらってバルボッサ商会の援助で……)
緊張から中々、足が進まないレティシアの左手をとるアンナは優しく笑いかけ
「大丈夫です、レティシア様。陛下も王妃様もお目覚めになられてます。姫様の事をお待ちになられてますよ。あの方も……」
「……ええ、そうね。行きましょう」
アンナに微笑み返した
城に入って目を覚ました城に残っていた者達が忙しなく動いていると、レティシアの姿に気付き喜び近付いて歓声をあげる
レティシアは今までの事を簡単に話して、国王と王妃の状況を聞くと付き従った近衛騎士と侍従がそれぞれ分かれた
レティシアは侍従から聞いて国王と王妃が居る寝室の前に立っていた
深呼吸して扉をノックすると中から声が聞こえて
「失礼します。レティシアただいま戻りました」
部屋に入るレティシアを呆然と見る2人の姿があった
銀髪に銀色の瞳をした国王オクベルト・イスト・ロードス
白髪に翡翠の瞳をした王妃ユリアネア・ノイル・ロードス
長い間眠らされていたが、健康そうに見えてホッとしたレティシアはどう接して良いか分からなくて、扉を閉めてから下を向いて佇んでいた
その時、優しく抱きしめられて顔を上げるレティシア。
目の前に、涙を浮かべ微笑むユリアネアの姿があった。
「ああ……レティシア……無事に帰って来てくれたのね」
「お母様……えっ?」
横から優しく頭を撫でられ振り向くとオクベルトが笑いかけてきた
「レティシア、立派な姿になったな」
両親に優しく迎えてもらいレティシアはずっと堪えてきたものが、胸のうちから溢れてユリアネアに抱きついて嗚咽を漏らした
暫くの間、泣いていたレティシアだが落ち着きを取り戻しすと、それぞれ席に着いてこれまでの事を話した
「千年前の魔王復活に魔王幹部の暗躍……確かに、これ程の力なら納得出来るが……シクリーニ侯爵家、良くもエリナーティアを!」
「落ち着いてオクト、今は助けられてアリュード殿下のもとで庇護下に入ってるのなら大丈夫ですよ。
しかも、あのトールベン様に師事を受けてるのでしょう」
「はい、そうです……全ては私の未熟さゆえエリナーティアに迷惑を掛けました。申し訳ありません」
エリナーティアの事で怒りを露わにするオクベルト
両親に座ったままだが、頭を下げるレティシアに
「レティシアお前を責めてる訳ではない。まだ幼かったお前達には仕方ないこと。頭を上げてくれ
しかし、千年前の英雄もこの時代に来て私達を助けてくれるとは驚きだな」
「ええ、そうですね。残された伝記では、元の世界に帰られたとありました。でも、帰らずに救いに来て下さるとは私達もそれに答えねばなりません
レティシア、用事がお済みになられたら来られるのよね」
「そうですよ。恐らく一緒にランドールを出立した、ローザリンデ殿下のご用意して下さった救援物資を運んでいる、クラン皆さんを迎えに行かれたと思います。その様に話をしていましたから」
そこで、扉をノックする音がして声が聞こえた
その瞬間、立ち上がり体が固まるレティシア
「入ってよいぞ」
オクベルトが許可を出すとノックした人物が入って来た
「失礼します、オクベルト陛下。ご用途はな……ん……ティア……」
「あ……その……セオ……きゃ?!」
入って来た人物、ロードス王国公爵家セオドリク・カーライトはレティシアの姿を見て固まった
下を向いてもじもじするレティシアはいきなり抱きしめられて可愛らしい声を出した
「良かった……ティア、無事だったんだね。ずっと会いたかった」
「ええ、セオ……私も会いたかったわ。貴方こそ無事で良かった」
婚約者にしてセオドリク12歳 レティシア7歳の時に、初めて会った瞬間に一目惚れした同士。
お互い熱を帯びた瞳に頬を染めた顔が徐々に近づいて行き……
「セオドリク……嬉しいのは分かるが、私の前で大胆だな。何時までそうしているつもりかね」
低い声のオクベルトに言われて顔が真っ赤になり慌てて離れる2人
「オクト……レティシアを取られて寂しいのは分かりますが、落ち着きなさい
2人共、久しぶりの再開なのですから暫く城を見て回りなさいな
家族の再開は後でもできますからね」
笑顔のユリアネアに睨まれて、若干小さくなるオクベルトは了承したように頷いたので、2人で頭を下げて部屋を出るレティシアとセオドリクは歩きだした
(お父様にお母様それにセオにまた会えて舞い上がってたけど、私にその資格あるのかしら? リーナはまだ奴隷のままでヴァリアント砦に居るのに……それに……)
考えるレティシアであった
レティシアが家族や婚約者に再開出来た頃、王都の上にある森で、満身創痍の魔族の男が1人の歩いていた
「くそっ! 何が……起きたんだ? ザンバーガ様の魔力で強化された俺がいきなりやられて、毒霧も全て消された……咄嗟にあいつを盾にして逃げれたが、あいつは死んだろうな。
折角、少しずつ魔力と生命力を魔王様復活の為に送っていというのに……仕方ない一旦ザンバーガ様の元に……」
「それは、無理だな」
「はっ?……がぁぁぁぁぁぁあ?!」
いきなり真正面から刀で胸を刺されて絶叫する魔族の男
前を見ると見知らぬ男シンヤが立っていた
「まあ、供給が途絶えたらあいつは気付くだろう
悪いがそれでも、見逃す事は出来ない」
「な……がっ……その格好……お前がやったのか?……」
体を震わせながら言う魔族に
「その通り……これは、俺からのザンバーガに対する宣戦布告だ」
刀を引き抜いたシンヤ。引き抜かれた魔族は、細切れになって地面に落ちる前に消滅した
「久しぶりに振るったが、問題ないな。さて、もう後には退けない。今は、エルさん達を迎えに行くか」
刀を鞘に収めるとエルファル達の所に行くシンヤであった
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