第74話 道中について
ケーキを喉に詰まらせて呼吸を整えるリディーナ
呆れた表情でリディーナ達を見るローザリンデだが、瞳は優しい色を湛えている
少しの間見ていたシンヤが
「ローザリンデ王女、潜伏している魔族と戦うとき力が必要なら言ってくれ」
「分かりました。ありがとうございます。私共で解決させますが、もしもの時は宜しくお願い致します」
シンヤに向き直りお礼を言うローザリンデはシンヤの顔を見つめてから
「平木様と一緒に居ますと、落ち着くと申しますか不思議と安心致しますね。
だから、レティシアはお灸を据えられても安心して居るのかも知れませんね」
(……貴方様がお父様でしたら私どもの国ももっと良くなってたのかも知れませんね)
「えっ? お灸って……あの時の事よね。あれは、絶対に勝てない壁と言うか、殺される恐怖みたいなものは感じました
でもお陰で妹を助ける時に、恐れる事なく戦えました
一緒に居て安心するのは分かります。つい何でも話してしまいますね」
お灸と言われて驚くリディーナ。思い出しながら話していると
「平木様が良いなら話しても大丈夫ですが、他の人には……っと、余り時間を掛けてはいけませんね
これからロードス王国に向かわれるのですよね」
「そうだな。俺は、何時でも行けるけどレティシア王女はどうかな?」
「私も行けます……ただ、ローザリンデがいるからレティシア呼びと思いますけど、シンヤさんから呼ばれるとむず痒くなりますね。
リディーナで呼ばれ慣れてるので……」
少し恥ずかしそうに頬をかくリディーナ
「そうでしたか。私の事は気にしなくて大丈夫ですよ。お気遣いありがとうございます
それとロードス王国に行くときに、是非【パルティノス・ローズ】のメンバーを連れて行って下さい
一応レティシアは王女ですから道中の護衛とロードス王国でお役に立つと思いますよ」
「えっ? ローザリンデ本当に良いのですか? 私も皆良く知ってる人だから安心出来るけど、ランドールに居なくて良いの?」
リディーナは聞きながらエルファルとメリーナを見ると2人は頷いた
「全員行くわけではないので大丈夫ですよ。私とメーテル含めて5名程です。
あの、平木様? 私達では力不足ですか?」
話を聞いて考え事をしているシンヤ。先程のことがあったから不安そうに聞くエルファル。
「ん? そんな事は無いよ。俺が考えていたのは、リディーナさんと2人で半日ぐらいで行きロードス王国の魔族を倒して……っと考えてたからね」
「行くのに半日ですか……平木様の速さは聞いてますが、可能なのですか?」
「私は見た事無いけど、ヴァリアント砦とランドールをそれ以下の時間で移動してるから行けると思うわ」
リディーナが真剣な顔で話すと
「では、エルファル達は移動の邪魔になりますね。どうしましょう」
「そんな事はないですよ。人手はあった方が助かる。そこは、一応考えがあるので大丈夫だよ。
宜しく2人共」
エルファルとメリーナは頷いて頭を下げた
「では平木様、レティシアの事 宜しくお願いします。エルファル達も一流の冒険者でもありますので、お役に立てると思います。
申し訳ありませんが、私は城に戻らないと行けないので、これで失礼致します」
優雅なカーテシーをして部屋を出るローザリンデ。その後は、軽く4人で打ち合わせをしてパールド王国側の門で待ち合わせをすると話してエルファルとメーテルも部屋を出る
「シンヤさん、私は王女としてロードス王国に戻るので、服を着替ます
少し時間が掛かりますので、先にお待ちになって下さい」
「分かった、失礼するよ。後で会おう」
部屋を出ようとして扉をノックする音がした
「嬢ちゃん、俺だ。少し良いか?」
「ええ、どうぞ」
シンヤを見ると頷いたので返事をしたリディーナ
「おう、嬢ちゃんがランドールを離れてる間……って先客か? もしかしてあんたがシンヤかい?」
「そうですが貴方は?」
部屋に入って来てのは、魔術師の服を着た2m近い背に浅黒い肌のスキンヘッドの大男。
顔にいくつか傷があり 目つきが鋭く、山賊の頭みたいな風貌をしている
「おっと、すまねぇ。俺は副ギルド長のアーヴィンだ。よろしくな、これでもS級冒険者で魔術師をしてるぜ。
あんたより年下だから敬語も要らないし呼び捨てで良いぜ。俺は、上手く敬語を使えねぇから許してくれよ」
「分かった、こちらこそよろしくな。俺も好きに呼んでくれ」
人懐っこく笑いシンヤの肩をバシバシ叩くアーヴィン
「立ち振る舞いを見れば、そいつの実力はある程度分かるが……うーむ、流石は伝説の [武神]様だな
あんたなら嬢ちゃん任せても安心だな。
すまねぇが、嬢ちゃんの故郷取り戻してやってくれ。ずっと頑張ってたからな……ここに来た時は我が儘お姫さ 「ちょ、ちょ、ちょっとぉ?!」 」
「ア、アーヴィン! 私は着替えないといけないから話なら早くしましょ! そうしましょう!」
顔を真っ赤にして両手をぶんぶん振るリディーナ
「おっと わるい。話しやすくてな、つい 話しそうになったわ。引き止めて悪かったな、じゃ頼んだぜ」
「ああ、分かった。じゃ リディーナさんまた後でね」
片手を上げて部屋を出るシンヤ。
リディーナはまだ顔を赤くしたまま頭を下げていた
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