第67話 誘拐
ヴァリアント砦 アリュードの執務室に戻ったシンヤの前で土下座する2人
「申し訳ありません! リリィさんを連れ去られました。全てはこちらの責任です」
土下座のまま頭を上げて言うアリュード
「責任は私にあります。奴らの動向を探る為に泳がしていたところで一瞬の隙をつかれました
申し訳ありません」
アリュードに続いて謝るのは警邏隊長のガーランド
ステラの父でもある
シンヤは2人に頭を上げるように言うとそのままソファーに座った
「彼女の気配が無かったから何となく予想はついていました。それで、今の口振りから彼が間者でしたか?」
「ええ、ピアスト・リニート伯爵 帝王側の間者です。貴方のアドバイスで正体が掴めました
貴方が魔徒の森で返り討ちにした事で動きが活発になったのもあります。
ピアストは帝王の間者ですが、配下にパールド王国の密偵が紛れていました」
ガーランドの話を聞いて
「紛れていた? ピアストは気付いてなかったのか? 気付いた上で使っていたのか?」
「懐柔したようですね。元々金で雇われた者達です。
ですが、あまり良い扱われ方をされなかったようでピアストに囲われて偽の情報を流していたようです」
話を聞いて考えるシンヤ
「その密偵とピアストから同じ魔族の魔力が感じられた。
ピアストが怪しいのも抑えた魔族の魔力を感じたからと、密偵が死んだのも魔族の魔力が暴発したからも話しましたね
密偵を懐柔したのは魔力も影響していると思います。
精神と欲を誘導したんでしょうね
そして、その魔力は旧魔王幹部とは違う魔力ですから、帝城に潜んてる魔族ですね」
「皇子でありながら、そのような者と気付かないとは情けない限りです。
そのせいで、みんなに迷惑を掛けてしまった」
項垂れるアリュードに首を横に振るガーランド
「殿下、砦の魔道士や僧侶達も気付かなかったのてす。致し方ありません。」
「そうだが……リリィさんにお願いしたせいで、攫われたと料理長も酷く落ち込んでいた。しかもサリーナさんも攫われてしまうし」
「落ち込む事は後でも出来ます。今は助けに行くことが先決でしょう。早く行かないと何をされるか分かりません」
シンヤが心配することにガーランドが
「ピアストは目的の為に手段は選びません。
だが、大丈夫と思います。今まで婦女子に手を出すことは無かったです。
もちろん、今後は分かりませんが、今回はシンヤ殿の力を使いたいのですから、手を出さないでしょう」
「手を出さないのは今だけでしょう。シンヤさんが力を貸さなければいずれ何かしらあると思う」
ガーランドの発言を補足するアリュード
「だから、早急に助けに行く。場所はわかってるからな。向こうは完全に隠れたと思ってるだろうが、気配は感じ取れる」
「本当ですかシンヤ殿?! 流石は伝説の……っと失礼しました。これは、他言無用でした
場所は何処でしょうか?」
ガーランドもシンヤ本人とアリュードからシンヤの正体について話を聞いた人物。
最初は驚いたが直ぐに納得した
「場所は、俺が倒したゴブリンロードが居た巣だ」
「ゴブリンの巣? あそこも直ぐに調べましたが何もありませんでしたよ?」
ゴブリンの巣と聞いて首をひねるアリュードとガーランド
「気配が感じる場所は間違いない。恐らく地下か巣の更に奥に隠れ家を作ってるのだろう
別の入口があるのかも知れん。もしかしたらゴブリンをカモフラージュに使った可能性もある
それに攫われた女性の数が、聞いたのと巣に実際居たのでは数が違った。
亡くなった女性も居るだろうが、それでも数がおかしすぎる
これは、憶測だが攫われたと女性は魔王復活の生け贄にされた可能性がある」
(攫われたと女性は魔族が殆どだから復活に必要な魔族女性の魔力と肉体か)
「それは、あり得ますね。ピアストもゴブリンロードを倒されて驚いたでしょう。ですが、ロードを倒してトールベンを打ち負かしたシンヤ殿に目をつけた
そこで、ゴブリンの巣を隠れ家に使いシンヤ殿を操ろうとしたのか。自分の狙いをより確実に遂行する為にですな」
緊張した面持ちで頷くガーランド
「まぁ、舐められたものだがな。早く助け出すために、まずは俺が一人で先に行く。感じる気配は奴らの仲間が8人、それ以外で3人は間違いない
上から風穴開けるから逃げられない様に取り囲んでほしい」
「いくらなんでも一人では……しかし、数まで分かるのだから一人で突入した方が良いのか?」
「奴らの隠れ家の巣から感じる気配は8人。それ以外の仲間がいて外から戻る可能性もある。
それも踏まえた外を取り囲んでほしい」
シンヤの考えを聞いて少し考える2人
「それが、確実でしょうね。余り兵を分けるのは得策ではない。
対人戦なら警邏隊に所属する者の方が、得意なので、ガーランドが率いる隊にお願いする。
僕は今、砦を離れられないからね」
「はっ! 承りました。シンヤ殿、こちらは何時でも行けます。ですが、もう少し作戦を詰めましょう」
「はい、宜しくお願いします」
シンヤの動きに合わせた作戦のため色々な動きを話すガーランドとシンヤであった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます