第62話 情報収集



 ミリシェールを見て回る2人。ぱっと見は仲の良い兄妹が買い物したりと遊んでる様に見えるが、実際は



「本当に凄いですね。この都市は、服に食べ物に色々とありますね。ランドールよりも華やかですし、食べ物も美味しいですよ。

 服も思ったより種類があって楽しいですね

 この、噴水も綺麗ですね~」



 しっかり楽しんでいた



「ランドールは冒険者の町だからな。この都市は芸術が発展したようだな。

……あれ以降、戦いとは無縁だったのだろうな」



 都市のシンボルとして中央に巨大な噴水を構えている。

 噴水の中に女性の彫刻が立っていた

 この都市の創設者として噴水前に設置されている石碑に刻まれた文字をシンヤシーヴァが見て一瞬懐かしい顔になったが

 すぐ戻し顔を上げて見た噴水の先にある一際大きな建物が立っていた 

 城にも屋敷にも見える建物



「あそこが現魔王の居城か……」



 色とりどりの水を出す噴水を見て目をキラキラさせているヒカリビエラに声を掛けて、噴水の通りから外れて人通りの無い奥に入ると隠密ローブを被るシンヤシーヴァ



「もしかして誰か付いて来ていました?」



「いや、誰も俺達の正体は気付いてないよ。目一杯楽しんでくれたから田舎から出てきた兄妹に見えたようだね

 お陰でそれなりに話は聞けたよ」



 聞いた話を纏めようと思い隠密ローブで姿を隠したシンヤ。

 店員から進められて購入した服を着て屋台で買ったお菓子を持つヒカリを見て微笑みながら言うシンヤ。

 思い出したのか恥ずかしそうに顔を赤くしたヒカリは



「あああの、これはつい楽しくて……ユイナちゃんやリリィさんへのお土産も一杯買っちゃいましたし……浮かれすぎですね、ごめんなさい。」



「そんなことはないよ。この世界に呼ばれて色々と気の張ることばかりだったからね。

 息抜きも必要だ。落ち着いたら皆で来ても良いかもね。どう言うか分からないけどさ

 では、聞いた話を纏めようか」



 頷くと真面目な顔になるヒカリ



「まず現魔王は父親が急逝したので15歳で引き継いで魔王になった。

 魔王になり魔界の都市に町や村の視察に行ってる途中、強力な魔物の襲撃に遭い瀕死の重体を負った

 助からないと言われていたが、何とか一命を取り留めたが幼児退行したと思われている」



「でも、実際は5歳の男の子が転生したんですよね」



 頷くシンヤは続きを話す



「その通り。勿論護衛も付いて居たが護衛が真面に戦えるかどうかの強さで、本来なら離れた場所に居る魔物に襲われたことが怪しいな」



「でも、確かに離れている魔物らしいですが、何かの拍子で表れる可能性もある魔物みたいですね」



 シンヤの話を聞いて考えながら話すヒカリ



「ああ、不幸にも偶々、襲われたと皆は思ってるみたいだが限りなく怪しいな。証拠がないから何とも言えないが。

 それにゴブリンロード達に村が幾つか襲われて全滅しているのに、箝口令でも敷いてあるのか都市の住民は知らなかった。噂話でチラホラ聞く位だったな」



「はい。リリィさんが住んでた辺りの人達はここまで来ることがないみたいですね」



「一般の魔族の足ではかなりの距離だからな。そうそう村から出ることはないらしい。

 噂の出所も、村々を回る商人からみたいだったな。すぐに何も言わなくなったらしい」



 リリィの村に関する話で顔が僅かに曇るヒカリ



「噂と言えば魔王が管轄する軍や官僚になるのかな? そこら辺からもキナ臭い話がチラホラでてるけど、殆どがよくある話しになるけど……裏で動く為にわざと流してるのかどうなのか、今の状態では判別がつかない」



「だから、魔王さんに会って話を聞くんですよね。

 でも会えても中身が5歳の人に聞くのは難しいと思います。どうしましょう」



 首を捻って考えるヒカリに



「彼は、会って此方は味方か友達みたいになれば良いかなと思っている。

 話を聞くのは、姉のニーナ・ヴァーミリオンの方だよ。多分、此方の方が大変だろうな」



「はい、素直に話は出来ないですよね~ どうしますか?」



 不安そうな表情で聞くヒカリに考えを話すシンヤ



「あ~でも、それって一歩間違えたら私達は完全に悪者扱いですよね」



「まあ、そうなんだけどね。けど、時間は掛けられないし一気に行くにはそれしか思いつかなかったんだ。

 例えば砦の使いや大使と行って仮に受け入れられても、魔王幹部に通じてる魔族から情報が漏れるだろうし秘密裏に行くにはそれしかないと思う」



 頷きながら “そうですね。私は付いていくだけですし” と言いながら納得するヒカリ



「今は夕方前位だから夜までにもう少し話を詰めておこうか」



「分かりました」



 隠密ローブを被ったまま色々と話す2人であった






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