第61話 魔界の都市
ヴァリアント砦でリリィ達が攫われ不穏な影が動いてる一方
魔界に向かったシンヤとヒカリは
「魔界と言っても私達が居た所と余り変わらないんですね……いきなり魔物が強くなる以外は」
「そうだね。国が地続きで繫がってるからだろう。
前の時代とそう変わりないな
魔界と人の国の境は強い魔物と弱い魔物で別れてるからね。そこの境は変わらないな」
魔徒の森を抜け
だが、ゴブリンロードクラスなら問題なく侵入 出来るので魔徒の森近くの村が襲撃されたのだった
数百年ロードが表れなかったので油断もあったが
現在の2人はゴブリン達の襲撃に遭い廃村となった村に来ていた。
殆どが原型を留めて無かったが、1軒だけ原型を留めている家があったので中に入り休息を取っていた
ヒカリが
「あう~ごめんなさい。まさか魔物の遠吠えみたいな声を聞いた途端に動けなくなるなんて……」
「それは、仕方ないよ。魔物の中には咆哮だけで相手を行動不能に出来る奴もいる
力がある程度あれば、はね除けることも出来るけど、今はちょっと難しいかな。
これから力を身に付ければ良いんだよ」
落ち込んでいるヒカリに声を掛けて水を渡し何かが気になるシンヤは廃屋の中を確認しに行く
そこそこ大きい家だったのか部屋も何部屋か残っていた。ある部屋に入るシンヤ
「ここは元女性の部屋か……」
埃塗れでシンプルな部屋だけど所々女性らしさがある部屋。
調べているとある物を見つけたシンヤ。1枚の絵だった。裏に書かれている文字を見て
「これは?!」
驚くシンヤ。慌てた様子で部屋の中を探し続けて色々と見つけたのかアイテムボックスに入れていく
そこへ
「シンヤさん、落ち着きました……何かありましたか?」
「治ったんだね。ああ、この部屋は比較的に真面だったからね。
持って帰れる物を持ち帰り砦で治療中の魔族の女性に渡して何かの役に立てばと思ってね。」
言われて納得したように頷くヒカリ
「なるほど~じゃ私も手伝いますね。服とかも持ち帰りますか?」
「頼む。そこら辺のセンスは俺に無いから良さそうなの選んで欲しい。俺は小物や人形等をアイテムボックスに入れてるからね。
選んだらアイテムボックスに入れるよ……よく考えたら全部入れても問題ないんだけどな」
「分かりました~って、それを言ったら身も蓋もないですね。
どれどれ……これなんか良さそう。他には~って、えっ?」
服を見ていたヒカリがある物を見て動きを止めた
「何かあったのか、ヒカリさん?」
「誕生日プレゼントの服みたいですね。手紙が付いてたんですが
〔 リリィへ
お誕生日おめでとう、お母さんと一緒に服を作ったのでプレゼントします
何時までも仲良くいようね
ルイシアより 代筆は村長だよ〕
って書いてあります……リリィってリリィさんと同じ名前ですね~ リリィさんも文字が書けなくて村長が代筆してたって言ってましたね~ もしかして同じ人とか……ですか?」
シンヤは見つめてくるヒカリの顔を見てゆっくり頷きながら
「そうだな。いつかはばれることだったかも知れん。これから言うことは他言に無用でお願いするよ」
「分かりました。リリィさんにも事情がありますもんね」
頷きながら言うヒカリ。そしてシンヤは話出した
全てを聞いたヒカリは
「リリィさんの判断はおかしくないと思います。
そんな辛い目にあって帰る場所もなく違う種族の中で暮らすのは凄い不安があると思います
私達の中にもいきなり召喚されて不安がってた子も居ましたから
勿論 誰にも言いません。何時も通りリリィさんに接します」
「ヒカリさん……ありがとう」
「私こそ話してくれてありがとうございます
シンヤさんは本当にお父さんみたいですね~
あっ、お父さん扱いされるの嫌だったらごめんなさい」
慌てて謝るヒカリに “大丈夫だよ” と優しく返事をするシンヤ
「なら持って帰れそうな物は全て持ち帰りましょう。
まず、服はそこまで数が無いので全て持ち帰りますか?」
「分かった、ヒカリさんの選んだ物は全てアイテムボックスに入れるよ。服も入れよう」
どんどんアイテムボックスに入れていくシンヤ
持て帰れそうな物は全て入れると家を出た2人
村を見て回り持って帰れそうな物を、アイテムボックスに入れていくシンヤ
「アイテムボックスはアイテム袋より凄く入りますね。」
「そうだね。アイテム袋も種類によっては大量に入るけど、それでも雲泥の差はあるだろうね
よし、全て見て回ったからそろそろ行こうか」
“はい” と返事をするヒカリはシンヤにおぶさった
シンヤは隠密ローブを被り魔王に向けて走り出した
その後は問題なく順調に進んだシンヤ達
途中 ヒカリが見たことない魔物が何種類か表れた。
シンヤは気配で場所が分かるも、最短距離の一直線で進みたいからか “避けるの面倒くさい” と蹴り飛ばしながら進んでいた
それを背中から見ていたヒカリは “避けた方が速い気がする” と思っていたのは余談である
「凄い! ここが今の魔王さんが住む都市ミリシェールっと言う都市ですよね?!
芸術の都市ですよ、これは! 全然想像と違います!」
人の都市や城下町と同じように城壁に囲まれているが、何処か芸術を感じる壁に3カ所の門がついてた
門は全て開いていて門衛の魔族の男性が、楽しそうに話しているのが見える
その1つの門を隠密ローブを被ったまま通り過ぎる2人
ある程度中に進むと、当然ながら魔族で賑わっているのを横目に気配のない裏通りに来た2人
「凄いですね、芸術の都ですよ。この都市は
至る所に芸術を感じられると思います。魔族の人は心優しく穏やかなのは本当だったんですね!
あっ! 別に疑ってたわけではないですよ!」
「大丈夫だよ。言いたいことは分かるからね。
それで、女神の話では現魔王は政が出来ない状態として、代わりに姉が代理をしているらしい
夕方以降の人……仕えている魔族の数が減る時間帯に手紙を置きに行こう」
少し興奮しつつあったヒカリは落ち着いて話を聞き頷くと
「分かりました。それまでは、情報収集ですね
それにしてもこの変装リングは見た目を人から魔族にも変えれるの凄いですね……ってリリィさんが魔族から人の見た目になってるから当然かぁ~」
今のヒカリは青い髪に紫の瞳で灰色の肌をしている。
シンヤは変装リングで紫の髪に橙色の瞳で灰色の肌に変わっていた
「そうだね。じゃこの姿で情報を集めようか。
それで、俺達の関係だけど年齢的には親子だけど……そうは見えないんだよな」
「ですね~ では、兄妹はどうですか?」
「それが良いな、それでいこうか。それと、何処に魔王幹部と繫がってる魔族がいるか分からないから、名前はさっき決めた俺が、シーヴァでヒカリさんがビエラで呼ぼう」
頷きながら “シーヴァにビエラ” と何回か口の中で言うヒカリ
「よし、大丈夫です。行きましょう、シーヴァさ……じゃなかった、行こうお兄ちゃん」
と笑いながら言う
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