第51話 アリュード殿下
頭を下げるシンヤ達に
「そんなに肩苦しくしなくていいよ~ 頭を上げて楽にしてね」
言われてシンヤが頭を上げ立ち上がるとユイナ達も立った
ヒカリ、リリィは表情は戻っているがユイナと合わせて目を逸らしている
アリュードは気にした様子もなく笑っている。いつの間にか両脇に居た美女2人は一歩下がった所に立っていた
「あっ、自己紹介は大丈夫だよ。赤髪の子がユイナで緑髪の子がヒカリで黒髪の子がリリィでしょ~
それとエヴィリーナと盗賊が……パーです、だっけ?」
「……ダーネルですね。アリュード殿下」
あんぐりした顔になるダーネルに代わり答えるシンヤ
「あ~ごめんごめん、ダーネル。それじゃゴブリンロードはジェイドに話してね。
クランの件はトールベンに宜しくね~じゃ」
ヒラヒラと手を振ってその場を離れて行くアリュード
そのまま美女2人の腰に手を回して建物の中に入って行った
姿が見えなくなって
「何ですか、あのアリュードって人は。あれで殿下何ですよね」
(エルマさんに悪いけどシンヤさんに助けて貰えてよかったと思うわ……もう一回攫われたけど)
「そうだな、取り敢えず落ち着こうかリリィさん。
ユイナさん達も思うところはあるかも知れないが、相手は王族だしね。」
怒りを露わにするリリィを宥めながら話すシンヤに
「はい、分かっています」
(この国の王族の人はろくな人が居ないのでしょうか? 一応、皇子様なので敬意は払うべきでしょうね)
「はい、分かってます。大丈夫ですよ。」
(リディーナさんもこの国の貴族に酷い目にあわされたって言うし……偉い人達はろくな人がいない?! 大丈夫かな~)
内心は複雑な2人
「まぁ、皇子様に名前覚えて貰えただけ良しとするか」
(しかしパーですって……頭パーみたいじゃねぇか……実際、頭良くないけどよ)
何とも言えない表情で言うダーネル。そこへ
「うむ……何時までもここに居るわけにもいかんからな。案内しよう」
トールベンの案内で砦の門をくぐるシンヤ達。
シンヤ達を囲んで居た騎士達はそれぞれの持ち場に戻っていた
トールベンに付いて行く途中で砦が気になって彼方此方に視線を向けるユイナとヒカリ
ランドールの防壁より強固な防壁と守りと攻めの両方を考えて作られた堅牢な砦に見入っていると
「……私は、1度アリュード殿下に“僕の元に来ないか”と誘われた事があります。お断りさせて頂きましたが」
「その方が良いですよ」
独り言の様に話しだしたエヴィリーナに即答したリリィ。
エヴィリーナはリリィに微笑みながら
「断った後に、ジャルドの口車に引っ掛かり奴隷にされました。
もし、アリュード殿下の誘いに乗って殿下のお側に居たら、今頃は奴隷にならなくて姉様に苦労をお掛けする事もなかったと思っています」
「……まさかジャルドの企みに気付いてはない気がしますが、こればっかりは仕方ないと思います」
砦の建物の内へ入るシンヤ達
話しの途中で悲しそうな表情になるエヴィリーナ
そこへ、ヒカリが
「でも、仮にエヴィリーナさんが奴隷にならなかったら、リディーナさんがなっていた可能性もあったんじゃないんですか?」
「それはないですね。ギルド長になるとき奴隷紋が刻まれてないかなど徹底的に調べます。
かつてそうやって奴隷の人をギルド長にして、裏から操ろうと為たことがありました。
それから厳しくなったそうです。
また、私みたいに奴隷の身内を使ってギルドを意のままにされない為にも、奴隷にならない貴族がギルド長につくようになったそうです」
エヴィリーナの話しを聞いて驚くヒカリ
「えっ? でも、奴隷に……ええっ?」
「本来ならあり得ません。ですが、強硬手段を取って来ました。
それが、ジャルド本人の意志なのか侯爵家または……兎に角その様な事があったと言うお話です。」
1つの部屋の前で止まるトールベン
「この中にジェイドが待っておる。話しをするのは主にシンヤ殿になる。
補足でリリィ殿の話しも聞くやもしれん。辛い事を聞くだろうがおひとつ頼む」
2人に頭を下げるトールベン
「俺は大丈夫だからな。俺に頭を下げる必要はないトールベン殿」
「頭を上げて下さいトールベンさん。私も大丈夫とは言えませんが、話せる事は話しますから」
(最初、いきなりシンヤさんに戦い申し込んだりと怖い人かと思ったけど、この人が砦を支えてるのかな? あの皇子様ではちょっと……)
頭を上げるトールベン
「そう言って貰えると助かるの。それと、ユイナ殿とヒカリ殿はシンヤ殿と同じ部屋で待っていてくれるかの」
“分かりました”と言いながら頷く2人
笑って頷くトールベンはエヴィリーナとダーネルと共に隣の部屋に入る
シンヤは扉をノックすると中から声を聞こえて部屋に入った
「失礼する。久しぶりだな、ジェイド。それに、レニーナさんも居てくれたのか、ありがとう」
「お久しぶりです、ジェイドさん。レニーナさんもまた会えてうれしいです」
「おお、久しぶりだなシンヤ! それにリリィも元気そうだな。
んで、其方の2人がシンヤの弟子だな」
「アタシが居た方がリリィも落ち着いて話せるだろうって事で居るからな。宜しく」
笑顔で迎えるジェイドとレニーナ
「初めまして、ジェイドさんシンヤさんの弟子でユイナと言います。宜しくお願いします。好きに呼んで下さい」
「初めましてシンヤさんの弟子のヒカリです。好きに呼んで下さい。邪魔に為らないように静かにしています」
「分かったよ。じゃ、ユイナとヒカリと呼ばせて貰うぜ。俺も好きに呼んでくれ
よし、早速始めるとするか、シンヤとリリィは前に座ってユイナとヒカリは好きな所に座ってくれ」
それぞれ座るシンヤ達。
そして、シンヤはゴブリンの巣でおきたい事を話し始めた
ゴブリン達を倒してリリィ達の救出までを事細かく話すシンヤ
話しを聞き終わったジェイドは天井を見上げて
「何と言うか凄すぎて訳わからねぇ……いや、話しの内容は判るけどな。
まぁ、ゴブリンロードとキングを同時に一撃で倒すんだからな当然か」
「俺も1つ気になっていたが、警備隊長自らがゴブリンの巣に向かうものなのか?
こう言うのは捜索隊なり選ぶと思うが、それとも捜索隊に名乗り出たとか?」
「それか? 砦は警備隊と警邏隊と皇子直属の騎士団が居るんだ
俺ら警備隊は砦、周囲の守りと外がメインでな
警邏隊が砦内を守るんだ。
で、ギルドのゴブリン増加の調査と砦がゴブリンの巣を発見した場所が同じだった
しかも調査に向かったのがレニーナのパーティーと聞いてな。居ても立ってもいられなくなりメンバー集めて殿下の許可貰って向かったんだ
俺達の向かった数なら、ジェネラルなら倒せるからな。まさかロードにキングが居るとは思わなかった」
シンヤの質問に答えるジェイド。頷きながら聞くシンヤ
「よし、シンヤから聞きたい事は聞けたな。次はリリィからだが大丈夫か?」
「私は大丈夫ですよレニーナさんも居ますから。お気遣いありがとうございます」
「分かった、話せる所まで良い。
それで、シンヤ達3人だが、俺らが話しを聞いている間アリュード殿下の所に行ってくれないか
殿下からお呼びなんだ」
アリュードから呼ばれていると言われ驚くヒカリとリリィ。ユイナは少し目が開居ている
シンヤは特に表情は変わることなく
「分かった。殿下の誘いなら断る訳には行かないからな」
「私が言うのもおかしいですが、大丈夫でしょうか? その……」
「ああ、殿下の女好きの噂を気にしてるのか?
大丈夫だろ、ロード一撃で倒したりトールベン団長負かす奴の連れにちょっかいはかけないよ
見た目ほどではないし安心しな…………多分」
不安そうに言うリリィに安心させようとするジェイド
「そうですね。シンヤさんも呼ばれてるので大丈夫だと思います」
「そうだよね。軽そうだし女の人が好きそうだけど……シンヤさん居るなら大丈夫かな」
「2人ともそれにリリィさんも大丈夫だよ。いざとなったら砦そのもの吹き飛ばして逃げたら良いだけだから安心して良いよ」
3人を安心させる様に言うシンヤだが
「お、おうアリュード殿下はそんなに悪くないから
な。
砦を吹っ飛ばす何てそんな事……出来そうで恐いわ。
よく考えたらトールベン団長の本気の技を真っ向から全て斬り伏せてるし……本当にするなよな?!
頼むからやめてくれ?! なっ?! なっ!」
「そんな事はしないから落ち着け。3人を安心させる為に言っただけだからな」
(それはあくまでも最終手段だしな)
何処かで似たような事を聞いたなと思いながらジェイドを落ち着かせるシンヤ
ジェイドを落ち着かせていると外からノックの音が聞こえる
シンヤ達を迎えに来たとアリュード殿下お付きの美女が1人顔を覗かせた
迎えに来た彼女の案内でアリュード殿下に会いに行くシンヤ達であった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます