第47話 出発
封書を開封して手紙を読むシンヤ
一通り内容に目を通して
「手紙の内容は2つ、この前のゴブリンロードの事について詳しく聞きたいのと
先日、壊滅した【
後者の件も既にリディーナさんに伝えているそうだけど」
そこで、リディーナを見ると彼女は頷いて
「はい、アリュード殿下から聞いております。
それで、ゴブリンロードの件は前にシンヤさんから聞いて1度、ヴァリアント砦に報告しています。
シンヤさん達の都合の良い日に話を聞く事も、私達へ送られた手紙にも書いていました
その時に、エヴィリーナとダーネルさんも一緒にお願いしたいのです。どうでしょうか?」
「確かに、手紙にも都合の良い日にと書いてあったけど、ユイナさん達はどうだろう? 勉強の進み具合もあるし」
シンヤは顔を向けてユイナ達を見ると
「私は順調に学べているので何時でも大丈夫です。
(スキルも順調に覚えて来ています。実際に私が使えるのはまだ少ないですが)」
「私は何時でも大丈夫ですよ~」
「私も文字の練習用に紙に書き写していますので、
何処でも出来ます。ヴァリアント砦に行くなら日数が掛かるので用意が要りますね」
3人ともに大丈夫と言う返事を貰い頷くシンヤ
「場所は地図で見てわかってるので、君達3人だけなら抱えて俺が走れば1日と経たず着けるけどね。
エヴィリーナさん達も加わるなら今日は用意して明日、出発が良いかな?」
「えっ?……1日……いや……まぁ……なるほど」
シンヤの1日で着く発言に驚くリディーナだが、シンヤの正体を知っているので段々納得していった
3人は1度経験しているので、着くんだろうな~と考えていた
「コホン……もし、今日から行けるのでしたら野営などに必要な物は全て此方で用意していますので行けますよ
エヴィリーナ達にも話はしているので何時でも大丈夫です
それと、用意した物を見て頂いて他に必要な物がないか確認お願いしても良いですか?」
「用意が良いな。しかし、そこまでして貰っても本当にいいのですか?」
「当然です! 寧ろまだ返し切れていません。私に出来る事はさせてもらいます。
それで、これが用意したリストになります」
リディーナは力強く頷き用意した一覧が書いている紙をシンヤに渡した。リディーナに頷きながら受け取ったシンヤは3人に確認して
「ありがとう。では、朝ご飯を食べながら確認するよ。
必要な物があったらリディーナさんに伝えるのかな?」
「必要な物がありましたらエリナに伝えて下さい。
それ以外の事や行ける段取りが出来た時もエリナに伝えて下さい」
「分かった。じゃあ食堂で食べた後、旅で必要な物があったら用意して貰い、それ以外の個人の物はそれぞれ用意する 。そして、出来たらエリナさんに声を掛けるでいいかな?」
それぞれ頷きながら返事をする3人
「皆さん、お願いします。私からは以上です。他にありますか?」
リディーナの問いに大丈夫と答えて4人で食堂に下りたのだった
食堂は朝ご飯を食べに来てる冒険者がそこそこ居るので賑やかだった
朝食は2メニューのみでお肉メインか野菜メインとなっていた
シンヤとヒカリがお肉メインの朝食を、ユイナとリリィが野菜メインの朝食を取り隅の席に着いた
朝食を食べながらリストを見ていたのだが
「凄い……凄いですよ! この調理魔導具達は! 名前は聞いた事あるんですが、実際見るのは初めてです! まだ見てませんけどね! 文字の練習していて良かった! 楽しみですね!……っは?! あっ……いや……その……」
リストに載っている野営で使う調理用魔導具の名前を見て興奮するリリィ
唖然と見るユイナとヒカリに気付いて顔を真っ赤にしながら小さくなるリリィ
「どうやら全て高級品や最新の物を用意してくれたみたいだね。
追加は無さそうだ、後は個々の持ち物を確認して問題なかったら出発かな?
(リリィさんは昨晩、思いの丈を吐露出来たから少し明るくなれたのかな? 感じる気配も前より落ち着いて明るくなった感じがするな)」
「ほぉへじゃにょもひねふらまふへべにゅむもうべぶば? [それでは、用意出来たら下で集合ですか?]」
ポークソテーを口一杯に入れて、もにゅもにゅしながら話すヒカリに
「美味しいのは分かりましたから、食べ物を飲み込んでから話しましょうヒカリさん。
それで、シンヤさん。ヒカリさんが言ったように1階で集合ですか?」
「それでいいよ。用意でき次第、資料室前で集まろうか
(ユイナさんがヒカリさんの言ってる事分かったのは【解読】スキル覚えたからだろうか?……前の時に居た学者の彼女は【解読】スキルを覚えても、同じ場面で分かって無かった。
ユイナさんとヒカリさんだからかな?)」
「んぐんぐ……アハハ、ごめんなさい。凄く美味しくて、ついね~ 気を付けます」
恥ずかしそうに笑い謝ると美味しそうに食べるヒカリ
その後は問題なく食べ終わった4人
食器を返しに行った時、この前の無愛想のおっさんが対応していた
ヒカリが嬉しそうに “美味しかったです!” と言うと無愛想のまま親指を立てるおっさんであった
因みに今までそんな事を為たことが一切無かったおっさんの行動を見ていた冒険者達が驚いたのは別の話である
滞りなく用意が出来た4人は1階の冒険者が出ていくのを待ってエリナに声を掛けた
「エリナさん、お早うございます。リディーナさんからの件ですが、此方の用意は出来ました」
「皆さんお早うございます。分かりました、ではエヴィリーナさんとダーネルさんをお呼びしますね。
荷物はダーネルさんが持って来ます。少々お待ち下さいね」
受付から少し離れた位置で待っていると
「そうそう皆が持っている“お守り”だけどこの前言ったように、魔力の回復は自動回復しかない
先日の件から完全に魔力が回復出来てないんだ。
発動しても前と同じ時間は発動しないことを頭に入れておいてね。今回は報告だけだから大丈夫と思う」
頷く3人。それからたわいない話をしていると2人が受付の奥から表れた
ダーネルは何時もの盗賊の衣装だが、エヴィリーナは違った。
ジャルドに操られていた時は、際どい水色のワンピースを着ていたエヴィリーナ
今は、ユイナ達と同じ冒険者の服装に白色の髪を肩まで切っており皮の帽子を被っていた
「久しぶりだな。今回は宜しくな。」
「お久しぶりですね。宜しくお願いします」
右手を上げて挨拶するダーネルと深々と頭を下げるエヴィリーナ
「此方こそ宜しくな2人とも。しかし、エヴィリーナさんは随分と印象が変わったな
(気配も数日前より安定しているな)」
「はい、宜しくお願いします。ダーネルさん、エヴィリーナさん」
「宜しくお願いします。回復魔法使えるので、怪我したら言って下さいね。」
「此方こそお願いします。戦闘は出来ませんが、荷物持ちに野営などの裏方をさせてもらいます」
それぞれ挨拶をする4人
「私は、色々と目立つのでなるべく目立たない格好にしました。」
腕を軽く広げて服を見せるエヴィリーナ。腰にはレイピアを下げている
「なるほどね。ほとぼりもまだ、完全に冷めてないから大変だな。よし、じゃあ そろそろ行こうか」
シンヤが言うとダーネルは軽く手を上げて応え4人は頷く
シンヤを先頭にギルドから出発する6人であった
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