第45話 パーティー
【
リディーナの指揮で【
これに対して異を唱えたのはカイルド帝国だった
たが、中立都市としての権限とジャルドなどの話を出すとあっさりと引いた
これには冒険者達は訝しみ警戒していたが特に何もしてこなかった
そして、調査の結果
「見事に何も出て来なかったわね」
「俺は、あのクランに入って日が浅いが必要なもの以外は置いてなかったからな……酒は阿呆みたいにあったけどよ」
ギルド長執務室にて自身の目でも実際に確認して調査報告書にも目を通しながれ呟くリディーナ
ダーネルは壁に寄り掛かりながら話す。そこにエヴィリーナが
「私は必要最低限の物しか持たされませんでした。
帝国と侯爵家との繫がりになるものは一切置いてなかった。手紙類もすぐに処分していました。
侯爵家の圧力があったにしても帝国があっさり手を引いたのはこれが要因でしょう
食事に関しても料理出来る者が数人でそれも攫ってきた女性達用でありました
殆どが外で食べてはツケと言うなの脅しをしていましたから」
「はぁ、そうね。帝国や侯爵家に対しての手札は手に入らなかった。唯一の繫がりがジャルドのみ
それも追放しているから知らぬ存ぜぬで確固たる証拠がない迂闊に手が出せない
回収した金品類はツケで困っていた店に支払い殆ど手元に残らなかった
(もともとジャルドは使い捨てだったのだろう。そいつに良いように使われていた私って……それに、少しでもシンヤさん達にお礼と迷惑掛けたお詫びにと思ってたけど出来なかったわ。)」
頭を抱えるリディーナにどうする事も出来ず下を向くエヴィリーナ
「ってか、そこら辺の話も含めて俺が聞いても良いものか?」
「問題ないわ。貴方とエヴィリーナの身柄は私が預かってるもの。それに、色々と動いて貰う事になるしね」
リディーナの言葉に肩を竦めるダーネル
「まぁ、死にたかないしね。それに、こう言うのも悪くないしな。安心してくれキチンと動くさ」
「そう言って貰うと助かるわ。その分の報酬はきちっと支払う。色々と動いて貰うわね」
“そうですか”と言いながらソファーに座るダーネル
リディーナはエヴィリーナに目を向けて
「でも、エヴィリーナ本当に良いの? 奴隷紋消さなくても……消したら綺麗な体に戻るのよ」
「これは、私の罰みたいなものですからね。私の迂闊さと甘さで姉様と皆様にご迷惑をお掛けしたのですから。
それに、ジャルドに奴隷紋を刻まれているのを知ってる人はいます。消してしまったらそれで話しが広がると思います。
そうしたらあの方々に要らない迷惑を掛けてしまいます
先程、綺麗な体と言いましたが、ジャルドは私と姉様の両方を手に入れてから、抱いて自分の女にしようとしていました。
なので、私の体は綺麗なままです」
最後は恥ずかしく顔が少し赤くなるエヴィリーナ
「そう……分かりました。では、これからについて話しましょうか」
真剣な顔になるリディーナに真剣な表情で頷くダーネルとエヴィリーナであった
その日の夜、ギルド4階の宿泊施設にて
ここ数日間はシンヤ達はギルドの宿泊施設で寝泊まりしていた
シンヤが借りている共同部屋にてシンヤとリリィが向かい合っていた
「人払いもしているし音の遮断も施して鍵も掛けてある。話をして大丈夫だよ」
頷くと
すると元の姿である薄い灰色の肌で尖った耳、紫色の髪に赤目になり魔族の姿に戻った
思い詰めた表情のリリィ
「正直に言いますと、私は分からないんです」
「分からない?」
小さく頷くリリィ
「ゴブリン達に襲われて逃げて助けを呼んでも誰も力になって貰えず、結局捕まってむちゃくちゃにされました。
そして助かって、でも、また捕まってまた助けられて
それから数日間落ち着いて自分の時間が取れたときふと思ったんです。私はなんなのかって……」
口を挟む事なくじっと待ちリリィの話す事に集中するシンヤ
「何で私が……私達がこんな目に会わないといけないのでしょうか? 普通に暮らしていただけだったんです。それが、父を殺され皆が殺されて仲の良かったお友達は私より先にゴブリン達に捕まってむちゃくちゃにされて、私も嫌がる私を彼奴らは強引に散らされて……何度も何度も……」
話している内に薄暗いどろっとした何かががこみ上げてくるリリィ。苦しくなり段々と俯いていく
「どうして……どうしてもっと速く助けに来てくれなかったんですか? そうしたら私も皆助かったのに……」
薄暗い感情がこみ上げて来ると他のあらゆる感情が溢れてくる
「すまない……」
「謝るなら何で来てくれなかったんですか?! 貴方なら来れたのではないのですか?! どうして……何で私たちがこんな目に遭うのよ!! おかしいじゃない!! 私達が何したって言うのよ!!」
顔を上げて涙を流しながらシンヤを睨むリリィ。
彼女も頭では分かっている。こんな事を言うのは違うと間違っていると理解出来ている
でも、1度溢れ出したあらゆる感情が思いが止まることなく溢れ続けてシンヤにぶつけていた
その後もシンヤは何も言わずにただ黙って受け止めていた
全ての思いを吐き出したリリィは冷静になると灰色の肌をした顔が青くなっていた
「……あの……ごめん……なさい、シンヤさん……私……何てことを……」
「全く問題ないし俺は大丈夫だよ。いきなり1人になり全く違う種族として、知り合いが居ない所で暫く生きていかないといけないんだ。
思う事もあるだろう、無理にため込む必要はない。辛くなったら何時でも話は聞くよ」
落ち着かせる様に頭を撫でるシンヤ。
温かい感触にまた泣きそうになるリリィであった
完全に落ち着いたリリィは
「シンヤさんはまるで私のお父さんみたいですね……ってごめんなさい!! 変な事を言いました」
思わず零したお父さん発言に慌てて頭を下げるリリィ
「俺は気にしてないよ。年齢的にリリィさんのお父さんと歳は近いだろうしね」
「近いと言うより同い年です! あっ、その、何て言いましょうか……」
しどろもどろになりまた慌てだすリリィの頭に軽く手を載せて
「落ち着こうか、何度も言うけど問題ないよ。俺を父と思うと安心出来るならそれで構わないからね
」
嬉しさと恥ずかしさで、顔が赤くなるも笑ってしまうリリィ。因みにシンヤの手は頭に載ったままである
「……その、シンヤさんは凄く強いですよね。特訓や実戦を沢山したのでしょうか?
(恥ずかしくて話題変えようとしたら変な事を聞いちゃった)」
「ふむ……特訓や実戦は確かに大事だな。
けど、強いと思えるのは自分の中に自分を見つけて自分であり続けようとしているからだろうね」
意味がわからず頭を捻り、難しい顔になっていくリリィ
リリィの顔を見て苦笑いになるが、すぐに微笑んで頭を優しくなでるシンヤ
「難しいからね、分からなくて大丈夫だよ。今は休んで明日に備えようか」
“はい”と返事をして暫く撫でられ続けるリリィ
その結果
「ごめんなさい! またシンヤさんのベットを独占してしまいました!!」
気付いたら手を握りいつの間にか爆睡しているリリィ。
気付いたら左手中指に指輪が付いていて人間の姿になっていた
ベットの上で頭を下げている
「全然大丈夫だよ。それよりもリディーナさんに呼ばれているんだ。用意が出来たら執務室に行こうと思う。朝食は話の後で取る予定だよ。
今回はリディーナさんからユイナさんとヒカリさんに伝えるから大丈夫だ」
「分かりました。部屋に戻ってすぐ用意します」
ベットから飛び降りて頭をもう一度下げると部屋に戻った
リリィが部屋に居たことでリディーナと余分な話をしたシンヤだが、そこに気付くまで頭の回って居ないリリィであった
全員、仕度をしてリディーナの執務室に入るとそれぞれソファーに座った
「朝早く申し訳ありません。単刀直入に皆さんでパーティーを作りませんか?」
パーティーを作るか聞かれて顔を見合わせるシンヤ達であった
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