第42話 ジャルド・シクリーニ
一方シンヤの方は、
【
特に見張りも立って居ない表門を見て
「油断しすぎではないか。まぁ、此方としては好都合だな……行くか」
門をくぐり少し大きめの玄関の扉の前に立つと刀を振り抜き吹き飛ばした
扉は大小さまざまな破片になり中にいた6~7人に当たり吹きとばした
エントランスに繫がる部屋からぞろぞろと出て来たクランメンバー
「敵襲だー!」
「全員、奴をぶっ殺せー!」
更に奥からも続々と表れた
「貴様はあのへぶ?!」
部屋から表れた斥候の男がシンヤに気付き声を掛ける前に、近付いたシンヤの蹴りを食らい首の骨をへし折られる
「(リディーナさんの話ではクラン全員が私利私欲を尽くし強盗、殺人、強姦などをした元犯罪者と闇組織の連中と言っていた。
指名手配されてるのもかなり居るらしいな
通りで感じる気配が全員その手の者だと思ったが……いや、1人違うか)」
シンヤを取り囲んだ十数人が襲い掛かるが、其れより速く刀を一振りしたシンヤによって全員首が飛んだ飛んだ
一瞬の内に倒されて襲い掛かかろうとした廻りの者達が驚きで固まるが、直ぐに動き出すも攻撃は当たらず次々と斬り伏せて行くシンヤ
シンヤの強さに恐れをなして逃げ出そうとした者も居たが全て倒していった
「(何故ここまで凶悪な犯罪者達を集めて冒険者クランを立ち上げたのか理由は分からない。
そして、自分達がこの都市で自由に動くため諸々の理由でリディーナさんに白羽の矢が立った訳か)」
一気に勢いのまま3階まで上がったシンヤ
そこで、待ち構えて居たのはゴーランだった。グレードソードを構えてシンヤを睨み付ける
「てめぇ、好き勝手してたみてぇだがこれ以じょ……あっ?」
姿を消したシンヤ。ゴーランが変な声を出すと同時に後ろに表れたシンヤ
「悪いが、お前に付き合っている暇はない」
返事がないゴーラン。自分のグレードソードを胸に深々と突き立てられその場で崩れ落ちるように後ろに倒れた
後ろを振り返る事なくジャルドがいる4階を目指すシンヤ
4階に上がる階段の手前にダーネルと呼ばれた盗賊が腕組みして立って居た。
シンヤを見ると
「上がって来るスピードが据え恐ろしいな……この上には普段なら団長のジャルドとAランククラスの奴らが20人ほど居る。
今は10人は1階のお嬢さん達の所に行って5人は帝国に行ってるらしい
残り5人は暗殺者が2人と冒険者が3人それとジャルドだ」
「何故それを俺に言う?」
腕組みをといて肩を竦めながら
「さぁね……気紛れだよ」
「そうか……所でどうして君はこのクランに居るんだ?」
シンヤに聞かれて怪訝な顔になるダーネル
「君とリディーナさんの妹以外の者からの気配は邪なものも感じる。
だが、君からは普通の冒険者の気配しか感じないからな」
「はぁ?! 気配?! いや、気配でそこまでの事はぁ……まぁ、あんたなら分かるのか
余所から来たばっかりの所へ勢いに乗ってSランクに上がったクランと聞いてさ
俺もランク上げて実力付けてやる! って意気込んで来たら只の犯罪者集団だったてオチさ」
自嘲気味に話すダーネル
「そうか、これからどうするんだ?」
「どうするかな? 暫くはこの都市で力付けて金を稼ぐとするさ
此奴らの言う事に従えなくて煙たがれかけて金が全然ないからな~ じゃあな」
頭の後ろに腕を組み立ち去るダーネルを見送る事なく4階上がるシンヤ
4階に上がった瞬間に左右から
しかし何事もなかった様に進むシンヤを見て不思議な顔になる冒険者3人
バトルアックスを振り下ろした黒装束2人の首が転がり落ち、体が崩れた事で焦りの表情になった
慌てて杖やロングソードなどを構えると同時に、両手に持ったバトルアックスで3人の胴体を上下にぶった斬るシンヤ
バトルアックスを放り投げジャルドがいる団長室に駆け出したシンヤだった。
ジャルドの部屋は執務室と寝室を一部屋で兼ねているため広かった
一応書類作業もするが、いきなり“女を抱きてぇ”となったら直ぐ抱ける為であった
そのジャルド本人は執務机の席に座り酒を飲んでいた
下が騒がしかったのは攫った女達の連れが助けに来たと考えたが、今日はほぼクランメンバーが居るためすぐに捕まえると高をくくッていた
捕まえた男の前で女の1人を抱いてやるのも面白いなと思っていると、いきなり扉が蹴り破られた
思わず席を立つジャルド、扉があった方に目を向けると
「貴様は?! 何故ここに居る?!」
「お前が、ジャルドだな。下の連中は倒した。残るはお前だけだ」
驚愕に茶色の目が広がるジャルドだか、すぐに不敵な笑みを浮かべて
「確かに俺がジャルド・シクリーニ様だ。貴様がシンヤだな。どうやら大した腕を持ってる様だが、俺は倒せん」
「リディーナさんの妹の事か? それならば問題ない。分からないのか?
(先程、彼女の者と思える気配の流れが変わった)」
「何を……っ? 繫がりが消えている?!」
気付いて奥歯を噛み締めて顔を歪めるジャルド。
それでも、表情は戻り歪んだ笑みを浮かべると
「フックククククッそんなのは再度奴隷にしてやれば良いだけよ
俺には侯爵家と帝国の後ろ盾がある。それに……お前では、俺を傷つける事はおろか殺すこともかなわん!」
言って着ているコートをシンヤに見せつけてブロンドの髪をかき上げる
「これは、古代の高等防御魔導具。物理・魔法両方の攻撃を無効にして一切通すことはぁぁぁなぁい!! 如何にお前が強かろうと俺は倒せない!
そうだ、俺の配下になれ! お前ほどの腕を持つ者は消すのは惜しい。そうすれば、リディーナはお前にくれてやるぞ! 俺の為に動け!
(他の奴らを殺されたのは痛いが、所詮は犯罪者。
幾らでも変えは効く。この都市を手中に収めるのに、折角ギルドを裏から操りこれからと言うときに……まぁ、こいつを使えば良いだけよ)」
「……浅はかと言うか。所詮は己の手を汚さない貴族のボンボンの考えだな
(あれは、マルティと鍛治師が考案して作り出した試作の防御魔導具だ。
高等ではないが、この時代にはない素材でも使われてるのか?)」
シンヤの馬鹿にした態度に憤怒の顔になるジャルド
ロングソードを抜いてシンヤに突き付ける
「貴様!! 俺をこけにするとは許さんぞぉぉぉ!! ぶっ殺してやる!」
両手でロングソードを持ち振りかぶるジャルド
そのまま振り下ろそうとしたとき、ジャルドの目の前でロングソードを握ったままの両手首が
下に落ちた
「……あぇ?」
間の抜けた声を出しゆっくりと腕を前に下ろすと手首から先を切断され血が吹き出ているのに気付いた
「な、な、な、何でぇぇぇぇぇぇえ?! 完璧な防御魔導具なのにぃぃぃぃい?! ひぃぃ! 痛い痛い痛い痛い痛いぃぃぃい?!」
「……そのコートは試作段階の不完全な防御魔導具だ。一定以上の力で攻撃されると簡単に破ける。
そして破けたら効力を失う」
あり得ない者を見る目でシンヤに顔を向けるジャルド。恐怖で顔が引き攣っている
「なんなんだよぉぉぉ?! お前はぁぁぁ?! ああああああ?!」
「……さぁ、何者なんだろうな」
恐怖に引き攣った表情のままジャルドの首は床に静かに落ちて体は机の上に倒れた
「さて、これからどうなるか。他のクランがどう動くか、帝国側に闇組織の動向も注意が必要だな。
早急に救出を急ぎたいが先ずは第1皇子に会うのが先決
それよりも、彼女達とこのクランについてからか」
色々とやることを考えながら下に下りるシンヤであった
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