第35話 報酬


 今、現在の資料室で


 スキル本の選定をするシンヤ

 『スキルの基礎』の本を読むユイナ

 ヒカリの協力で本を読んで貰い文字を書いて覚えているリリィ


 リリィは文字を覚えるのに、最初はヒカリに一緒に読んで貰い覚えようとしていた


 それでは、中々覚えられないと考えたヒカリは受付に居るエリナに話して書く物と紙をした

 本にも、書いて覚える事を勧めていて、文字を書いているリリィだが



「(この本、村長さんが書いてた?! 

 まさかこんな所で村長さんの遺品に出会うとは……村長さんこんな辛辣な言葉書いたりするんだ)」



 ヒカリに聞いた本の著者が村長だった事に驚きながら文字を書いて覚えているリリィ


 暫くして資料室の扉がノックしてエリナが入って来た



「凄い調べ物されてますね。冒険者の人は普段この部屋は使わないので勉強家なのですね」



「冒険者は実践から学ぶでしょうからね。

 それで、呼びに来られたのは報酬の計算が出来ましたか?」



 感心した声を上げるエリナは頷きながら

 


「はい、そうです。手が空きましたら声を掛けて下さい。

 額が大きいので〔小会議室〕でお渡しします」



「時間も頃合いだしこのまま貰いに行きましょうか。皆はどうかな?」



 ヒカリとリリィは頷くが、ユイナは集中しているからかエリナが入って来たことも気付いていなかった

 ヒカリがユイナの肩を叩きながら



「ユイナちゃん。報酬貰いに行くから一旦休憩だよ」



「えっ? あっ すみません。集中し過ぎてました。」



「大丈夫だよ。此方こそ声を掛けて悪かったね。

 ユイナさんもだけどリリィさん達も勉強続けるなら1人で貰いに行くけどどうする? 

 (前の時に勇助の彼女は、本を読んでる途中で止めても再開して読めば覚えれたからな。

 ユイナさんも大丈夫と思うんだが……)」



 勉強を続けるか聞かれて、考えるユイナだが一緒に行く事にすると、リリィとヒカリも行くと言ったので簡単に片づけて〔小会議室〕に向かった

 部屋に入るとリディーナが待って居た。

 リディーナの前に書類と側に布が被された何かが置いてある



「リディーナさんお待たせしました」



「いえ、普段は私がお待たせさせているので大丈夫です。どうぞ、お座り下さい」



 リディーナが先に居ることに驚くが、頭を下げるシンヤ

 リディーナは笑いながら言うと席に座るシンヤ達

 今回はシンヤが前に座り3人はシンヤの後ろに座った



「まずは、プレートをお預かりします。此方のトレーの上に置いてください」



 木のトレーをシンヤに差し出すと、シンヤから順に冒険者プレートを置いて行った

 全員置くとエリナが受け取り部屋を出た



「続いて報酬になります。

今回はゴブリンロードが1体 5000万S〈5000G〉


 ゴブリンキングが1体 2000万S〈2000G〉


 ゴブリンジェネラルが1体500万S〈500G〉の2体で1000万S〈1000G〉


 で、合計8000万S〈8000G〉になります

 1000Gを超えますと、1000Gにつき1ミスリル銀貨MGに両替出来ます

 今回は8MGでご用意しています」



「なるほど。因みに、報酬の金はギルドに預ける事は出来ますか?

 (俺達の時代はミスリル銀貨何て無かったからゴールドでもかなりの枚数になってたな)」



 報酬が書かれた紙を見せながらシンヤに説明するリディーナ

 説明が終わり被せていた布を取り、8枚のミスリル銀貨をシンヤの前に出した。

 前居た時代はこれ以上の大金を扱っていたので金額は驚かないシンヤ。

 でも、初めて見たミスリル銀貨は気になるのか見ながらリディーナに聞いた

 


「はい、出来ます。プレートに保管情報を記載させて貰います。

 全額シンヤさんで記載させて貰って良いですか?」



「それなんですが、ミスリル銀貨をユイナさん ヒカリさん リリィさんにそれぞれ1枚ずつ分けて貰えますか」



「「「 えぇ?! 」」」



 同時に驚きの声を上げる3人。

 3人に振り返ると、3人とも手を胸の前で振り首をぶんぶん左右に振っていた



「駄目です、駄目です。こんな大金は頂けません! 前に貰ったシルバーはまだありますから

  (ミスリル銀貨は聞いた事あるけど、はじめて見たわ。

 兎に角こんな大金は恐くて扱えないわ……)」



「ここまでして貰う訳には行きません。

 そうで無くても色々としてもらってますから

 (ミスリル銀貨は初めて聞きました。スキルについても助けてもらってるのに、これ以上は貰う訳には行きませんね)」



「凄い大金なのは分かります。だからそんな大金は……えぇと……だから駄目ですよ

(私は一応学生なんですけど?! そんな凄そうなお金を貰ったらどう扱ったらいいの?!)」



 貰えないとそれぞれの言葉で断る3人



「そこまで、難しく考える無くて大丈夫だよ。

 急に必要な物を買う時もあるだろう。その時にお金を直ぐに渡せないかも知れない。

 そんな時などに使えばと思うんだ。難しく考えないでいいよ

 (そんなに深く考えてなかったんだけどな。

 俺は、あれば便利だなぐらいの考えだしね)」



 その後も、色々と受け取って貰おうと話すシンヤ

 最初は首を縦に振らなかった3人。

 だが、段々とシンヤに説得されて更に何も言わずに待っているリディーナに、申し訳なくなり最後は受け取った

 すると、黙って成り行きを見守っていたリディーナが

 


「それでは、ユイナさん ヒカリさん リリィさんにそれぞれミスリル銀貨1枚を入れさせて貰います 

 それでは、ミスリル銀貨の入金になるので少し席を外します

 失礼しますね

 (これだけの大金をポンと振り分け出来るとは。

 しかも、ゴブリンロード等の大物を倒した報酬なのにね

 師弟関係らしいけど、実は男女の関係……はなさそうね。

 とてもそうは見えないしリリィさんに至ってわね……)」



 考えながらも、いつの間にか部屋に入っていたエリナと一緒に部屋を出たリディーナ



「あの、シンヤさんありがとうございます。スキルを早く覚えて力になれる様に頑張ります」



「私も助けて頂いただけで無く、ここまでして貰いありがとうございます」



「私ももっと頑張ります。ありがとうございます」

 


 3人の言葉に頷くシンヤであった




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