第33話 買い物と……
シンヤと分かれてギルドを出た3人。目の前の大通りは活気に溢れていて多くの人で賑わっていた
冒険者に一般の生活をしている人まで色々な人種が行き交っている
「リリィさんヒカリさんまずは何処に行きましょうか?」
「私は服と下着が無いので数枚買えたらと思います。後は日用品にマジック袋と身を守る防具でしょうか? 金額にもよりますが……」
「私は下着かな? それと革製の防具に歯ブラシだね」
ユイナに聞かれてそれぞれ考える2人。服に日用品を扱ってる店を目指して歩き出した。
歩いてる途中で
「そうです、リリィさん。リリィさんは私より1つ年上ですので、敬語はいりません。
名前は呼び捨てでも好きに呼んで貰って構いません
私は、ずっと敬語使ってましたから、敬語で話します。ただ、よほどの事があったら別ですね」
「ですね~私はユイナちゃんと同い年だけど、誕生日まだ だから16歳なんです。なので、私の事も好きに呼んで下さい」
「……ありがとうユイナさんヒカリさん。
敬語は止めるけど流石に呼び捨てはできないからね。さん付けで呼ぶわね」
笑いながら言うリリィ。笑い返して頷くヒカリと、嬉しそうな雰囲気を出しながら無表情で頷くユイナ。
するとリリィが
「所で、シンヤさんはおいくつかしら?
私達よりは上だと思うけど」
「そう言えば年齢聞いて無いですね。
私達も歳は話していませんから。
お互い気にしてなかったですね」
「うんうん。今度聞いてみようかな? (本当は何歳だろう……20歳前半ぐらいかな?)」
シンヤの年齢の話しから好きな食べ物の話し等を話していると目的の店に着いた
昨晩ギルドに行く途中に見つけたお店で看板には女性物取り扱いと書いてあった
店の中に入ると
「いらっしゃい。おや、お客さん見ない顔だね。この都市に来た冒険者かい?」
恰幅のいい50代ぐらいの女性店員が出て来た。
「はい、そうです。今までは使っていた服など日用品が駄目になりまして。
纏めて新調しようと思っています。貴女は店員ですか?」
「そうかい。うちを選んでくれるとは嬉しいね。
武器や防具は扱ってないけど、それ以外の冒険者の物も含めて女物なら一通りあるからね。
それと、あたしゃこの店の店長でクッカだよ」
「そうだったんですね。ごめんなさい」
予めシンヤと打ち合わせしていた内容を話すリリィ。
店長と聞いて慌てて頭を下げると、“気にしてないよ” と豪快に笑い飛ばした店長ことクッカ
クッカの案内で店の中に入ると各々必要な物を選んでいった
「欲しい物が殆ど揃いましたね。助かります。
(服や下着が思ったより数や種類が豊富でそれで安いですね。
元々大量に作る技術があったのでしょうか?
それともかつてのシンヤさんパーティーの誰か製造方法を伝えたとか?
どちらにしてもありがたいですね。
あと、お城から支給されていた服より物がいい気がします……いや明らかに良いですね)」
「そうね、ユイナさん。良いものが揃っているわね
(私達の魔界より物が断然良いわね。しかも数が多い……可愛い物も沢山あるわね。
服はそんなに買えないけど、下着なら少しぐらい多くてもいいかな)」
「ほんとほんと。数も多くて色々目移りするね
(日本の石鹸にそっくりな石鹸もあるし、瓶に入ったシャンプーもある。
これってシンヤさん達が流行らしたのかな?)」
各々欲しい物と必要な物を選ぶと
「気に入った物があったみたいだね。支払いに皆、並んでるってことは、もう良いのかい?」
「はい、大丈夫です。支払いは別々にお願いします」
リリィが代表で答えるとそれぞれ支払いを済ませてマジック袋に入れていった
「すみませんクッカさん、女性用で革製の胸当ては何処で買うのが良いですか?」
「革製の胸当てだね。それならバルボッサ商会か……女性物ならバルボッサだな。他は男物ばかりだからね」
腰に両手を当てて考えるクッカ
「なるほど、分かりました。ありがとうございます。助かりました」
リリィがお礼を言うとユイナとヒカリも頭を下げる
「なーにまた、あたしの所で買い物頼んだよ」
言って豪快に笑うクッカと分かれてバルボッサ商会に向かう3人である
少し歩いてバルボッサ商会の前で3階建て以上の豪華な建物を前に固まる3人
「昨夜は気にしてませんでしたが、改めて見ると大きいですね。
リリィさん、店員との会話大丈夫ですか?
あれからまだ1日も経ってないですし辛いなら変わりますよ?」
「ありがとうユイナさん、大丈夫よ。人との会話だけなら問題ないわ。行きましょうか」
3人は目の前の大きな扉を開けて中に入ると部屋の大きさに多種多様の武器と防具に整えられた調度品に圧倒される3人
後ろから入ろうとする男性冒険者に、怪訝な顔で見られて慌てて中に入り防具売り場に行った
一通り女性用防具を見て周り
「この1000Sの革製の胸当てが良さそうね。着脱しやすくて手持ちで買えるわね」
「そうですね。サイズの種類も多いですしこれにしましょう」
「じゃ、支払いはあそこだね。ちょうど空いてるしタイミング良いね
(……こんな時にこんな事思うのは不謹慎だけど、
そんな事を考えながら2人の後を付いて行くヒカリである
それぞれ支払いを済ませて少し離れた所で胸当てを装備していると、周りからどよめきが起こる
どよめきの中心にいるのは2階から下りてくる男性と女性にあった
20代後半ぐらいのブロンドの髪に茶色の瞳の170㎝位の男と、白色の髪を腰まで伸ばして銀色の瞳をした感情のない顔の美少女
ユイナ達の側にいた男性冒険者が
「【
普段、こちら側に来ないのに何でバルボッサ商会に居るんだよ」
若干震える声で呟くと、ジャルドに聞こえたのか不機嫌な顔で睨まれた。
男性冒険者は真っ青な顔でそそくさとバルボッサ商会を出ていった
男性冒険者の側に居るユイナ達を一瞬見たがすぐ視線を戻して外に出たジャルドにエヴィリーナ
「あれがジャルド・シクリーニ……貴族の服を着ていましたね。追放されても着れるのでしょうか?
(お城で見たことある服に近いですね)」
「ユイナちゃん……服気になるんだね。顔がしかめっ面で嫌な雰囲気だったね」
「そうね、関わりにならない方が良いわね。
姿が見えなくなって戻りましょうか」
バルボッサ商会の中でジャルドの感想を話している3人。
外に出たジャルドはバルボッサ商会との話し合いで自分の思った通りに行かなくて苛ついていた。
だが、ユイナ達3人を思い出し
「……悪くないか」
バルボッサ商会を一瞥してほくそ笑んでいた
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