第32話 話し合い
無事、用意を済ませてシンヤに合流した3人は1階に行った。
シンヤは朝絡んで来た連中が居ないのを確認してエリナに会いに受け付けに行った
「エリナさんおはようございます」
「シンヤさんに皆さんもおはようございます。
リディーナさんから話は聞いています。ご案内していいですか?」
「おはようございます。その、お話しの前に昨日の採取した薬草とゴブリンの討伐部位を提出したいのですが良いですか?」
ユイナが言うとヒカリも採取した薬草を取り出した
「分かりました。昨日のお話で、ゴブリンロード達の討伐ポイントを振り分けてランクをDまで上げますね。
これらの、薬草採取とゴブリンのポイントは保留させて貰って良いですか?」
ユイナとヒカリが頷く
「では、その様に手続きさせてもらいます。他に何かありますか?」
「他は大丈夫ですね。皆も大丈夫かな?」
シンヤが聞くと3人は頷いた。
シンヤが“お願いします” と言うとエリナは〔小会議室〕に案内した
〔小会議室〕に入ると昨晩と違い机の上にティーカップとティーポットが置かれ4人が座る前には軽くつまめる軽食が置かれていた
「わぁ~ はっ?! その……あの……ごめんなさい」
軽食を見たヒカリが目をキラキラさせ声を上げると、皆に一斉に見られて顔が赤くなり恥ずかしそうに俯いた
「リディーナさんはもう少し時間が掛かるそうです。
ですので、お茶でも飲んでお待ち下さい」
シンヤは昨日の位置に座ると3名も同じ席に座った。
エリナは紅茶を用意するとそれぞれの前に置いて
「リディーナさんには他の者が伝えていますので、少々お待ち下さいね」
頭を1つ下げて部屋を出るエリナ。
出たら直ぐに軽食を食べ始めるヒカリ
「リディーナさんの話を聞いた後は俺は調べ物をして、その間に3人で買い物をと思っていたけどさ。
彼等みたいなのが居るなら3人ではなく俺も行った方が良いのかな?」
「そうですね。でも、冒険者ならその時間はクエストに出ているので大丈夫と思います」
「中には、クエストに行ってない人も居ると思います。
今朝絡んで来た人達が居たら大変ですが、気にしすぎても買い物に行けなくなりますね」
3人の話を聞いてヒカリは食べながら所々頷く
「ここから感じる気配には、今朝の彼等は無いからそこは大丈夫と思う。
それ以外にしても大通りで買い物すれば問題無いと思うけど……」
「はい、3人で買い物行けば大丈夫です。それに、今回は日常品の足りない物を買いに行くだけですから。
そんなに時間は掛かりません」
昨日から色々あって、少し懸念するシンヤ。
余り迷惑かけない様にと思う3人はユイナの話に頷いていた
「確かに、気にしすぎてもあれか」
(それに3人の中を深めるのに良いだろうしね。
リリィさんも暫く人として生活するから慣れるのにも良いな)
そして、リディーナが来るまで食事をしたり話をしていた
それから、少しして
「すみません。大丈夫と言いながら遅くなりました」
「全然、大丈夫です。それに、朝食を用意して頂きありがとうございます」
リディーナは入りながら謝ってきた。
シンヤは大丈夫ですと言うと3人もお礼を言っていた
「それなら良かったです。少し長くなりますが、まずはこの都市の成り立ちについてお話します。
この都市は元々魔物等を討伐する者達が集まり、村として興したのが始まりです
当時は今ほど魔族の方々が住む魔界と平和でもなく、争いもあり魔界に近い所に村を作ったそうです
紆余曲折あり都市まで発展したのですが、元々戦闘を得意とする者達の集まりのせいか力で解決する考えが強く無法者の集まりになり掛かってました」
ここで、一旦区切り紅茶で喉を潤すリディーナ
魔界の所で、僅かに反応仕掛かったリリィ。
「そこで、危険視した当時のカイルド帝国とパールド王国がそれぞれ制圧しようと乗り出しました
ですが、何度、制圧の為に戦いを挑んでも失敗に終わりそれぞれ消耗だけしていきました
そして、当時ランドールを纏め指揮していた人が〔冒険者ギルド〕を立ち上げて2国に交渉を持ちかけました。
それぞれ消耗していた為か話し合いの結果、中立都市としての自治権等を得て国が関わらない代わりに、世界中の魔物を討伐する事になりました
そして中立都市ランドールが出来たのです
本当はもっと細かい話などがありますが、ざっとこんな所ですね」
一息ついて紅茶を飲むリディーナ
「なる程。そう言う成り立ちがあるから【
この都市に初めて来たとき門衛から気を付けるクランとして言ってました」
(今の話、俺達が魔王を倒すため設置した人間側の前線基地の事だよな。
まだ世界の地図を見て無いが分からないが多分そうだろう……しかし国の形も随分変わったみたいだな )
「そうですね……ただ、彼等がここまで横暴になったのは情け無い話ですが、私に原因がありますよ」
リディーナの自分に原因がある発言に驚くユイナ達
「今までは、ギルド長は代々男性がなっていました
先ほど国は関わらないと言いましたが、ギルド長は貴族の血筋や関係者がなっています
最初に立ち上げた人も元貴族と聞いています
私も、一応貴族出身ですがロードス王国の弱小貴族の男爵家です
国としても小さく男爵家の出身で女の身ですが、最年少でSランク冒険者になったのでギルド長になりました」
「リディーナさんは凄い人なんですね!」
話を聞いていたヒカリが驚きの声を上げてユイナとリリィも頷く。
シンヤは特に反応はなく静かに話を聞いていた
「女の身で年齢も若いので、裏から自分達の好きに操ろうとした思惑があっただけです
私を操ろうとした1人が【
元カイルド帝国侯爵家の人間ですが、問題ばかり起こして4・5年前に追放されています
裏の組織とも繋がりがあり元々冒険者としても活動していました。
3年ほど前にクランを立ち上げています。
裏の組織の力や追放されたと言え元侯爵家でもあり数年でSランクのクランを作り上げ無碍に出来ない存在になってます。」
「聞いてる限り危険な人物でクランですが、何も出来ないのですか?」
「私がギルド長になったのが1年ぐらい前なんです。
その頃にはAランク上位のクランだったのでどうにも出来なかった。」
悔しそうな表情になるリディーナ。そこで、今まで静かに聞いていたシンヤが
「もしかして、俺達にその話をしたのは力を貸して欲しいからですか?」
「気付きましたか? 正確にはゴブリンロードを単独で倒せるシンヤさんの力をお借りしたいのです。
勿論ただとは言いません。名ばかりのギルド長ですが、出来る事はさせてもらいます」
考えるシンヤ。皆の視線がシンヤに集まる
「少し考えさせて頂きたい。でも、前向きに考えさせてもらいます。
少し調べたい事もあるので、本日中には返答します。」
「本当ですか、ありがとうございます!
それで、大丈夫です。それで、調べ物とは何ですか?」
明るい顔になり喜ぶリディーナ
「スキル等の資料を調べたいのです。 その間に……昨日の報酬の計算が出来ると思うのですが良いですか?」
「はい、大丈夫です。資料は受付の横にあります。報酬の計算は昼前には終わらせます
昼頃に受付のエリナに声を掛けて下さい」
「分かりました。話は以上ですか?」
「はい、そうですね。では、返事をお待ちしています」
頷くと軽食のお礼を言ってユイナ達と部屋を出たシンヤ。受付までリディーナに送ってもらった。
リディーナはエリナと話している。
その間にシンヤ達は資料室に行った
「リディーナさんの力になる話を勝手に勧めて申し訳ないね」
「大丈夫です。色々、リディーナさんにして頂いてますから。」
「そうだね。余り力になれる事は無いけどね~」
「そうですね。では、シンヤさんが調べ物している間に私達は買い物に行ったら良いですか?」
力になる事に賛成な3人。
「そうだね。念の為大通りだけになるけど色々と見て回ったら良いと思う。
リリィさんにも今朝お金渡してるからそれで買うと良いよ」
「はい、ありがとうございます。大切に使わせてもらいます」
絡み男達を追い返した後、リリィに半ば強引にシルバーを渡していたシンヤ
そして、集合場所の話等をして買い物に行く3人と調べ物するシンヤに分かれたのだった
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