第30話 いきなり 女神が接触③
結衣が学者について教えて貰い、先ずはギルドで覚える事に決まった
今までの仕打ちもあってか、お腹の前で握りこぶしを作り気合いを入れている結衣
「頑張ります」
表情は変わらないが目に力が入っているのが分かる
「永原さんは良しとして城に残ってる彼女達のクラスメイトはどうするんだ?
助け出したとしても傷付けられた後だろうし、下手をしたら自我が壊れている可能性もある」
「えっ? そんなことは……あるのかな。やっぱり……」
靱平の話を聞いて暗い顔になる陽菜。結衣は俯く
「こほん……それについては考えてあります。
靱君に助けて貰った後は、靱君に分かる様に言うとディスター山の頂きに連れて来てもらいます」
「なるほど。そう言う事か……しかし、出来るのか?」
女神が真面目状態になり話した事を靱平は理解 出来たが、結衣と陽菜は首を捻る
「本来、神の関わりがない召喚や魂の転生をしたら元いた世界には帰れません。
ですが先程も言いましたが、今回は此方に責任があります。
なので、日本に送還を望む方は全員お帰り頂けます。記憶の消去と体はこの世界に来る前の状態にします」
「日本に帰れるんですか? でしたら、今帰る事は出来ないんでしょうか? (私は、お爺ちゃんもお婆ちゃんも亡くなってますが、お姉ちゃんが心配です)」
結衣の言葉に女神は悲しそうな表情になって
「そうしたいのは山々ですが、神はほぼ直接的に関与出来ません。
出来るのは、召喚や帰還です。
それも、場所が限られていて先程 言ったディスター山の頂上になるのです」
「そうなんですね。それで平木さんに救出して貰わないと駄目なんですね。
日本に帰れるだけ良しと考えないとね」
日本に帰れると分かり嬉しそうにする陽菜。結衣は表情は変わっていない。
考えていた靱平が
「関わりない召喚や帰還を神がすると制裁やペナルティーを負わされると言ってなかったか?」
「ふふ~ん、そこは大丈夫だよ~ 制裁やら何やかんやは、あのクソハゲに全て背負わす」
ハッキリとクソハゲと言った時の女神の顔を見た3人は“よっぽどその神に何かされたのかな?” などと考えていた
「救出は早めにした方が良いだろう。
城にいる奴らの生死を問わないで全滅させて良いならサクッと出来るが……それは冗談だ。
だから、そんな必死な顔で見てくるな。女神の立ち場があるのも分かるからな。
どうするか考えて早めに助け出すよ
だから落ち着こうか (協力者が出来たら動きやすいか?)」
「全滅?! ちょっ それは止めてよ。色々とあるからさ。頼んでる うちが言うのもあれだけど~
問答無用とかしないでよ、お願いだからさ、ね。」
本当に全滅させられる力があると分かってるからか、慌てだす女神。そして、宥める靱平
「(救出含め今の私では色々と足手まといです。
スキルを覚えて1つでも使える様にならないと……でも、魔王と戦うと言われても実際まだピンと来てないですね。私に出来るのでしょうか)」
「あ、その、何で呼び名が職業から素質にかわったんですか? 」
何故か陽菜まで慌ててわたわたしながら聞いてきた。
「あ~それ? 職業で呼んでた時は発現した職業しか出来ない、しちゃいけない! みたいな事になってたのよ~何故かね
それで、発現した職業以外もしたい! って言う意見が増えたりして素質って呼び方に変わったみたい」
「なるほど~ あれ? でも、呼び方変えても余り変わってない気がする……ような?」
首を傾ける陽菜にうんうん頷きながら
「そこは、深く考えないことしょ。
この世界の人達が納得してるなら良いって事だね~」
「なぁ、この部屋について聞きたいんだが。
何故、日本風の部屋にしたんだ?」
聞かれた女神は立ち上がり腰に手を当てて胸を張りどや顔で
「1度日本の部屋で話がしてみたかったんよ。
足でカーンと襖、開けてみたかったし。
それと、元いた世界に近い部屋なら皆が落ち着くかなって思ったの」
「炬燵に入れてホッとしたのはありますね~
お菓子も美味しですし……あれ? 夢の中なのに味は感じたっけ?」
「確かに、気持ちも落ち着いてきました。
夢であって夢でないのでしょうね」
女神は座り直して炬燵の中に入ると、ほべぇ~とした顔になり炬燵の上に顎をのせた
その姿はとても女神には見えないが
「女神と言ってもうちに出来ること少ないからさ~
これ位は良いっしょ? 他の子達も助けないとね
さて、あんまり時間もないから、話続けるよ~」
顔を上げて3人を見る女神。
それぞれ頷いて気になる事や、これからの事について話を可能な限りしたのだった
話の半分ぐらいは好きな服やお菓子の話などだったのは余談である
そして目覚めが近いのか少しずつ部屋の輪郭がぼやけていき、意識が遠のいて行くなか
「っと、危ない 危ない 忘れる所だった。
靱君、カイルド城の協力者が必要ならヴァリアント砦に居るアリュード第1皇子を頼ってね。」
薄れゆく意識の中で掛けられたこの言葉はハッキリと頭の中に残る靱平であった
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