第28話 いきなり 女神が接触①


 カイルド帝国城で鞭と飴の扱いをされていたとき



 ギルドの宿で睡眠を取っていた4人だが



「ここは? 私はギルドの宿で寝ていたはずですが。それに髪が黒色に戻っています。何故?」



「へぅ? 結衣ちゃん? 何で元に戻ってるの? それにここは畳に襖に炬燵? えっ、日本?」



「多分夢の中だろうね。2人が元の姿に戻ってるのと俺達の状態を考えて集められたんだろうな。夢の中を使って」



 靱平シンヤに声を掛けられ同時に振り向く結衣ユイナ陽菜ヒカリ

 そこは漆喰の壁に畳と真ん中に炬燵が置いてある日本風の部屋で

 


「シンヤさんまで居るんですね。これが、夢ですか? シンヤさんはここが何処か分かるのですか?」



「私も元に戻ってる?! 3人同じ夢を見るなんて……あれ? リリィさんがいない?」



「そろそろここに、呼んだ張本人が来るはずだ。リリィさんがいないのは、召喚された人ではないからだろうね」



 襖の奥から軽い足音が近付いて来たと思ったら勢いよく襖が開けられた

 表れた人物を見てあんぐりと口を開ける結衣ユイナ陽菜ヒカリだが靱平シンヤは頭を抱えていた


 表れたのは桃色髪で水色の瞳をした羽衣の様な服を来た女性……ギャル擬き女神が立っていた。

 右手に大きめの急須、左手はお盆を下から持ち、口にお菓子袋を咥えて右足で襖を開けていた



「ふぉへ~ん、ほぉふれひゃはひ〈ごめーん、遅れちったわ〉」


 今だ呆然と女神を見る2人に



「あ~こんなんだけど、一応俺を召喚した女神だ」


 

 なるべく女神を見ないで2人に簡単に説明する靱平シンヤ



「「ええぇぇぇぇぇぇぇえ?!」」



 同時に驚きの声を上げた2人。顔全てを使って驚く陽菜ヒカリと、口は開けてるが表情が変わらない結衣ユイナ



 女神は気にした様子はなく炬燵の上に急須などテキパキ置くと、炬燵に座るよう促した

 最初は戸惑う2人だったが、靱平シンヤがさっと座ったので空いてる所に座ると



「さーーせんしたーー!」



 3人の前でいきなり土下座をかました女神

 突然の事に立ち上がりおろおろする結衣ユイナ陽菜ヒカリ

 対照的に落ち着いている靱平シンヤ



「土下座はいいから先ずは説明してくれ。2人も落ち着いたら良いよ」



 頭を上げた女神は“そうだね”と言い慌てる2人に座ってもらい

 持って来たお茶やお菓子を慣れた手つきで用意して炬燵に座った



「いきなりゴメンね。ビックリした? 改めて女神のアルフィーナて言いまーす。

 今回は同僚のハゲチャ……神が手柄欲しさに本来許可しない召喚を許可しちゃたんだわ~

 それに貴女達が巻き込まれちゃたのよ~

 それで、罰を受けてるクソハ……神の代わりに私が来たのよ~

 んで、事情を話すのに貴女達に会わないといけないんだけどさ~

 1度召喚したら普通はなかなか接触出来ないの

 それで、夢を使ってこうして会った訳よ」


 

 陽菜ヒカリは目を白黒させながら話を聞いて、結衣ユイナは無表情で聞いていた


 女神は軽い感じで笑いながら話していたが、急に真面目な顔になって2人に向いて



「改めてこちらの不手際でご迷惑お掛けしました。申し訳ありません」



 土下座をした女神。



「頭を上げてください、女神様。

 女神様が悪い訳ではないのですから。

 確かに色々ありましたが、今は何とかなってます。なので、ありがとうございます」



「そうですね。結衣ユイナちゃんの言うとおりです。

 大変な目に会いましたけど、女神様のお陰で助かったんですから。

 それよりお城に残った皆はどうなってるか分かりますか?」



 頭を上げて困った顔になる女神。言うか言わないから悩んでいると



「かなり宜しくない状況か?」



「う~ん……そうなんだよね~」



 靱平シンヤに言われて苦笑いになる女神。



「そうだね……貴女達には、きつい内容だけど聞く権利はあると思うし~どうする?」



「「聞きます」」



 女神が2人に聞くとお互い顔を見合わせて同時に頷いた



「んっ オッケー じゃ話すけど、途中聞きたく無くなったら言うんよ」



 カイルド帝国城で起きた出来事を話す女神。

 顔が青くなったり強張ったりしていたが、最後まで話を聞けた2人



「では、まともに扱われている人は多立さん波瀬さんと男女ペアを組んだ2組だけなのですね。

 特に阿仁間さんは大丈夫でしょうか?」



「それでも、どうなるか分からないんだよね。あれ? 秋多君はどう捉えたら良いの?」



「彼の場合は、骨抜きにして何かするみたいだけどさ~

 女神でもそこまでは見えんのよね。

 ん~色々あんのよ、私達も。」


 

 3人で話して若干、蚊帳の外になっていた靱平シンヤ



「俺を召喚したのは彼等の救出か?」



「そだね~まぁ靱君を呼んだのは、それもあるけど別のお願いもあるんだよね~」



 女神の靱平シンヤの呼び方に違和感持った結衣ユイナ



「靱君ですか?」



「そだよ~ 平木 靱平で靱君」



「えっ? 平……木……靱平?」



 驚きの声を上げて靱平を見る結衣に釣られてみる陽菜。気まずそうに視線を逸らす靱平は



「ああ、君達に名乗った平井 信也は偽名なんだ。 

 言い訳になるけど、この女神にいきなり飛ばされて何があるか分からなかったからね

 何か引っ掛かっていて咄嗟に偽名を使ったんだ

 申し訳ない」


 2人に頭を下げる靱平



「全然、気にして無いので頭を上げて下さい。

 寧ろシン……平木さんには助けてもらってばかりなんですから。」



「そうですね~ 私や結衣ちゃんに色々と装備買ってもらってますし。

 それにお金ももらってますから、感謝しかないで

す」



 無表情で胸の前で手を左右に振る結衣に、うんうん笑いながら頷く陽菜



「でも、靱君の判断は間違ってないんだわ。

 さすがしょ、靱君」



「どう言う事だ?」



 女神の発言に一瞬顔が引き攣りそうになるが堪える


「この世界はさ~靱君達が倒した魔王の居た世界から千年以上後の世界なんだわ」



「……はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ?!」



 思わず立ち上がりこの世界時代に来て今まで一番大きな声を出す靱平であった



















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