第22話 ギルドに報告
シンヤが代わりの説明を終える頃リリィも復活していた
「ごめんなさい、落ち着きました。着いた早々ご迷惑お掛けしました。」
3人にそれぞれ頭を下げるリリィ
「いえ、此方が無理をさせてしまったからね。申し訳ない。それと、俺から説明したがリリィさんからもあるかな?」
「そんなことはありません。説明ありがとうございます……聞いてましたけど、特にはありません。
改めてよろしくお願いします。シンヤさん、ユイナさん、ヒカリさん」
再度、3人に頭を下げたリリィ
「リリィさんそんなに気を負う必要はないからね。ゆっくり生活に慣れたら良い」
「お父様のことお悔やみ申し上げます。リリィさん此方こそ一緒によろしくお願いします」
「リリィさんも大変だったんですね。これからお願いします。痛い所ありましたら、回復魔法かけますね」
「皆さんありがとうございます。痛い所はないので大丈夫ですヒカリさん」
(シンヤさんの早さは見たことがありません。ゴブリンロードを1人で倒せる筈です。それと、色々と変な疑いをしてしまいました。落ち着いたら謝らないとですね)
説明と挨拶が終わりテオドールに入るため門に向かいながら話をする4人。
「それでは、冒険者ギルドに行く前にシンヤさんのマントとリリィさんのローブを買うのですね?」
「その通り。この格好は、この辺では見ないから余り目立たないようにしないと。
リリィさんも、取り敢えずローブがあった方が良いからね。それと、報告は他の冒険者が居ない時の方が良いだろう」
(この格好が疑われた要因の1つだと思うし。報告は落ち着いてしたいな……)
門に着く頃には、夜になっていた。辺りは防壁に
中に入るために並んでいる冒険者の最後尾に立つ4人
「あの……本当に良いんですか? 今の、私は身分を証明出来るものないですよ。
中に入るのに1000S掛かるので、テント貸して貰えたら野宿します」
「いや、流石にそう言う訳にはいかないよ。
それに、ギルド報告で証言して貰うことになるしね。1000Sは気にしなくて良いよ」
ユイナとヒカリもうんうん頷きながら
「お金を出すのはシンヤさんですから。
シンヤさんが良いと言われてるので大丈夫と思います」
「ギルド報告もしてもらうんですよね? なら良いと思います~」
お金の話をしている間にシンヤ達の番になった。
並んでいるのは冒険者しか居ないので、昼間より早く門に着いた
「こんばんは、お疲れ様です。あれ? 其方の女性は誰ですか?」
「こんばんは、お疲れ様です。途中で保護した女性です。至急ギルドに報告する必要があります。彼女は今、身分を証明出来る物がないので1000S払います」
言いながら1000S入った麻袋を出すシンヤ
最初笑顔で挨拶してきた門衛も、シンヤの只ならぬ雰囲気を感じ真顔になり頷く。
麻袋を受け取り
「流石、ちょうどですね。名前を教えて頂けますか?」
「リリィと言います」
「リリィさん……っと、出来ました。急ぎの様ですので、後の説明はシンヤさんお願いできますか?」
木札を受け取り頷くシンヤ。木札をリリィに渡しながら
「リリィさん、事前に説明した通りお願いね。
門衛さんありがとうございます」
「いえ、これも仕事です。それと俺はフィッシュ っと言います。今後は、名前で呼んで下さい」
笑顔になり言うフィッシュに“分かりました”と軽く会釈するシンヤ。
続いて普通に頭を下げるユイナ達はフィッシュに見送られながら中に入って行った
ギルドに行くため、バルボッサ商会には入らないシンヤ。
大通りに並んでいる冒険者向け屋台で、マントとローブを購入して羽織るシンヤ
「これで、少しは目立たなく為ったな」
(昼間、気絶させた冒険者の事もあるしな。流石に気配はなくなってるな)
「はい、これで目立ちませんね。ありがとうございます」
「うん、では行こうか」
ギルドに到着した4人。ギルドを前に若干緊張した面持ちのリリィ
「大丈夫だよリリィさん。落ち着いて行こう、聞かれた事について答えれば良いだけだからね」
(ジェイドも言ってたしな)
少し緊張が取れたリリィは静かに頷いた。シンヤは扉を開けて中に入って行った
中に入ると、1階はギルド職員以外の姿は見えなかった。2階から、大きな話し声に笑い声が聞こえてくる
シンヤは辺りを見回すと受付にエリナの姿を見つけて近付いた
シンヤ達の姿に気付いたエリナは、営業スマイルになるがリリィを見て首を傾げる
「お帰りなさい。遅くまでされてたんですね。所で、其方の女性は誰ですか?」
「彼女はリリィさん。ここでは話せないので、場所を変えて話せませんか?」
シンヤに紹介され頭を下げるリリィ。同じく頭を下げたエリナは少し考えて
「わかりました。では、此方へどうぞ」
受付の奥に案内するエリナ。少し進んだ所に〔小会議室〕のプレートがついてる部屋に入った
エリナから座るよう勧められてそれぞれ座る4人
エリナはシンヤの対面に座り
「では、お話しを聞かせて頂けますか」
「はい、リリィさんはゴブリンの巣から助け出した人です。
そこに居たゴブリンロード1体とゴブリンキング1体にゴブリンジェネラル2体の討伐をしました。
それと、ロードに従うゴブリン50体ほど討ち取ってます」
笑顔のまま固まるエリナ。瞬きすらせずに固まっていると、ユイナとヒカリは顔を見合わせて首を捻る
「……えっ? えっと……ゴブリンロードの討伐ですか? 3人にで?」
「いえ、違います」
シンヤの発現に困惑していた表情から、ホッとした顔になるエリナ
「あ……あぁ、ですよね~もう、そんな冗談はいいので本題お願いします」
「3人にではなく1人で倒しました」
「……はっ?……いぇ、ですからそんな冗談はいいので早く本だ……ぶぇ?」
話していては埒が明かないと思ったシンヤ。
エリナの話の途中だったが、ロード達の頭とゴブリン達の討伐証明を机の上に置いた
すると、変な声を出し変な効果音を鳴らして固まるエリナ
全く動かなくなってしまったエリナ。呼吸してるのか分からない位に固まっている。
流石に心配になったシンヤは声を掛けようとして
「うぇええええええええええええ?! ちょっ なっほげぇぇぇぇぇぇい?! まっまっまっまっ待ってくだしゃい!」
出してはいけない声と雄叫びをあげ、乱暴にロードとキングの頭を摑むエリナ。
シンヤが話しかける前に扉を蹴り飛ばす勢いで開け部屋を出てすぐに
「ギィィィィィィルゥゥゥゥドォォォォォちょょょょょょうぅぅぅたすゅけてぇぇぇぇぇ!!」
ロードとキングの首を振り回しながら、ギルド長へ助けを求めに走ったエリナ
エリナの後を呆気にとられて見る4人
「……えっ? そんな大した相手ではないはず……だよね?」
(そして、何故に、助けて?)
横に座っているリリィに聞くシンヤ
「……大した事無い相手と思えるのは、シンヤさん位だと思いますよ。
エルマさんの話では、モンスターランクで言うと、ゴブリンキングはAランクでロードはSランクだそうです」
「……えぇぇぇぇぇ?!」
こんどはシンヤが驚きの声を上げたのだった
余談だが、夜中にゴブリンの生首を持って走り回る受付嬢の姿をした霊を見たか見なかったのかは、別の話です。
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