第21話 合流
ゴブリンの巣から外に出たシンヤとリリィ。外に居る警護隊員に話は伝わっていて、挨拶だけ交わして作業に戻っていく
2人も挨拶だけしてその場を離れ、シンヤについて森の中に行くリリィ。
森の中を進みながらこれからについて話す2人
「それではシンヤさん、お弟子さんの方と合流したらギルドに報告。その後は、暫くの間行動を共にしていいのですね?」
「はい、大丈夫です。ただ、今までの流れを見てロード討伐の報告が、すんなり行くと思えなくてね
恐らく時間が掛かると思うから、申し訳ないけど……そろそろ2人が見えてくるよ (多分、ギルドでも驚かれるだろうな。それと、今の所は付けられてないから2人の姿を見せて大丈夫だろう)」
シンヤに言われて辺りを見回すリリィ。人の姿が見えなくて首を傾げている。
その姿に、少しおかしそうに笑い何もない空間に歩いて行った
少し時が戻りシンヤがゴブリン討伐をした頃、
ひたすらコツコツと薬草採取をして居る2人。横並びになって採取していると
「薬草って、あちこち沢山生えてると思ったけどないね」
「そうですね。1カ所に固まって生えてるので、採取したら違う場所に行かないといけませんね」
シンヤのアドバイス通り早く綺麗に器用(?)に頑張って採取する2人。
勿論周りの確認も、怠らずにしていた。
ヒカリは薬草をマジック袋に入れ、ふと横を見ると考え事をして動きを止めているユイナに気付いて
「ユイナちゃん? 如何したの」
「あっその……今日の事を思い返してました。
朝が明ける前から実地訓練に行って色々襲われ逃げてシンヤさんに出会って助けられましたね。
そこから冒険者になって……色々あってバタバタだったなと考えてました」
表情は無表情のままだが、しんみりとした表情に見えるユイナ
「そう……だよね。よく考えたら凄い運がよかったよね。それにシンヤさんが言うには、実地訓練していた皆も魔物に襲われて撤退した動きを気配で感じて見たって言ってたから……気配を見るってどうやるの?」
「今の私達には出来ませんね。私達はシンヤさんに助けられましたが、お城に残った皆さんは、大丈夫でしょうか?
あの騎士が言っていた事が本当なら、酷い目にあわされる人も出てきます。
今の私には如何することも出来ませんが……」
「そこは……ユイナちゃんだけでなく、私もどうにも出来ないよね。
何事もないことを願うしか……あっシンヤさん戻って来た……誰か一緒にいるよ?」
ヒカリが戻って来たことに気付いて、ユイナも其方に向くと見知らぬ女性が一緒に来ていた
シンヤだけで無かったので、ローブを外して良いのか悩む2人に
「ユイナさんにヒカリさん。此方の女性はこれから暫く一緒に生活する人になるんだ。
大丈夫なので、出て来て貰って良いかな」
「シンヤさん? 一体何を……えっ?」
シンヤが声を掛けると目の前の空間から
「リリィさん、此方の2人が先ほど話した冒険者の弟子です。
ユイナさん、ヒカリさんこの女性はリリィさん。
ゴブリンの巣から助けたんだ。訳あって暫く一緒に行動する事になった。」
「初めましてユイナと言います。
シンヤさんの弟子で冒険者について教えて貰っています。
リリィさんこれからよろしくお願いします」
「分かりました、よろしくお願いしますリリィさん。
ヒカリです。シンヤさんの弟子をしています」
3人で事前に話し、決めていた説明を元に2人は自己紹介をした。
「初めましてリリィと言います。ユイナさん、ヒカリさん暫くの間よろしくお願いします」
「2人とも詳しい説明は後でも良いかな?
大分、日も傾いて来たから早くランドールに戻りたいんだ。
来た時と同じ方法で戻るよ」
同時に頷き帰り支度をする2人。
隠密ローブをシンヤに返して用意が出来ると、両脇に2人を抱えるシンヤ
「あの……何故、帰るのに2人を抱えているのですか?」
聞いてきたリリィから、不審な者を見る気配を感じたシンヤ
「ここから、帰るテオドールは距離があるから本気で走るんだ。
ただ、2人は俺の速さについて来れないから抱えているんだよ。
ここらで、野宿をするのは危険だしね。出来たらリリィさんは、背中に乗って貰いたいんだよね」
更に、不審な者を見る気配がリリィから高まるが
「あの、リリィさん。シンヤさんが言っているのは本当のことです。
私達には出せない速さで走るので、あっという間に帰れます」
「ユイナちゃんの言う通りです。
ただ早過ぎるので、口閉じてないと舌嚙みますし、しっかり掴まらないと振り落とされます」
ユイナとヒカリの2人からも言われて
「……分かりました。確かに、早く離れたいですから。では、失礼します……うんしょ……良いですよ (変な事はしないで下さい)」
シンヤの背中に乗り耳元で、変な事はしないよう小声で言うリリィ
「ヒカリさんも言ってたけど、口は閉じてしっかり掴まっていてね。では、行くよ」
本気のスピードを出して駆けだしたシンヤ。
ユイナとヒカリは1度体験しているので、目を瞑り、食いしばる様に口を閉じて、掴める所をしっかり摑んでいる。一方リリィは
「(ヒ、ヒョイィィィィィ?! はや早過ぎるぅぅ~ め、め、目が痛いぃぃ~開けれないよぉぉ~ しっかり掴まってないと落とされるぅぅ~ 早く着いてぇぇ!)」
目を瞑り、がっしり引っ付いて早く着けと祈っている。
シンヤは周りの気配を探りながら走っていた。
他の冒険者が居なくてテオドールに近い、森の入り口付近で3人を下ろした
「ゼェ……ハァ……その……シンヤさん……疑って……ました……ごめんなさい……早くつけて……良かった……おふぅ」
息を切らして、目がぐるぐるで、ふらふらに為りながら謝るも立てなくて地面に座ったリリィに
「あーその、此方こそごめんなさい。ユイナさんとヒカリさんは、一瞬ふらっとなったが何ともなかったからね。
同じと思い走ってしまった。本当に申し訳ない」
申し訳無さそうな顔をして謝るシンヤの横で、苦笑いする2人
「(こうして見ると、召喚の影響か身体能力は上がってますね。では、何故スキルが何一つ身につかないんでしょうか)」
「アハハッ。 私も結構スピードはきつかったですよ。あの早さは凄いですもんね」
そしてリリィが息を整える間、代わりにシンヤが2人に説明するのだった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます