第9話 違いとは……


 首を傾げている結衣を見ると、ローブの隙間から手が震えているのが見えた信也



「いいか永原さん。そんな事は考えない 自分を大事に これ大事 で、考えて動いてほしい」


「おおー何かのスローガンみたいですね。確かに、結衣ちゃん 自分を大事に で行こう……でも、平井さん。私達に、気を掛けてくれるのは何でですか?」



 話を聞いて2人のやりとりを見て、少し落ち着いたのか手の震えが止まり緊張していた雰囲気が和らいだ結衣



「永原さんには話したが、俺は1回召喚されて日本に帰るはず、がここに召喚されたんだ。召喚したのは、君達みたいに人ではなく女神なんだけどね。気を掛けるのは、今回の召喚に関係ありそうなんだ (そう言う理由があれば安心できるかも知れない。)」



「ほ~ぇ? め、女神? 女神様ぁ?! じょ、じゃあ、私達もお願いしたら女神様に帰れますか?!」



「女神の召喚……平井さん、実は凄い人でしょうか?」



「うん、橘さん一旦落ち着こうか。言葉遣いが若干おかしくなってる。召喚された人が違うから、それは分からないかな? でも、無いとは言えないね。それと、俺は凄くはないよ。鍛えて身に付けただけだからね」



 女神と日本に帰る発言で、結衣以上に驚いて前のめりになる陽菜。



「残念。でも、皇女さんより日本に帰れる可能性はあるはず……うん、あって欲しいな。」



「そうですか。あの、私達と平井さんが召喚されたのはどう関係があるのでしょうか?」



「そうだね、帰還は共に行動してたらあるかもな。関係は俺の憶測だけど、今回の勇者召喚は、魔王に対抗するものではなく、余所の国……例えば敵対している国と戦争させる為にしたものと思う」



 戦争と言う言葉が出て来て驚きで固まる2人。魔王との戦いも、1種の戦争だがそこまで、気付いてない2人



「何故、平井さんはそう思うのですか?」



「そうだよね。魔王と戦う為に、21人も召喚したんだから」



「それは違う……余りこう言うのは、君達に言いたくないが、基礎の力や素質など必要な能力は召喚の時に人数が増えると下がってしまい、人数を絞ると能力は上がるんだよ」


 

「えーと、それは……どゆこと? 結衣ちゃん分かる?」



「……召喚人数が増えると、弱くなる、と言うことでしょうか?」



 全く理解出来ない陽菜と、何となくこうかなと、理解しようとする結衣



「そうだな……勇者を召喚して例えばランクがA~Fあるとしよう。

 で、仮に100人召喚したら人数は多いけど、その分個々の力はランクFの弱い人しか召喚出来ない。

 逆に1~2人ならランクAの強い人が召喚出来る。と言った所かな」



「なるほど、私達は人数多いからそこまで、強くないと……確かに私、回復魔法(小)と補助魔法(弱)しか使えないよ~」



「でも、この国の皇女や周りの人はスキルが最初から3つも付いてると驚いてましたよ? (……私、スキルすらない)」



 信也の説明で理解した2人。結衣は疑問に思った事を聞く



「この世界は、元々最初からスキルがない人が多いんだと思う。それか、1つぐらいとか? 後から身に付けたりは、出来るんだろうね……自慢ではないけど、俺達は4人召喚されて、それぞれ最初からスキルは15位は付いてたね。お互い被るスキルもあったけど」



「ぬぇ?! じゅ じゅ じゅ 15?! えぇぇ! そんなに?!」



「……スキル15 皆の中で数が多い3人の5倍 

 それは、召喚人数による違いですか? 女神様の召喚だからでしょうか?」



 スキルの数に仰け反って驚く陽菜。結衣は表情は余り変わらないが、驚いていた。気になる所を聞く



「女神は余り関係ないと思う。それぞれが、世界中の格闘技を身に付けてる奴・色々な知識を持ちあらゆる事を器用に熟せる奴・卓越したサバイバル技術を持ち並外れた精神力があった奴に、俺は一応実家が剣術家で、本当の刀や槍など武器に武術を扱えたからね」



「そうなんですね。分かりました。私達、クラスメイトは私も含め、そんなに卓越したものを身に付けてなさそうですから。」



「世界格闘技に家が剣術家?はよく分からないですけど、元々刀や武器が扱えるなどなど。聞いてると、違いが分かります」



 うんうん頷いて納得する2人。



「納得出来たかな? まだ、色々と話したい事もあると思うけどこの場を離れよう。探しに来られたら面倒だ (まぁ感じた気配では、強い魔物? に恐らく拠点襲撃されて撤退したみたいだけど) 

 あと、その姿は、城の人間にはばれてるから、変装しよう」



「離れること変装には賛成です。でも、変装はどうやってしましょうか? 髪を切るとか?」



「確かに、木の杖は無くなりましたけど、暫く持っていたからばれてる可能性ありますよね。

 変装……もしかして変装出来るスキルをお持ちとか?!」



 それぞれ変装について、意見を言うのを聞きながら、アイテムボックスの入り口を出して手を入れる信也


「えぇ?! 手が消えたぁ?! 」



「これは、アイテムボックスって言ってまぁ専用スキルかな (先程の話の流れで女神から貰ったと言いにくい)

 変装には、この変装リングをつけて貰うよ。指につけると、性別は変わらないが、髪型・髪の色・目と眉毛の色・顔の形が変わるんだ。

 利き手じゃない方の中指に嵌めてね

 (まさか、勇助と幼馴染みが魔王討伐旅の途中でするお忍びデートの為に、マルティが作った物がここで役立つとはな。何が役立つか分からないな)」



「それは、便利な物がありますね。ありがとうございます」



 アイテムボックスについては誤魔化す信也。指輪を受け取った2人は、左手の中指に指輪を嵌めた

 すると、結衣の髪と眉毛と瞳は全て赤色に、髪の長さは腰の上ぐらいあったのが、肩までの長さになる。顔の大きさは、小顔だったのが、少し丸顔になり目つきがややきつくなる

 陽菜は、髪と眉毛が緑色に瞳が青色ななり、髪は腰にかかる位まで長くなる。顔はやや丸顔がすっきりした顔になった。眼鏡も少し大きくなっている



「おお、結衣ちゃん変わったね。何処かの悪役令嬢みたい……表現が嫌だったらゴメンね」



「私は別に構いません。陽菜さんは眼鏡が無かったら深窓の令嬢でしょうか?」



 お互いの感想を言う2人。陽菜は“眼鏡が無かったら深淵の令嬢”と言われて、思わず転けそうになった



「2人とも上手くいったね。これからの事は歩きながら話をしょう」



 同時に頷いて信也を先頭に歩き出した


















 

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