第16.5話 《四頂点》領土職人アスドラ

 ----『領土』、『人民』、『統治権』。

 これは国家として成り立つために必要な三要素であり、この3つの要素を満たすモノが国家、すなわち国だと言える。


 ザックリと言えば、猫の額ほどの土地であろうとも土地そこを『領土』。

 そこに住まうだけのたった1人だけの自分を『人民』。

 そして自らを王様だと言い張って『統治権』だと言いきれば、それだけで国家として成立する。


 狭くて足も動かせないほどの小さな土地に住まう、自ら王様を名乗る馬鹿者あほうが居るだけ。

 しかし、それでも立派な『国』なのである。



 魔王カラミティーは、この3つの要素では、魔王が治める国家、つまりは魔王国は作れないと判断した。

 カラミティー曰く、魔王国に必要な要素は、"4つ"。




 ----『領土』。

 身体の大きさ、住むのに適した環境が違う多種多様な魔物や魔人を満足させるための、領土りょういき


 ----『食糧』。

 魔物や魔人の食生活は肉食や草食といった簡単な区分ではできず、"死体から生えるキノコ"だけを食べるモノやら、"高純度な魔力"しか食べられないモノまでいるため、それらを全て満足させる、食糧たべもの


 ----『宗教』。

 価値観が違う魔物や魔人たちに対して、魔王を頂点トップとして命令を下すための、宗教ルール


 ----『戦争』。

 生存欲求として争いを欲する魔物や魔人たちのために、ストレス解消と戦闘力強化のための、戦争あらそい




 『領土』、『食糧』、『宗教』、『戦争』。

 この4つの要素を、高い水準で生み出してこそ、魔王国たりえると魔王カラミティーは考え、この4つの要素に優れた者達を【四頂点】と呼ばれる最高幹部に起用した。


 『宗教』と『戦争』は魔王カラミティーの推薦によってすぐに決まり、『食糧』もまた非常に稀有な魔法を有する魔人がいたためにすんなりと決まった。


 難航したのは、『領土』担当。

 なにせ、この最高幹部が一番成りやすいからだ。


 ただそこに居る土地を空っぽにする、つまりは先住の者達を鏖殺みなごろしにすれば良いだけ。

 変な技術テクも必要なく、魔王が『領土』担当の最高幹部に求めるは、ただただ必要なのは圧倒的な戦力のみ。


 魔物や魔人は自身の武力に自信を持つ者が多く、最高幹部の地位を得ようとすべく、多くの力ある魔物や魔人が名乗りを上げた。



 そんな中、見事、『領土』担当の最高幹部に抜擢された者こそ、アスドラという"クロウモール"の魔人であった。


 クロウモールは強い魔人などでは全くなく、寂れた廃鉱山を住処としている、弱小といって良い種族であった。

 種族の名前にもある鉄の爪を使って、地面や壁を掘り進めたりしてるだけの弱小魔人の種族。


 アスドラは、そんな三頭身ばかりのクロウモールの中でも、生まれつき八頭身という異常個体。

 そして、"星属性"と呼ばれる特殊な魔法属性を持っていた。


 空から隕石を呼び寄せて落とす星属性の魔法を使うアスドラは、たった一発の魔法にて大陸一つを更地に変えて、魔王に謙譲してみせた。


 その献身ぶりに魔王は応え、アスドラに『領土職人』という肩書きを与えた。

 その忠心ぶりに魔王は褒め、アスドラに"サングラス"と"歯車がプリントされた執事服"を与えたのであった。




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 《四頂点》 領土職人アスドラ

 肩書き:大陸一つを更地に変えた領土担当、魔王軍最高幹部


 魔王軍の最高幹部たる《四頂点》の一角で、魔王軍のために更地となった領土を謙譲する『領土職人』。クロウモールと呼ばれる、鉄爪を持つモグラ系統の魔人ではあるが、三頭身が基本の種族なのにも関わらず、八頭身の身体を持つ

 最高幹部にしてくれた魔王を崇拝しており、魔王様に仇なす者は全員魔法にて滅ぼし、魔王様のために世界中全ての土地を献上しようと考えている魔王ガチ勢

 星属性と呼ばれる特殊な魔法を有しており、空から巨大なる隕石を落とすなどの魔法を使う。その魔法を使って大陸を更地に変え、魔王軍の最高幹部たる《四頂点》となった

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