四章 先斗町、あるいは酒に溺れる夜

「何て書いてあります?」

「……ちょうどいいわ、これ」

 烏丸御池駅から再び三条駅まで戻っている間の地下鉄東西線の車内。空席が目立つ、ぽっかりと空いた狭間の時間帯。

 あの飄々とした巫女さんが夕方になったら開けと言っていた封筒には、宵の口に先斗町公園に向かうと吉、と書いてあった。

『方がく:北東 先斗町公園に行くといいですよ。待ち人は来ずでしたが、自分から向かう分には会えますよって』

 へちゃむくれな女の子の絵と共に、そんな一言が添えられている。

「でも別に私、待ってる人なんていないわ。外れてるんじゃないのこれ?」

 ミーナが文句を言いながら紙をひっくり返すと『そんな事ありません。待ち人というのはお姉さんが会いたくて待ってる人だけではないですよって。これから出会うべき人も待ち人として占えますので』と書いてあった。

「考え読まれてますね」

「なんなのあの巫女さん……」

「まぁこの場所は確かにちょうどいいですよ」

 ちょうど少し早くお酒でも飲もうという話になっていたのだ。知恩院に行く前に見かけた鴨川の川床に行く、とミーナは固い決意表明をルディに先ほど宣言していた。これを妨害しようものならルディの血を吸いつくす覚悟との事。

 一方で先斗町公園はその川床擁する先斗町通の真ん中に位置する公園だ。お店を物色するついでに公園にも寄ることが出来るので、一つ石を投げれば二羽の鳥を落とす事が出来る。

「ルディ、こっちこっち」

 東西線を降りるや否やミーナは三条大橋を小走りで渡り始める。初めて降りる三条駅でも対岸に伸びる提灯の群れを見れば、一目でどちらが川床かわかった。方向音痴過ぎてデパートで迷子のお知らせのお世話になるミーナでも、さすがにわかるようだ。

 提灯の群れは、まだ茜色に染まりかけたばかりの空へ「夜はまだか」と急かすように鴨川をちろちろと照らしている。

「もうぽつぽつやってそうですねぇ」

 橋を渡り切ってから南に少し下り、初めの角を右に曲がるとタバコ屋が右手に見えて来る。そのタバコ屋の正面からが先斗町通だった。

 一番手前に見える歌舞練場はコンクリート造りに寄木の様な装飾が要所に施されて、何処かレトロな雰囲気を醸し出している。

 時刻はまだ五時前だが明かりが灯り始めていて、薄暗くなりかけた路地を浮かび上がらせていた。先斗町通り起床の時間。

 十七時から営業を始める店が多いせいか、もうお店の前で並んでいる人もちらほらいる。不思議と料理の匂いは通りにはあまり漂って来ない。これだけお店が多ければ煙の一つでも香ってきそうなものだが、映画の舞台セットの中を歩いているかの様に、食べ物の匂いも”それっぽいにおい”もして来ない。もしかしたら扉の向こうは別の世界になっているのではないかしらん。京都なら十分あり得ることだ。

「すみませ~ん」

「ちょっと何やってんですか! まだ開いてませんって!」

 準備中という札が掛かっているお店にミーナがそのまま入って行こうとするので、慌てて首根っこを掴んだ。一体一日に何回首根っこ掴ませる気なのだろうか。

「何よ」

 こっちが何よですよ、とげとげしい。

「営業時間書いてあるの見えないんですか!」

「中を覗くだけだってば。その時にお店の人に色々聞けるわ。予約出来るのかとか、川床は何席くらいあるのかとか」

「開店直前の忙しい時に聞く事無いでしょう」

 川床は逃げませんよ、とミーナの背中を押して尚も道を往く。今の暇な時間を使って先斗町公園に行けばちょうどいいだろう。

 二人が横に並ぶと道をいっぱいに占領してしまうような細い路地なので、すれ違う時も少し気を遣う。横に太めのおじさまとすれ違う時にミーナがピンボールの様に弾き飛ばされていた。

 しばらく歩いていると両側から来るお店の圧迫感が不意に消える。

 ちょうど三条と四条の真ん中あたりだろうか。お店の並びがふと途切れ、空が広がった。

 左手に見えて来たのは散歩くらいしか出来そうにない小さめの広場と、おちょこをひっくり返したような形をした小さな山。その山に備え付けられた滑り台。高さ三メートル程のその山が、先斗町公園のシンボルだ。

 ここが先斗町公園ですか。待ち人は来ずですが、僕たちから向かう分には、誰かがいるらしいのですが――。

「…………」

 ルディは見なかった事にしたかった。いや、見間違いに決まっている。

 隣をチラリと見やると、ミーナがルディのシャツをこれでもかと引っ張って、少し震えていた。

 ルディの願い虚しく、どうやら見間違いではないらしい。

 目を擦り切れるほど擦った後、もう一度先斗町公園の山を見てみる。

 山の上で両手を掲げている老人がやっぱり見えた。

 やだなぁ。

「何あれ……」

「さぁ……」

 先斗町公園には他に誰もいなかった。天に向かって両手を広げる老人が居れば、他の人たちも公園へ入りにくくなるのは当たり前かもしれない。

「……帰っていいかしら」

「そうしましょうか……」

 そう言いつつ、足はなかなか動かない。

 あの巫女さんが占った結果なのだから、ここにルディたちの本当の待ち人がいるはず。あの老人以外で。そう思うとなかなか未練が捨てきれない。

 残念な事に、その人物は一向に現れなかった。公園の方を見やってすぐに視線を逸らしながら歩き去る人ばかり。

 時折立ち止まる人もいたが、隠れるように写真を撮るに留まり、やはり中に入る人は現れなかった。後でSNSを調べたら、今の光景が誰かによってアップロードされているかもしれない。

 ざっと百人ほど道行く人を見送ったところで、諦めてお店に入る事にした。

「ああ、くそう! そろそろ下ろしたいちくしょうめ!」

 立ち去る寸前、老人の割と大きめの悪態が聞こえました。

「いや、下ろしなさいよ!」

 脊髄反射的にミーナが反応してしまったのは、仕方が無い事だろう。

 その声に反応してぐりん、とこちらを向いた老人が、勢いよく山を駆け下りてこっちへ向かって来た。

「どうして!? 何でこっち来るの!?」

「わ、わかりません。とにかくミーナ逃げてください!」

 ルディがミーナに叫んで、再び老人の方を見た時、その老人はもうすぐそこまで迫ってきていた。

「きゃあああああああ!」

 ミーナが叫び声と共に、老人の鳩尾に正拳を突き刺す。

 ぐふっ、という呻き声と共に老人が崩れ落ちる。死んだかもしれない。

「ど、どうしよう……。思わず……」

「なかなかいいパンチじゃ」

 親指をグッと立てた老人は震えながら笑う。ただひたすら怖い。

 取り敢えず肩を貸して山の麓に座らせて命に別状は無いか観察してみる事にした。都市伝説系の化け物かと思いきや、よく見ると普通の老人だ。人間だ。たぶん。

 老人は呼吸が整ってくると、ふっと笑ってルディたちに向かって親指を立てて笑う。何もグッドではない。

「川の向こうに婆さんが見えたわ……。鴨川と間違えて渡るところじゃった」

「ご、ごめんってば。だってあんな勢いで走って来るから……」

 遠野と名乗ったその老人は、謝るミーナに「いつもの事じゃ」と呟いた。

「こんな事を聞くとアレなんじゃが、二人は神様かのう?」

 その言葉を聞いたミーナは両手で自分のほっぺたをこね始める。

「どうしよう。パンチ思ったより効いてたみたい」

「お腹を殴ったのに脳みそにダメージ行くって、どんなパンチ力ですか」

「わかんない。さっきのA型が残ってたのかも……」

 ひそひそと話しながら遠野の方を伺うと、彼は少し落胆の色を浮かべていた。落ち着きを取り戻しているし、目の焦点もあっている。どうやら彼は神様を本当に待っていたらしく、馬鹿なのかもしれない。

「ほうか……。よし、え~……ここには何しに来たんじゃ? こっちに住んどるんか? 観光か?」

 何やら期待に沿えていないようだが、神様になる事はどうやったって出来ない。

「観光ですよ。普通の京都旅行です」

「今日はお寺とか神社とか見たわ」

「う~む……いよいよ普通の人じゃな。若干嬢ちゃんがアホっぽいだけじゃ」

「今アホって言ったかしら?」

「何か無いのかのう、他の人と違うところ」

「遠野さんが何を期待しているのか知りませんが、ミーナは吸血鬼ですよ」

「ほう、吸血鬼!」

 遠野の顔が少し明るくなり、そしてすぐに頭を抱えた。何かを悩んでいる様で、唸り声を上げている。出会ってからずっと怖いしうるさいし動きが変態的である。

「セーフじゃ!」

「いや、何がよ」

「ギリギリじゃな。よし、今からわしがガイドしてやる!」

「あ、結構です」

 遠野が手を差し出して来るのでルディは丁重に断った。

 山の斜面を駆け下りた挙句、神様がどうこう呟いて、その後初対面の相手に神様ではなくてもセーフなどと謎の慰めをしつつ、理由も何も言わずにガイドを引き受ける。怪しさを片っ端から鍋に詰め込んで煮詰めたような老人だ。しかもその奇行の前に遠野は山の上で両手を天に掲げるという奇行に走っている。奇行に奇行を塗り重ねてもはや奇行の擬人化だ。どう考えてもこれ以上関わらない方がいい。

「私達は忙しいのよ。これから川床に行かなきゃいけないもの」

 ルディとミーナはひらひらと手を振ってそれを遠野への別れの挨拶とした。

 いくら伏見の巫女さんがこの老人が待ち人だと言い張ろうと、シンプルに信じたくない。こんな待ち人は待たない方がいい。

「川床か……。いい店知ってるんだがの。接客もいいし料理も美味いところ」

 遠野の呟きにミーナの動きがピタリと止まった。

 いけませんミーナ、とルディは囁く。

 この吸血鬼、良い居酒屋に目が無いのだ。

「そりゃあ先斗町の店は何処に入ってもまず外れはないじゃろう。しかしわしが思わず何度も行ってしまう店というのがあってのう。いやぁそこで飲む酒は美味いんじゃが」

 ミーナがゆっくりと振り返り、遠野の顔を見つめ始める。その瞳は妖しく爛々と光っていた。

「ミーナ……ちょっとミーナ!」

 ルディの声は右から左に通り抜けてしまっているようだ。

「貯めてる金の使い道の無いからのう。奢ってやろうとも考えていたんじゃが」

「おごり……」

 奢りですか。

 ルディの耳もピクリと動いた。

 いや、別にお金に困っているわけではありませんよ。でもこのお金があれば明日もっと好きな事が出来ますし、それにミーナのお土産だっていっぱい買ってあげられますよね。

「その店はこっちにあるんじゃがの。もう五時だから開いてるじゃろ。そこの店の突き出しが煮物と卯の花なんじゃがそれも絶品でのう。日本酒も美味いのを安く出すんじゃ」

 遠野は喋りながらルディたちとは反対の方向へと進んでいく。どうしようと悩んでいたのが最後の記憶。気付けばルディたちは遠野に連れられてお店に入っていた。

 ハーメルンの笛の音はこんな感じだったのだろうか。

 いやはや、不思議なものである。


        ☆


 川の対岸ではビルの屋上で提灯が揺れている。

 その光が水面に反射し揺れていて、心地よい連鎖に日本の夏の夜は何といじらしく綺麗なのだろうと思い耽る。

 それはさておき、異常事態。

 それはミーナと遠野が飲む酒の量、料理の美味しさ、そして遠野の顔の広さ、すべてにおいて当てはまった。

 川床の下を流れる水が暑い京都の空気を混ぜる中、流し込むように飲むビールは細胞に染み渡るように格別だし、卯の花をはじめとした副菜的肴と天ぷらや刺身を盛りつけた主菜的肴のコンビネーションを楽しみながら舐める日本酒は一滴一滴が濃厚でいて芳醇。神のしずくと言って良い。ルディがそんな感じの感想を述べるとミーナから「何言ってるの?」と返ってきた。

 遠野はそういった酒をよく知っていて、入る店入る店で絶妙な日本酒と肴を選んではルディたちの口に押し込む。遠野自身が迷った時も問題は無い。何せ遠野が隣の人間に話し掛けると大抵その人がベストな料理を教えてくれるのだから。どの店でも遠野の隣には彼の知り合いが座っていた。というよりも観光客を除いた人間はすべて遠野の知り合いだった。

 何故宴会を開いている大学生の全員が遠野の事を知っているのだろうか。何故店の人間から帰れと言われつつサービス品が出て来るのだろうか。

「嬢ちゃんこれ! この天ぷらが上手いんじゃよ」

「何よ、今私鴨食べてるんだけど。鴨川で鴨のローストを食べる以上に洒落の利いてる事なんてないで……美味し! なにこれ!」

 夜の帳はすっかり降りましたが、三鬼夜行の夜は幕が上がったばかり。浴びるようにお酒を飲んですっかり上機嫌になったミーナと無駄にパワフルな遠野は意気投合してさらにアルコールを流し込んでいる。そろそろ体を巡る血がお酒に置き換わる頃合いだ。

 ルディはそんな二人を眺めながら、遠野おすすめの日本酒をちびちびと舐めていた。

 盛り上がっているミーナと遠野の声は徐々にトーンアップしているが、川床に居るとその声はすべて京都の夜の空に消えていくようだ。すぐそばを流れる鴨川が、騒々しさを中和しているのか、うるさいのに静かという不思議な感覚が流れる時間を包んでいる。飲み過ぎてルディの耳が壊れている可能性もある。何せ、不味い日本酒が一本たりとも見つからないのだから。

 遠野はルディたちが食べたい飲みたいと言った物を片っ端から悉く食べさせてくれた。それは先斗町で今の時期に置いてある鱧や賀茂なすなどの定番どころのみに留まらず、旬の牡蠣であろうが、京都を囲む山々で捕ったとまことしやかに語られる鹿や熊などのジビエまで、それこそ何でも。

「ここら辺の大学生に何でも教えてもらってるからのう」

 どうしてこんなにお店を知っていて、顔が広いのかを尋ねると胸を張った遠野からこう返ってきた。

「何をどうしたら大学生全員に顔を覚えられるくらい関われるんですか?」

「なぁに、毎年新入生歓迎会の時に新入生として参加するんじゃよ。一人で飲むのはつまらんからの」

「無理ありますね」

「無理を通すために、いい酒を持っていくんじゃ」

 世渡りのコツじゃよ、少年! と遠野はルディの肩をバンバンと叩く。少年なんて言われたのは何百年ぶりだろうか。

 行きずりで一緒に飲んだ何人かの大学生に聞いていみると、遠野がいないと新入生歓迎会がいまいち盛り上がりに欠けるとの意見が多数。いったいこの老人は何をしているのだろうか。パワフルにも程がある。

「ねぇねぇ、次は飛び切り美味しい揚げ物が食べたいわ。日本酒に合うやつ」

「したらあそこに行くかのう。ぐじを丸々一匹から揚げにして食べさせる店があるんじゃよ」

「ぐじ?」

「甘鯛の事じゃな。煮つけで食べる事が多いが、から揚げがまた美味い」

 もうかなりの量の肴と酒がお腹の中に収まっているはずなのだが、それでもミーナの腹がぐぅと鳴るのにはルディもさすがに耳を疑った。

「いいわねいいわね!」

 酔いが回り始めたミーナはノリノリだ。小躍りをするように席を立ったかと思うとポシェットを肩に引っ掛けて、ルディたちに「早く行くわよ!」と笑いかける。

 欄干に体を預けて鴨川を眺めて鼻歌を歌うミーナは、髪を揺らす川から吹く風にご満悦な様子。

「爺さん、あそこ行くのか?」

 お店を出ようとした時、隣の席の大学生四人組から声を掛けらた。脇に置かれたギターと、派手な髪の色。アングラなバンド活動をやっていそうな出で立ちだったが、そんな彼らも遠野とは親しげに話している。

「そうじゃよ。普通のから揚げじゃ面白くないからのう」

「やめた方がいいぞ」

 緑色のアッシュを決めた男性が首を振りながら遠野に言う。

「今日はあそこ貸し切りだ」

「どうせ葵か祇園で引っ掛けた新入生を囲う遅めの新歓かなんかじゃろう? 大丈夫じゃよ、一緒に飲むから」

「違う違う。そういうのじゃなくてあそこだよ。十九代目八咫烏連合。あそこの連中が五人くらいで貸し切ってる」

「マジか」

「マジ」

「どうしようかのう……。でもこの子達には行きたいところ行かせるって決めてるからのう」

 遠野はチラリとルディたちの方を見て来る。

 ミーナは完全に出来上がっているようで、鴨川を眺めながらぐじの歌を歌っていた。その姿を見て遠野はミーナに訊くのを諦めたようだ。ちなみにぐじの歌は音程という概念を覆す素晴らしい出来だった。

 ルディに視線が回って来たので、頷いた。

「別にから揚げ食べられるんだったら別のところでもいいと思いますよ。こうなったミーナはあまり味わからないと思いますし」

「よしわかった! 飛び切り美味しい揚げ物と言われたらあそこのを食べさせないわけにはいかないからのう。わしゃあそこ以外納得出来ん! やっぱり行くぞ!」

 何もわかってませんこの爺!

 ルディは思わず心の中で悪態を吐いた。会話が成立しない。ルディの意見聞く必要が全く無いではないか。

「いくぞぃ!」と大きな声で号令を掛けた遠野はそのまま店の外へと出ていってしまい、そして途中で柱にぶつかりひっくり返っていた。

 当然ながら遠野もだいぶ出来上がっていた。


        ☆


 八咫烏連合というのは京都では有名な集団らしい。普段何をしているのかはほどんど誰も知らないが、揉め事があると何処からともなく現れて拳を以ってその場を制圧する、正義なんだか悪なんだかよくわからない集まりとのこと。その強さと手の付けられなさから、総長は代々天狗が務めているという噂だ。

 情報源が遠野の口からなので、信憑性には百抹の不安がある。

 普段、彼らは一条寺のラーメンストリートを中心に北は鞍馬、南は下鴨と、京都の中心からは若干北に外れた場所でどんちゃん騒ぎをしているらしいのだが、何故か今は四条河原まで下って来ているとのこと。

 先斗町の四条通り寄りに位置する串焼き屋。遠野が意を決したように呼吸を止めて入り口の扉を開くと、目つきがあまりよろしくないモヒカンの青年が出て来た。

「なんだ爺さん。ここは今日立ち入り禁止だよ」

「そうじゃろうの~……」

 顔の広さと厚さに定評がある遠野であってもその範囲は主に大学生、お祭り、居酒屋関連に留まる。さすがに得体の知れない組織にまでは知り合いはいない様子。

「どうしますお爺さん」

「じゃが! わしはぐじを嬢ちゃんに食べさせる! 四人分の席をいい感じで空けてくれい!」

「何処から来るんですかその飽くなきおもてなし精神……」

 てっきり諦めるものだとばかり思っていたルディを嘲笑うかの様だ。この爺は何が何でもここでから揚げを食べるつもりだし、なんなら八咫烏連合の連中に席の確保を少し手伝ってもらおうとしている。

「何だこの爺さん」

 ルディも同感である。

 明らかに険しくなったモヒカン君の表情に、もしもの時に備えて身構えた。

 しかしそんなルディの心配とは裏腹に、ミーナと遠野は向う見ずに元気いっぱいだ。

「私たちはぐじを食べに来ただけよ! ぐ! じ!」

「そうじゃ! 別にアンタらの邪魔はせんわい! そもそも五人しかおらんじゃろ! 絶対持て余しとるじゃろ! ていうかちょっと寂しいじゃろ!」

「私たちが埋めてあげるわ! この、心の隙間みたいに空いている席をね!」

 どうしたものだろうか。凄く偉そうに馬鹿である。ちんちくりんの少女が胸を張ってふんぞり返っている姿は圧倒的に恥ずかしい。しかも今、ミーナは首から身分証明書を下げている。年齢確認をいちいちされるので、ミーナが自分で手作りした物なのだが、それがまた某夢の国のパスポートを首から下げてはしゃいでいるチビッ子と酷似していて、恥ずかしさに拍車を掛けていた。それに追い打つ禿げた爺さんの無根拠な迫力も混沌せしめるこの空気を作るのに一役買っている。

 あまりに意味の分からない状況にモヒカン君は二の句を継げずに、遠野とミーナを交互に見ていた。殴りかかろうにも二人とも触ったら死にそうなほど弱そうに見えるし、脅しも見ての通り通じないしでどうしたらいいのかわからないらしい。

「ど、どうでもいいんだよお前らの事情なんて! オラ、帰った帰った。爺さんとチビは家で味噌汁でも飲んでろ」

 やや沈黙あって、モヒカン君はそれだけ言うと、遠野とミーナをぐいぐい押して扉の外に押しやった。ルディはそれを受取ろうと手を広げる。

 しかしなかなかこの二人は諦めない。

「ちょっと! 何で独り占めするのよ! そんなに美味しいのその魚!」

「美味いぞ! ほっぺたが落ちすぎて無くなってしまう位にな! 口裂け女はこのぐじのから揚げを食うことでほっぺたを失くしてしまった女の慣れの果てと言われておる!」

 言われていない。

 何でこの爺さんと吸血鬼は、酒を飲んでいる時よりも酔っぱらっているのだろうか。そういえば先ほどのお店で最後の方に日本酒を何合もいっぺんに頼んでいたことを思い出す。美味しい日本酒はアルコール度数が高いにも拘わらず飲みやすい為、酔っぱらったと気付く前に適量を軽く超えて飲んでしまう。その結果ひと段落ついて忘れた頃に酔いが回ることはままある事だ。このように。

「仕方ないわね! お爺さん、この人にも一口あげましょ」

「そうじゃな。まったく食い意地張っておる」

 人の話を聞いちゃいない。

 どうしよう、通訳でもしてあげましょうか。

「おい、サガミ!」

 ルディが三人の間に割って入ろうとしたのと同時、店の奥から太い声が響いてきた。その声に撃たれたように、モヒカン君が跳ね上がる。

「通してやれ」

「でも……」

「二度言わせるな」

 サガミと言われたモヒカン男は不服そうにしながらも道を開けてくれた。

 店の奥からは四人がこちらを見ているが、ミーナと遠野はそれに気づかないようで、早速酒とつまみを大量に注文している。

「どのくらいかかるのかしらね。丸ごと一匹だから相当かかるかもしれないわよ。一時間くらいかかるんじゃないかしら」

「前はどのくらいだったかのう。たしか――」

「三十分だ」

 奥の席からまた太い声が聞こえて来た。

「丸揚げでじっくり火を通すといっても、通しすぎはアカン」

 奥に居た男性はゆっくりと近づいてきて、空いていたルディの正面の席に座った。

「なぁに、お爺さん、この人知り合い?」

「うんにゃ、さすがに知り合いはおらんぞ。普通は近づかんしな」

 こそこそと話しているつもりなのだろうが、酒のせいで声が大きくなっているので丸聞こえである。

「近づかない、っつうのはちょっと違う。俺たちが近づけないようにしとるんや。縄張りに沿って細工してあるからな、俺らは」

 男はミーナと遠野の会話を拾うように、ボソリとそう呟いた。ミーナと遠野は一瞬ぎくりと身を強張らせ、その後「ばれちゃったじゃないのよ!」とまた大きな声で内緒話を始める。

「俺たちが何をやってるかわからないだろう? それは当たり前だ、見せてないからな。俺たちが見せようと思う事しか見せないようにする。その方が賢いだろう?」

 男はそう言って持っていたグラスを傾けました。ハードボイルドな雰囲気に一番似合わないカシスオレンジ。

「俺たちだけやない。ここら一帯の奴らは皆そうや。俺らはまだオープンな方や。存在すら知られてない奴らなんて五万とおる」

 頬杖をついて男の話を聞いていたミーナは、ビールを煽って鼻をスンスン鳴らしている。段々と目がトロンとして来た気がする。

「何だか閉鎖的ねぇ」

「そういうもんや」

 小さな子供を諭すような口調で、その男性はミーナに笑いかけます。もっとも、目は笑っていない。

「じゃあ今日もそうすれば良かったじゃないの。私たちに近づかれないようにしておけばあのモヒカン君もアンタに怒られずに済んだのに」

「……そうしとるんや、今も」

 男性はカクテルを飲み干してからルディたちを見回す。脳みそを直接除くような圧のある視線で居心地が悪い。

「だから気になって中に入れてやったんや。何で嬢ちゃん達は俺たちの縄張りに入って来れるんや?」

 そんなの知らないわよ、とミーナも机にあった徳利から直接日本酒を煽った。飲み方が酷くなってきている。

「大体、そんなに大層な物なの? その細工っていうのは。私たち何も感じなかったわよ。なんか張り忘れちゃったとかじゃないの?」

「いや確かに張ってる。今もな。サガミ……うちの若いのに確かめさせた」

「じゃあ知らないわよ」

 ねー、と遠野と顔を見合わせてそのまま再び日本酒を煽りった。この男は真剣に話をしているようだが、果たして何割伝わっているのだか。二人とも酔っ払い過ぎているので、何を聞かれてもまともに考えちゃいない気がする。

「たぶん僕たちが外国魔だからじゃないですかね」

 助け船を出すようにそう教えると、男は「おお、なるほどな」と笑いました。やっぱり目は笑っていない。

「まだ北の方には外国魔はあまり来てないからな。確かに俺たちも用意してる種類は少ない。あって魔女くらいのもんだな」

 納得がいったように男性は頷く。

「でもさぁ、おじさん達は普段北の方にいるんでしょう? そんな縄張りとか気にするんだったら、こんなところまで出てきちゃダメじゃない。しかも、私たちにから揚げを食べさせないで帰らせようとして!」

 とんだとばっちりだわ、とミーナはむくれながら机に頬を置いている。

「それはすまなんだ。しかし俺らも楽しみたい時だってある。ここにだって貸し切り相応の金を払って飲ましてもらっとるんや」

「貸切るなって言わないわよ。私の働いてるところも貸し切りされる日はみんな張り切るしね。でも空いてる席がいっぱいだと寂しいわよ。それはお金とかの問題じゃないわ」

「そうだな……」

 運ばれてきた二杯目のカクテルを一息に飲んで、その男性は頭を下げた。

「久しぶりの四条でゆっくり飲みたかったんや」

「何でわざわざこっちまで来たの?」

「わざわざ来たわけやない。仕事を依頼されてな。その帰りだ」

「仕事?」

「ああ。高天原までの石段を積んでてな」

「タカマガハラ……聞いたことないわね。どこら辺?」

「何処っていうか……まぁそうだな、作ったのは伏見だ。今頃流れて来た力を使ってどんどん伸びてる頃だろう」

 伏見。ルディの耳がピクリと動く。もはや聞き慣れた単語だ。へべれけなミーナもその単語を聞いて片眉を上げた。

「また伏見だわ!」

 ミーナがため息混じりでそう言うと、その男性は不思議そうな顔をしてルディとミーナを見つめた。

「それはどういう――」

「またってなんじゃ! 伏見で何かあったのか!? 嬢ちゃんもルディ君も伏見稲荷で何かされたのか!?」

 急に遠野がルディたちの会話に体ごと割って入ってきた。身を乗り出し過ぎて危うくテーブルの上のポテトが落ちるところだった。

「な、なによお爺さん急に。伏見に何かあるの?」

「…………いや、全然何もない!」

「ええ……。じゃあ何? 伏見好きなの?」

「全然好きじゃない! むしろ嫌いじゃ!」

「何なのよ! じゃあ首突っ込んでこないでよ!」

「別にええじゃろう! 興味は無いけど、何があったのかこの爺に少し教えろ! 全然興味無いけどな!」

「うっるさいわね耳元で! 別に少し狐の手伝いをして変なの捕まえたり、間違って吹っ飛ばしちゃった石を捕まえたりしただけよ! 行く先行く先そんな感じで棒に当たる犬の気分だわ! いや、狐ね! 棒に当たる狐!」

 ミーナが愚痴と皮肉混じりに話す今日あった出来事を、遠野は出会って来てから一番真剣な面持ちで聞いていた。その間、視線はミーナからひと時も逸れずに固まっていた。

 出会ってから今までが不真面目すぎるということは置いておくにしても、何故そんなに神妙な顔でミーナの話を聞くのだろうか。ルディがもし初めて今日のミーナの話を聞いたら、お腹を抱えて笑っている事だろうに。

 ……少なくともあんなに歯を食いしばったりはしないはずだ。

「なるほどなるほど……! これは確かに……!」

 ミーナの話が終わり、遠野は何やら嬉しそうに頷いている。今度はうってかわってご機嫌で、何故か遠野はふふふと漏れ出す笑いを堪えている。ヤジロベー見たいな情緒だ。

「よ~し飲むぞい! 嬢ちゃんもルディ君も飲め飲め!」

「急に一体どうしたんですか?」

 それからルディがいくら聞いても遠野は楽しそうに酒を煽るのみで、何も答えてくれなかった。

 代わりに質問が返って来る。

「明日は何処に行くんじゃ? わしが案内してやるぞ!」

「え、明日?」

 ミーナが箸を止めてう~んと唸る。

「……まだ決めてないけれど……そうね、明日は」

「お、見ろ嬢ちゃん! グジじゃ! グジが来たぞ!」

「アンタが聞いてきたんだから最後まで聞きなさいよ! せめてそれが終わってから次の話をしなさ……美味し! 何これ魚の美味しさがジュワジュワ溢れて来るわ!」

「じゃろ!? から揚げにするとグジの旨味と油の旨味が合わさって、もう最強になるんじゃよ」

 遠野が何に興奮しているかはわからず仕舞いだったが、それを補ってあまりあるぐじの美味しさに、なんだかルディも、何もかもどうでも良くなってきた。

 八咫烏連合の面々も話してみると気さくな人ばかりで、それがまた頭を空っぽにするには持って来いだ。

 空のジョッキはテーブルに溢れても、注文は止まらない――。


        ☆


 グジを食べてからもう一軒はしごをし、結局終電ギリギリまで酒を飲み明かしてしまった。先斗町は十一時辺りに閉店してしまう所が多かったので諦めていたのだが、一本隣の木屋町通りでお好み焼き屋を見つけたのが運の尽き。

 川床で鱧も白子も天ぷらもたらふく食べてさらにはグジのから揚げに串カツ、焼き鳥、ありとあらゆる物を食べたというのに、じゅぅじゅぅとソースの焦げる匂いにつられてお腹が鳴るのを聞いた時は流石のルディも夢かと思った。

 こんにゃくを多めにしてもらってせめてカロリーを減らそうとしたが、そのお好み焼き屋の店長によると焼け石に水、鉄板にソースというらしい。

 四条河原町で遠野と明日の待ち合わせを約束して別れ、京都駅に着く頃にはとっくに日付は変わっていた。

 今朝方の人種のるつぼのような多種多様な人々が行き交う賑やかな京都駅も、今はひっそりと闇に息を潜めている。普段賑やかな所が静かだと、地球滅亡からルディとミーナだけ取り残されてしまったのではないかと錯覚してしまう。そんな寂しさ広がる京都駅を、ミーナはあちらへふらふら、こちらへふらふら。お酒と眠気がいっぺんに襲って、ルディもふらふら、何なら少し吐きそうだ。

 昼間のような熱風が吹いていないのが幸いか。夜風は幾分涼しく、何とかホテルまで歩く気力をプレゼントしてくれる。

「ミーナ、轢かれますよ」

 よろよろと車道に出て行くミーナの手を引っ張りながら、出来るだけ歩道の端に寄った。もはやミーナはルディの腕にぶら下がっているも同然で、ルディの肩は脱臼しそうだ。

「たぶんだけど、飲み過ぎたわ……」

「五合分くらい気付くのが遅いです」

「だって、お好み焼きにも日本酒が合うなんて知らなかったんだもの」

「ビールをチェイサーにするとか馬鹿な事言ってるからそうなるんです」

「ルディだって『これは止まりませんね』とかいって馬鹿みたいに日本酒ガバガバ飲んでたじゃない。弱いクセに」

「……美味しかったです」

「馬鹿ね」

 京都駅から七条通を西へと進むと堀川通の立体歩道橋が見えて来た。歩道橋から落ちないか心配だったが、何とか向こう側のホテルへ辿り着く。

 キーを受け取り八階の部屋に入ると、ぴっしり几帳面にシーツが張られたベッドが二つ並んでいた。ミーナはそのまま帽子も靴も脱がずにベッドへとダイブし、うつ伏せで動かなる。

「ちょっと、寝る前にシャワーぐらい浴びてくださいよ。汗沢山掻いてるんですから」

「やっぱりベッドもいいわね……。ずっとお布団だったから、この寝心地は久しぶりだわ。……いやでもやっぱりお布団も……」

「いやだから寝ちゃダメですって」

 ミーナを着替えと共にユニットバスに放り込み、備え付けの小さなテーブルに腰かけると、ルディの身体にもどっと疲れが降りて来る。知らずのうちに随分歩いた。

 普通に旅行を楽しんでもらうつもりだったが、思いもよらない面白い事の連続だった。まだまだルディにもわからないことだらけで楽しくなる。

 謎の白狐、動くへそ石、よくわからないにょろにょろに、不思議な巫女さん。

 ポケットからおみくじを取り出すと皺になっていたので、伸ばしてからお財布にしまった。

 ――そして、その巫女さんがルディたちの待ち人だと言った、遠野。

「待ち人、ですか」

 ルディたちが会いに行っても待ち人。

 遠野から見たら、ルディたちが待ち人。

 僕は何を待っていたのでしょう。

 彼は何を待っていたのでしょう。

 一人がつまらないから誰彼構わず声を掛け、一緒に酒を飲む。孫どころか曾孫と言っても通じてしまうような年齢差の友人が、街中で声を掛けて来るのは何とも素敵な事だ。だけど何故その中からルディたちを選んだのだろう?

「ルディ、水ある?」

 ミーナがシャワーを浴び終わったようだった。ホカホカと湯気を頭から立ち昇らせて頭を拭いている仕草はしっかりしているので、酔いは醒めたようだ。

 ルディが渡したスポーツ飲料をミーナは一息に飲み干した。

 早く飲み過ぎてキーンと来るこめかみを押さえている。

「何よ。シャンプーでも残ってるかしら」

「別に何でもありませんよ。ちょっと遠野さんの事を考えていました」

「あのお爺さんね~……何で私たちの案内なんかしてくれるのかしらね」

 暑い暑い、と言いながらミーナはまだ湿り気の残った頭のままベランダに出た。

「ルディ来て来て」

 呼ばれるままにベランダに出ると、眼下には京都の街並みがプラネタリウムの様に広がっていた。生ぬるく吹く風が肌に優しく触る。

 山に囲まれた京都の夜は、墨を垂らした金魚鉢に沈んでいるみたいだった。

「今日一日で色々な所に行ったけれど、こうしてのんびり街を眺めるのも一興よね。お爺さんといたら騒ぐのに忙しくなっちゃうもの」

 ミーナは欄干に顎を乗せて、大きく息を吐きだした。

「あ~このまま夜が続いたら面白いのにね」

 ミーナがそんな事を言って笑っている。まだ酔いが残っているようだ。

 ルディはふと、ポケットにしまったティッシュの事を思い出す。

「ん、どうしたのルディ――あ……あ!」

 ルディがポケットから取り出したティッシュを見て、ミーナが両手でぴしゃりと自分の顔を挟んだ。

「忘れてたわ! 私昨日の仕入れで気になったところがあったから、夜に一回お店に連絡するつもりだったのに! ああ、そういえばティッシュ配って無いわね……せっかく居酒屋にいっぱいお客さんいたのに! あああああ! それにお土産も忘れてるし、美味しかったメニューをメモするのも……なんてことなの!」

 今更狼狽えるミーナ。なるほど、なるほど。確かに遠野はルディたちの待ち人だったようだ。

「ミーナ」

「何よ!」

「楽しかったですか?」

「え、そりゃそうよ! ……何笑ってるのよ! ねぇ、今から飲んだお店に連絡したら、私たちが頼んだメニュー教えてくれると思う?」

「無理無理、無理ですよ」

 ルディは呵々と笑う。

「何笑ってんのよ!」

 笑いが止まらなくなり、お腹が捩れて来る。苦しい、苦しい。

「もう! あの巫女さんのせいだわ! お爺さんが待ち人なんて絶対嘘だもの!」

 まったくもう! とミーナはぷりぷり怒っている。

 怒っていたが、明日の遠野との約束を断る話は一度も出なかった。代わりに出て来たのは、今日巡った名所のハイライト。

 あの白いにょろにょろは慣れれば案外いい触感をしているだとか、狐の男の子が着ていた服がどんなに地面に転がっても汚れていなかっただとか、そんな事を話しながら、ルディたちは六角堂でもらったお餅を食べるのだった。

「旅は素敵な無駄遣いですよ、ミーナ」

 消灯前にルディが言うと、「ふん」という鼻息が聞こえて来た。

「明日は何処に行くのかしら」

「そうですね、何処へでも行けますよ」

 電気が消えて、薄青い闇が部屋を包む。

 いつもと違う天井に目を凝らしているうちに、ルディたちはいつの間にか眠っていた。

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