第9話

 私は、勘違いしていたようだ。普通に考えれば、記憶を持ったまま転生する等考えられない。これが普通の反応だ。


「紫龍。心して聞いてほしい。あの魔法は、誰かから教わったものじゃない」

「つまり、自分で編み出したということかの?あの魔法と全く同じような効果を持つ魔法を我が仕えていた魔王が使っていたのじゃ。まぁ、八十年前に勇者に討伐されてしまったのじゃが」

「その話、もう少し詳しく聞かせてほしい。討伐された後、魔王城では何があったのだ?」

「そうじゃな……我は魔王様に……」


 少しの沈黙の後、紫龍は驚いたように私の方を見た。どうやら私の正体に気付いていなかったようだ。紫龍は察す能力が高いから、察していると思っていたのだが、こうも現実とかけ離れた現象を考慮するようなタイプではない。レアケースすぎるのだ。


「魔王様、もしかして生きていたのか!?いや、でもどこからどう見ても人間族じゃ」


 私の顔を覗き込むなり、紫龍は私に言い放った。


「魔王様は討伐されたのじゃ、今更生きているわけがないのじゃ。質の悪い嘘ならやめてほしいのじゃ」

「ああ、間違いなく討伐された。私は死んだんだ。だが、何故か記憶を持って別の惑星の平凡な家に生まれた。ある日、その平和を壊すように私は今日の昼にいた三人と共にここに勇者として召喚された」


 紫龍なら分かってくれるだろう。私は包み隠さず、自分の状況を話した。今の魔王の情報を聞くには魔族とのコネクションが必要だ。


「つまり、前世は魔王で、地球という星に転生して普通に過ごしていたら、勇者としてこの世界に再び舞い降りたということじゃな?」

「ああ。そんなところだ」

「魔王の時に得た、魔族が持つ全魔法を発動できる且つ、勇者の才によって魔法の無詠唱可能。絶対に敵に回したくないのじゃ」

「私は別に魔族を殺すつもりはない。かつての同胞に刃を向けるわけがないだろう?」

「そもそも魔王様は、争いが好きではなかったしのぉ。我はこうやって違う形になっても、魔王様に再会できてとても嬉しいのじゃ」


 紫龍は私に抱き着くと、その手を放そうとしなかった。紫龍にとっては八十年ぶりの再会だ。こうなるのも当たり前だろう。


「他の四天王は今どうしてるんだ」

「悪魔は音信不通じゃ、吸血鬼は故郷に戻った。ホワイトドラゴンは我が辞めた時にはまだ四天王にいた」

「なるほど、バラバラになってしまったのか。紫龍は故郷に帰らなかったのか?」

「紫龍は魔王様にお仕えすることで龍族の中でも絶大的な地位を勝ち取っていた。じゃが、我が逃げ出したことで、紫龍という種は衰退したのじゃ。我はもう故郷に戻れない。見せる顔が無いのじゃ。それでも今の魔王の政策には反対じゃ」


 紫龍が逃げ出すほどの政策、どんな政策なのだろうか。ブラック企業張りの劣悪環境といった所か。


「どういう政策をしているのだ?その今の魔王は」

「人間族の殲滅じゃ。奇襲という形でな」

「なるほどな、こちらから攻撃を仕掛けるということか」

「そうじゃ、それに加えて女や子供を優先して狙っているのじゃ。人間族の繁栄を阻止するために」


 紫龍は思うことがあったのだろう。涙を流しながらそう訴えた。立場の弱い物を狙っての奇襲。皇女が魔族を怖がっていた理由がようやくわかったような気がする。これが今の魔王のやり方か。


「昼間、冒険者が大勢死んだという話をしていたじゃろ?あれはもしかしたら同胞の仕業かもしれぬ。今の同胞たちは、我の失態で失墜した名誉を回復する為なら何でもやるじゃろう」


 誇り高き龍族の中でも最強種として名を轟かせた紫龍。その種とほぼ互角に位置づけられていたのは、とてつもない火力でねじ伏せる赤龍。私の推測ではあるが、四天王で紫龍の空席に座ったのはおそらく赤龍だ。


「お願いじゃ、魔王様……いや今は優香じゃったな。優香。魔王を殺してほしい。魔族が願っているのはおかしい話じゃが」


 紫龍は悲しそうな顔で笑った。紫龍は暗い話題の時でもなるべく明るく振舞おうとしている。空気を凍てつかせないために。


「魔王は聖剣でしか倒せない。私の仲間の一人に、全属性を持った奴がいる。彼に聖剣を握らせようと思っている」

「優香がやるべきじゃ、あの仲間たちに隠しているのかもしれないが、優香の方が圧倒的に上じゃ」

「私は、サポートに回るよ。あの三人は絶対に死なせない」


 紫龍は少し悲しげな顔をしながら、私の方を見た。


「そういえば、優香は、死んだ後の話を聞きたがっていたな。我らは地下のシェルターに居たじゃろ?あの後、優香の言われた通りにお腹が空いた頃になっても優香が戻ってこなかった。我は、負けただなんて思っていなかった」


 紫龍はそういって、私が死ぬ前後の話をした。


 勇者がもうすぐそこまで来ていると私は知っていた。魔王城近くにいる魔族を皆安全な地域まで転移させたが、魔王城で働くものは皆、そこを動こうとしなかった。


「魔王様、次は絶対に負けないのじゃ」

「紫龍。たかが数日で、魔法が上達するはずない。魔王様の言伝通り、我々は安全な場所に行こう」

「何言ってんだよ、吸血鬼。俺はぜってぇ認めねえ、逃げるなら逃げろ。俺は返しきれないほどの恩があるんだ。ここで死ぬなら本望だよ」

「悪魔。私も同感です。ホワイトドラゴンという種は、代々魔王様に仕える身。この身をささげる覚悟でいます」


 四天王たちは、私の話にほとんど耳を貸さなかった。四天王は、勇者たちに殆ど歯が立たなかったという。勇者との一戦後、彼らはそれぞれいつも以上に鍛錬していた。それは私も知っていた。しかし、私はそれを知っているからこそ、死なせたくなかったのだ。


「仕方が無いな、魔王様に辿りつく前に、勇者を迎撃する」

「吸血鬼、お主はいいやつだと分かっていたぞ。さあ、向かうのじゃ!」

「どこに行くんだ、お前たち」

「魔王様、どうしてここに」

「紫龍、お腹が空いても、私が戻ってこなかったら、私は勇者に殺されたと思え。ホワイトドラゴン、お前はシェルターにいるやつらが不安にならないようにしろ、悪魔、お前はシェルターから脱出するとき先導しろ。あの道はお前が一番よく知っているはずだ。吸血鬼、もし傷がついた奴がいたらお前の治癒術で治してやれ。頼んだぞ」

「魔王様!!!!」


 私は四天王たちに最後の命令をした。勇者に勝てるかは五分五分だった。聖剣を手に入れていれば勇者の方が優勢。持っていなければ私の方が優勢。私は四天王を転移魔法で地下にあるシェルターに送った。そのシェルターは何重にも隠密系の魔法が掛けられている。外に出るには、私の施した魔法を解かなければ外からも中からも開かない。まぁ、術者が死ねば魔法は解けるが。


「うっ。我が弱いからじゃ。我が弱かったから」

「紫龍、そんなことはありませんよ。魔王様はそのようなことは一言も言っておりません。信じましょう」

「ホワイトドラゴンはお気楽でいいよな。実際は俺らが弱いから足手まといになるだけだろ。この地下シェルターだって、魔王様の魔法が掛けられている。俺らにやらせればいいものを」

「悪魔。そのような発言は混乱を引き起こしますよ。ここには魔王城に仕えていた皆がいるのですから」


 シェルターの大きさは体育館よりも広いくらいで、常に新鮮な空気が入るように風属性の魔法を組み込んでいる。


 そうして私が死んだ後も、彼らはずっと待っていたらしい。体感にして昼から夜になるくらい。


 ぐぅ……。紫龍はお腹の音を鳴らしながら、目には大粒の涙を溜めていた。


「まだ、お腹空いてないのじゃ、本当に空いていないのじゃ、我は」


 その言葉に皆が黙っていたという。誰もが信じたくなかった。魔王が討伐されるという現実を。


「紫龍。魔王様の命令に背くことは出来ません。このシェルターに掛けられていた魔法も徐々に解けています。このままではここで死ぬだけです。それは魔王様が望んでいた世界ではないでしょう」

「そんなはずねえよ、ホワイトドラゴン。二百年以上仕えてたんだろ、それなら分かるはずだ、魔王様は最強だって」

「悪魔。私だって信じています。だからこそ、言いつけは守るべきです。さぁ、案内してください悪魔。この場所はあなたが一番知っているのでしょう?」

「ああ、ここを真っすぐ行くと階段がある。その階段を下って行った先に転移魔法陣がある。そこで外に出れる仕組みになっている」


 そう言い残して悪魔はその方向とは別の方向へと走り出した。


「悪魔!どこへ行くのですか!」

「ホワイトドラゴン、ここはこの者たちを安全な場所へと移動させた方がいいだろう。紫龍もこんな調子じゃ、不安が広がるだけだ」

「そうだな、吸血鬼」


 そして皆は外に出た。それは魔王城の奥にある花園へと続いていた。裏庭のような場所だ。そして知ってしまうのだった。魔王城が燃やされていることを。耐火性ではあるが、火はどんどんと大きくなっていく。外は既に夜になっていたが、辺りを明るくしていた。


「魔王様!紫龍、水属性の最大出力で火の勢いを止めるんだ」

「分かってるのじゃ、でも、火が強すぎるのじゃ」


 鎮火した時には魔王城の外見はかなり廃れてしまった。かろうじて原型は残っているが。


「魔王様を見つけることが出来ませんでした」


 鎮火した魔王城に入ったホワイトドラゴンはそう一言残した。あの火の中では骨が残るか分からないという。そして皆は泣き崩れた。


 魔王が討伐されてからかなりの月日が流れたある日のことだった。全属性の適性を持つアンデッドが現れたのは。





「アンデッドは、四天王を殺せると豪語してきたのじゃ。一目見ただけで、我々にはその強さが分かった。そしてこれは新しい魔王になると確信したのじゃ。その時には吸血鬼は故郷に帰ってしまって、四天王は我とホワイトドラゴンだけじゃった」





「手始めに、皇女を殺す」

「人間族を襲うことは感心しないのじゃ。我らは種族が違うだけじゃ」

「人間族は滅ぶべきだ。人間族は自己中心的なクズの集まりだ」





「アンデッドはその言葉通りにオパール国の王族たちを皆殺しにしたのじゃ。アンデッドはそうして新しい魔王となり、魔族を率いることになったのじゃ。そして今に至るというわけじゃ」


 紫龍はそういうと、私に再度抱き着いた。その目には大粒の涙があった。今の魔王はアンデッドであるという情報はかなり大きい。私もアンデッドであったが、別に魔王はアンデッドであるというわけではない。魔族の中でも極めて魔力量が多く、全属性を使える者のみが魔王になれるのだ。


「紫龍、今の魔王城はどこにある?」

「オパール国の方なのじゃ」

「地図的に云えば西の方面か」

「そうじゃ」

「生憎西の地理は全くと言っていいほど分からないからな。紫龍も水属性の適正しか持っていないし、転移魔法で飛ぶのは諦めた方がいいな」

「では、我の背に乗っていくかの?」

「聖剣を仮に手に入れたとして、私が単独で乗り込むと思ったのか?先ほど言った通り、私はあの三人に魔王を討伐してもらう。私はサポートに回る」

「自信を持っていいのじゃ。優香なら出来るのじゃ」

「私は、本当は魔王だって殺したくない。私たちが元居た世界に帰るためには魔王の心臓が必要なのに」


 ここに召喚された時、私が一番気にしていたのは、本当に日本に帰れるのかだった。私は異空間の召喚魔法など知らない。しかし、魔王の心臓があれば帰れるとガーネット王国の皇女は言った。


「なるほど、要は魔王の核が必要なのじゃな」


 核というのは魔力がこもっている。魔王ともなればその魔力は膨大なものになる。


「じゃが、それはおかしい話だと思わないかのぉ?魔王というのは別に種が決まっているわけじゃない。魔力の多い核が必要というなら分かるのじゃが、そもそも使用魔力量の多い魔法ならば、勇者たちの魔力でどうにかなる問題じゃ」

「私もそこが引っかかっていた。魔王の核に特別な付与がある訳じゃない。異空間に戻す魔法が無いか王立図書館で調べていたんだが、それも見つからなかったし」

「禁書の類かもしれぬのぉ。とにかく、我もその旅に同行しても良いかの?」

「紫龍、どうして」

「聖剣が見つかったら、魔王城まで運ぶ。我もパーティーに混ぜてほしいと言っているのじゃ。人間族に恨みがある訳じゃないし、我は絶対に襲わないのじゃ!お主の事も、秘密にしておる!」

「分かった。魔王城の場所を知っているのは紫龍しかいないからね」


 人間族に変幻した紫龍は、普通の人間族と遜色ない。町で歩いてもバレないだろう。


 翌日。


「おはようなのじゃ!」

「優香……。朝早いんだね」


 寝起きの夏帆が目をこすりながら言う。そして現実を把握したのか、驚いてベッドから転げ落ちた。


「し、紫龍!」

「そうなのじゃ、寝込みを襲いに来たわけじゃないのじゃ。我もお主らの旅に同行するのじゃ。我は魔王城の場所を知っているのじゃ。後は聖剣を手に入れるだけじゃろ」

「それは頼もしいけど」

「大丈夫なのじゃ。我は絶対に人間族に攻撃しない。これは誇り高き紫龍の名に誓うのじゃ!」


 私は服を着替えながら、紫龍に問いかけた。


「紫龍、人間らしくするには、名前が必要だと思う。私達もあなたのことを紫龍と呼んでしまっては、周りにバレるかもしれない」

「そうじゃな。人間族には名前があるのじゃった。魔族には名前という概念が無いのじゃ。紫龍は紫龍だし、ホワイトドラゴンはホワイトドラゴンなのじゃ」


 魔族には名前などない。そもそも、意思疎通が図れる魔族が少ないのだ。その為名前というものは無かった。


「紫龍だから……名前考えるのむずいのじゃ、優香考えてくれなのじゃ」

「ちょっと待って、将吾達と話してからじゃない?その同行していいかは」

「お主らが指図できる立場にいるのか?我に一ミリも攻撃を与えられなかったのに、その我が味方に付くと言っているのじゃぞ?」


 紫龍はどうやら私のことはしっかりと秘匿してくれるようだ。いつかこの三人にバレるかもしれないという気持ちも胸の底にはあるのだが。


「とにかく、朝ごはん食べるためにここの二階の食堂行くから。みんなもそこにいるし」


 夏帆の強引な薦めにより、私たちは二階の食堂に向かった。


「よぉなのじゃ」

「は?」


 二人は目を丸くして紫龍の方を見ていた。それはそうだ、魔族が人間族の領地に入っているのだから。


「我も、お主らの旅に同行するのじゃ。魔王城の場所を知っておる。それに、我は優香に仕えることにしたのじゃ!」


 何だか楽し気に紫龍はそう言った。人間族に仕える魔族など聞いたことが無い。


「いや、強いからそれは願ったりかなったりなんだけどさ」

「そうじゃろ、我の防御結界、あれで魔王も手だし出来ぬ」

「それにしても急だな、何かあったのか」

「優香に惚れたのじゃ。それじゃ理由になっておらんかのぉ?」


 私が魔王であることは言えない。どのような理由を話すのかと思えば、惚れたという理由だった。変な意味に捉えられていないだろうか。


「それで、名前を付けてほしいなと、優香に言ったのじゃが、無視されてしまったのじゃ」

「……アメリア。アメリアでどう?」


 私は変に話を広げないように、紫龍に咄嗟に思いついた名前を提示した。


「どういう意味なのじゃ?」

「意味も何もない。アメシストから連想しただけ」

「いい名前じゃ。これから我はアメリアと名乗ることにするのじゃ!」


 三人の了承も得ぬまま、紫龍……アメリアは、食堂の椅子に腰を掛けた。アメリアはかなりの食いしん坊だ。朝ごはんはバイキングだと知り、片っ端から料理を載せていく。


「アメリア、お前の分の朝食は無い」

「これってもしかして、宿泊者限定ってやつなのじゃ?」


 アメリアが持ってきた料理を私達四人で何とか食べ終え、宿を後にする。アメリアはお腹を空かせながら私の方を見ていた。


「それで、紫龍……じゃなくてアメリアは、本当に俺らを襲わないんだな」

「それは何度も言っているじゃろ。我は、お主らの仲間になる。仲間を襲ったりはしない」

「分かった。同行してもいい。俺らはこれから、ギルドに用事がある」

「ギルドに用事?昨日の依頼はもう出してあるんでしょ」


 私は将吾に疑問をぶつける。確か鱗を渡しに将吾と晴人でギルトに行ったはずだ。


「いや、ギルドマスターが直々にお礼をしたいと言っていてな」

「なるほど」


 確かにSランク依頼を卒なくこなした名の知らない冒険者たち。一度会ってみたいという気持ちになるのもわかるが、鑑定魔法を持っていたら厄介だ。ガーネット王国のように話の分かるギルドマスターとは限らない。


「アメリアはロビーで待ってて」

「分かったのじゃ」


 相変わらず、ギルドには足を一本無くしていた冒険者がロビーにいるだけで、活気がない。


 私たちは奥の部屋に通されると、ギルドマスターがずっしりと座っていた。私はギルドマスターを鑑定する。ギルドマスターは火属性に適性があるようだ。私の敵ではない。


「あなた方が、龍を討伐したという」

「はい」


 討伐はしていないが、そういう話にしている。


「この度は、なんとお礼したらいいのやら」

「いえ、お礼などは要りません」

「あの、すみません、聞きたいことがあるのですが」

「何でしょうか」


 私はギルドマスターに率直に質問をした。あのダンジョンには龍が一匹いるだけという情報を流したのはギルドである。だが、紫龍は人を殺してはいないという。ならば、誰が人を殺したのか。


「アメシスト王国の近くに龍族の住処があるのでしょうか?」

「さあ?それは分からない。アンデッドやビッグアントが住んでいるのは分かるのだが」

「なるほど、あのダンジョンからの生還者は何人いるのですか?」

「一人だ」

「ありがとうございました」


 つまり、あの傷だらけで私達に忠告をした冒険者だけということか。アメリア以外の魔族が冒険者を襲ったことは間違いない。アンデッドやビッグアントに全滅するほど、個々の冒険者が弱かったのか、それとも、ギルドが把握できていない魔族が住み着いているのか。


「忙しい中、無理を言ってしまって申し訳ない。本当に龍の討伐感謝する」


 ギルドマスターとの話を終え、私たちはロビーへと戻った。足を無くした冒険者は、よく見ればこの地の人間では無いようだ。アメシスト王国の人間はみな紫色の髪型をしているのに対し、彼は薄い青色で透き通るような色をしている。


「君たちが龍を討伐してくれたパーティだったな。昨日は無礼なことをしてしまった」

「あの、もしよろしければ、どのように生還したのか知りたいのですが」

「転移魔法だよ。俺は転移魔法くらいしか取り柄が無いからね」





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