第11話:遺跡(ダンジョン)③



 遺跡ダンジョンの中。


 狭く長い階段を下りて。


 前にひとりで来た時は、ココで骸骨にがつーん、と、やられてしまったけど。


 今は。


「うおりゃぁあああああ」


 数の暴力?


 パーティの、チカラ。


 上位レベルの戦士さんが居るのもあるけど。


 どどどーと、モンスターをなぎ倒しつつ、狭い回廊を、突き進む。


 通路の脇にある部屋から出て来るモンスター。


 そもそも、通路に居る、モンスター。


 オークやら、骸骨やら、幽霊やら、ゴーレムも居る。


 曲がり角を曲がって、少し進んで、また右へ。


 曲がるとすぐに数段の階段。


 そこにもオーク。


 それもざっくり倒して、さらに奥へ。


 進むと、広いんだけど、本棚やら天球儀? やらのある部屋へ。


「お、空いてるね。ここで、やるよー」


 リーダーの指示で。


 その部屋で。


 しかーし。


 先ほどの通路とは様相が、違う。


 モンスターの種類が、通路のとは全然違っていて。


 数も、半端ない。


 数の暴力。


 逆もまた、然り。


 通路では回復魔法を使う事もなかったけど。



 パーティメンバーのステータスウィンドウを見ていると、ざくざくHPが減ってるヒトが居る。


 そのヒトの名前をクリックして、回復魔法を唱える。


 んだけど。


 次々、と、別のヒトのHPが減る。


 回復。


 減る。


 回復。


 間に合わないっ!


 緊急回復っ!


 ぜーぜー。


 忙しい。


 それに、MPがガンガン減ってる。


 ウチも、他の魔法使いさんも。


 リーダーは火炎魔法で攻撃。


 戦士さんたちはそれぞれモンスターと戦っている。


「バラバラに叩かないで、一匹づつ、集中攻撃を」


 リーダーからの指示。


 一体一体を倒す時間が縮まって、少しHPの減り具合がマシにはなるけど。


 それでもやっぱり。


 モンスターがリンクしたり、アクティブモンスターがすぐ横にポップしたりで。


 てんやわんや。


 みんなのHPもガンガン減る。


 これは……。


 ウチは。


「全体回復っ!」


 とっておきの、全体回復魔法を唱えた。


 詠唱が長くて、発動まで少し時間がかかるけど。


 発動すれば。


 全員のHPを、一気に。


 回復したのはいいんだけどおおおおおお。


「あぎゃあああ」


 戦士さん達に群がっていたモンスター達が、一斉に、ウチの方へ。


 やばいぃいいいいっ。あんなのにたかられたら、ひとたまりも、無い。


 逃げるが勝ちっ!


「Narurunさんっ! 停まってっ! 動かないでっ!」


 えーーっ!?


 でも、言われた通り、その場に留まると。


 そりゃ、叩かれますわねー。


 ぼかすか、モンスターから殴られるけど。


 リーダーも含めて、他の魔法使いさんからの回復魔法が飛んで来て。


 なんとか耐えている間に、戦士さんたちがモンスターを倒してゆく。


「一時撤退ぃいいいっ!」


 リーダーについて、部屋の隅にある階段へ移動して、その階段を登る。


「ふぅうう」


 あぁ、ここが安全地帯なのかー。


 リーダーが座った周囲に、ウチも含めて、みんな座る。


「Narurunさん、全体回復魔法はあまり使わないで。それと、逃げ回らないように」


 なんで?


「全体回復魔法は、ヘイトが大きいから、狙われやすくるからね。大きく動いて逃げ回ると、アクティブモンスターを引き寄せて余計に不利になるよ」


 な、なるほど……。


 まだまだ。


 学ぶことは、多い様子。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る