第5話:初めてのパーティプレイ~ペア狩り



 狩場フィールドで出会った戦士くんとチャットパーティを組んで少し休んだ後。



「ちょこっと一緒にやってみない?」

「ん? ええで」


 関西弁の男の子。


 名前は・・・なぜか、当時CMがバズっていた清涼飲料水の名前。


 思わず、そのCMの曲を歌ってしまう。


 それはさておき。


 お互いにパーティプレイは、初めて。


「どないしたらええ?」

「うーん。ひとりでやってる時みたいに普通に戦ってみて?」

「よっしゃ」


 ウチは後方から援護する形で。


 彼が突っ込んだモンスターに後方から……。


 後方から……。


 狙えんっ!?


 モンスターを狙おうと、クリックしようとしても、彼が手前に居るからモンスターをクリックできない!?


 あたふたしていると、彼がモンスターを切り倒す。


 そして、また次のモンスターへ。


 あた、ふた。


 彼がモンスターからも攻撃を受けてHPが減ってるから、とりあえずそのまま回復はするけど。


 攻撃できねー、ってことで。


「まてぃ」


「ん?」


 状況を説明。


「ほな、横から殴りに行ったらええねんな?」


「そうそう。それでおね」


 お願いしてモンスターに正面からではなく、横から攻撃してもらうように。


 これなら、こちらからもモンスターが見える、つまり、クリックできるので。


 ウチも攻撃魔法を、撃てるっ!


 ウチが使える攻撃魔法は、氷の魔法と、風の魔法。


 氷の魔法は、威力と射程距離が短いけど、相手の移動速度を下げるデバフをつけられる(ただしランダム)


 風の魔法はそこそこの威力と射程。


 だいたいは風の魔法1~2発で仕留められるけど、戦い方によっては氷の魔法のデバフを期待して初撃氷からの風魔法も、あり。


 なんだけど、氷のデバフが滅多につかないので、ほぼ封印……。


 で。


 戦士くんが戦っているモンスターにウチの魔法が着弾。


 剣でゲシゲシ切りつけて半分ぐらい削った後に、魔法でズドンとトドメ。


 イイ感じ。


 戦士くんのHPが減ったら、回復、回復~。


 回復職としては、そっちが主なので、回復に徹するのもアリなのはわかっているけど、攻撃もしたい、よね?


 って、イキってたら。


「あぁっ、MP切れたぁあ」


 そうなるわな。


 まぁ、魔法が撃てないなら、とりあえず殴っとくか。


 ゲシゲシ。


 接近して、魔法の杖で、殴るっ!



「ふたりやと効率ええなぁ」


 ひとしきり、狩りを終えて、そろそろいい時間の頃合い。


「だねー」

「だいたい、これくらいの時間?」

「うん、そうだね」

「明日もええかな?」

「ええよー」


 と。


 しばらくの間、彼と『ペア狩り』の日々ではあるも。


 ふたりの時間が合わない時もあり。


 ひとりの時も、もちろんあり。



 村から狩場へ向かおうと海岸沿いを北上していたらば。


「ん?」


 砂浜の浅瀬……海中にヒトが倒れていた……。


「溺れた?」


 声をかけても無反応。


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