第6話:てくてく回復~なるるん海を渡る



 前日、砂浜の海岸で溺れてた戦士くん。


 ちなみに、一緒にパーティをやった戦士くんは、赤毛。


 溺れてた戦士くんは、金髪。


 しばらく声をかけたりして見てたんだけど、起きる気配がないので狩りに向かい。


 戻って来たら消えてたんだけど。


 翌日。


 同じ場所を通りかかったら、居た。


「昨日、そこで溺れてませんでした?」


「あはは、見られちゃったかー」


 どうして? と聞いてみたらば。


 仕事の休憩中にプレイしていて、休憩が終わって、安全な水際でに移動したつもりが。


 勢い余って海中まで入ってしまったそうで。


 そう、この世界。


 水……海とかに入ると持続ダメージを受けて、HPが、減る。


 もちろん、回復できないと、チーン。



 ふと、思った。


 ウチなら回復魔法あるから、回復できるんじゃ?


 そして、ふと、地図を見て思う。



 いけんじゃね?



 てことで、行ってみました。



 大陸へ。


 海を渡って。



 本来なら。


 船を使うか、転移魔法屋さんに転移させてもらうか。


 しかし、いずれの方法も、お金がかかる。


 それも、結構なお値段。


 なので、お金が貯まるまでは、大陸には行けないと思ってたんだけど。


 徒歩で自力で、海を渡りきれば。


 タダで行ける!


 かも?


 何事も、挑戦。


 てことで、砂浜から、海へ、突入っ。


 歩き始めて、どんどん、海の中へ入って、沈んでゆく。



 ずっぽりと頭まで入ったところで、HPが少しづつ減って行く。


 そして気付く。


「うわ……水中だと歩行速度がえらい遅くなるのね……」


 なるほど、水圧? で、歩きにくくなるってか。


 そして、呼吸ができずに、ダメージになる。


 よく出来てるっちゃ、出来てるかなー。


 おっと、HPが減る減る。


 回復魔法っ。


 あぁっ!


 そうか、魔法を詠唱してる間は歩行も止まる……思っていたより、時間かかるぞ、これ……。


 やばっ。


 とか思ったけど。


 まぁ、なんとかなるるん、的な。


 てくてく歩いては回復。


 てくてく、回復。


 てくてく、回復。


 てくてく、回復。


 ぜーぜー。


 マップを開いて見ると、やっと半分くらい?


 てくてく、回復。


 てくてく、回復。


 まわりは海水ばかりで、他に何も見えない。


 うぅ。面白い風景でもあれば、気も紛れるだろうに……。


 しかも、ひとり。


 うぅ。


 お?


 なんか、景色が少し変わった?


 お?


 対岸の様子……つまり、大陸!


 わーい。


 んが、しかし。


 げっ。


 MPがああああ。HPが尽きるのが先か、MPが尽きるのが先か。


 いやぁん。


 もうちょっとなのにぃいいいいっ。


 焦りつつも、てくてく回復、てくてく回復。てくてくてくてくてく。


 あぁああ。回復回復。


 てくてく回復。


 てくてくてくてく。


 てくてくてくてく。



 ごおおおおおおおおおおおおおおおおる。



 やっと着いたぁあああ。


 リアル時間で40分ぐらいかかったわよ。


 ぜーぜー。


 でも、なんとか、無事に。


 辿り着きましたっ!


 大陸に!





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