第12話 一難去ってまた…
Seito 「終わった―――か」
Seika 「うん。終わったね…。ようやく」
SF1号の姿が完全に消滅すると2人は足の力が抜け、膝から落ちると座り込み肩を寄せ合う。
Seika 「ここに来るまで色々な人が亡くなった…」
震えた声で話すSeikaは亡くなったLen、Shin、そして…Anzuの記憶を思い返すと瞳から涙が溢れSeitoの肩にポタポタと零す。
Seito 「うん…。でも、もう終わりだよ」
静かに話すとSeitoはSeikaの瞳からポロポロと零れる涙を手で拭い、頭を優しく撫でる。
Seika 「ねぇ、Seito。約束覚えてる?ゲームをクリアしたら―――」
Seito 「勿論。お化け屋敷に行く」
Seika 「ふふっ。覚えてくれてよかった。じゃなーい!それ私の嫌いなやつだから!」
Seito 「Seikaの事は沢山知ってる」
Seikaはドキッとし頬に手を当て赤らめる。
Seika 「えっと、その……クリアしたら…」
思う言葉や喜怒哀楽を素直に出すSeikaは珍しく口ごもる。言葉に詰まるSeikaを横目で見つめていたSeitoは微笑む。
Seito 「俺とSeikaの家の間にある、並木道で逢って真面目な話をする」
Seikaは更に頬は赤くなり小さく頷く。
Seito 「…プッ!あはは!!」
急に笑うSeitoに突然の出来事でSeikaは顔をあげ目を細める。
Seika 「Seito君…。ついに頭がイカれたのか―――あーーー!!覚えてたくせに敢て言わなかったんだー!!」
Seitoはハッキング後にこれ以上ない程に笑い声をあげる。頬を膨らませていたSeikaは次第に釣られお互いに笑い声をあげる。
日の出の景色の中、笑い合う瞬間だった。
「マスターの運営離脱につき、新たなマスター権限候補を持つ2人に権限委任要請をします」
笑い声がピタリと止まり2人は立ち上がると武器を出し再び構える。
話すモニターは2人の前に現れると『マスター権限委任要請』と文字が大きく表示されていた。
Seito 「そうか…。運営管理者のマスター権限を持つ者が消えたからか」
Seika 「なるほど~!まぁ、Seitoが権限持っておけば?」
2人は安心仕切った顔で武器を収める。
「その提案は不可能。マスター権限を所持する者は一人のみ。2人は権限委任要請の候補者であり放棄する者はログアウトを実行して下さい」
Seika 「ログアウトか…。もう出来るよね」
Seikaはモニターを出すとタップし操作する。ログアウトの文字色は未だに薄っすらと灰色になっており、押しても"Error"と警告で赤い文字で大きく表示される。
「システム、人工知能機能に多数の破損データあり。早急な復旧作業を推奨します」
話すモニターにSeikaは肩を落とす。
Seika 「え~!?だってログアウト出来ない―――Seito…?」
Seikaはつい先程までとなりに立っていたSeitoの方へ振り向く。Seitoはプルプルと震えた足でSeikaが立つ位置から離れるように歩き出す。
Seito 「ぐっ!」
Seika 「どうしたの?Seito?」
ある程度、Seikaと離れたSeitoはゆっくりと反転しプルプルと震えた手で
Seika 「えっ…?」
真っ暗な空は日が昇る時間帯となり2人は日の光に照らされる。目を閉じていたSeitoが目を開くと茶色だったはずの瞳の色が白銀に変わっていた。
「Seito様…そんな…」
Seito 「身体が勝手にっっ!!」
SeitoはSeikaに対し片手で刃を直線状に構えると両手で握りしめる。
Seito 「Seika―――俺を殺してくれ!!」
Seitoは風の恩恵でSeikaの立ち位置まで素早く移動をする。そして、命の危機を感じたSeikaは
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