第11話 思い
Seito 「こっちの苦労も知らない癖に言いたい放題、言いやがって!」
Seika 「あんたなんかに負けてたまるのかっ!!」
ギリギリと火花を放ちながらお互いにクロス状態で武器がぶつかる。互角状態の中、SF1号の身体が白く輝く。
SF1号 「
Seito 「Seikaっ!」
Seika 「わかってる!」
SeitoとSeikaに向い魔法を詠唱すると天井から図太い光が幾つも襲う。襲い掛かる魔法に2人は風の恩恵で左右へ宙に舞い身軽に回避しながら後方に移動する。
黒い煙がモクモクと上がる中、SF1号は剣と刀を両手に辺りを警戒する。
Seito 「
視界が悪い中、姿を現すSeitoだがSF1号は耳を頼りに身体が茶色に輝く。
SF1号 「こんなもん?」
Seitoが繰り出した技をSF1号は
Seika 「
力が倍増する火の恩恵を纏いSeikaはSF1号の頭上から剣を縦に全力で振るう。しかし、SF1号はSeikaが剣を頭上に構えている時点で後方にくるんと宙に舞い下がる。
Seika 「外したっ!ハァハァ…」
Seikaが繰り出した技で床に図太い線の傷跡が残る。
SF1号 「力が倍増する火の恩恵と
SF1号は風の弓を出すとSeitoとSeikaが立つ場所へ30連の矢を空に放つ。
「「
2人は頭上から降る矢を土の恩恵で身体を包み込みガードする。
SF1号 「ちゃんと前を見たら?」
留まっていた水の恩恵、魔法の
Seito 「がはっ!!」
Seika 「キャアっ!!」
SF1号 「
SeitoとSekaが宙に舞う中、SF1号は技を繰り出すと更に遠い位置まで吹き飛び床に倒れ込む。HPが一気に減り2人は瀕死状態となると右上にHPと【危険】と赤い文字が表示する。
赤い文字で【危険】と表示される中、床に倒れ込んだ2人に輝く光が包み込む。
「Seito様!この優秀なAIであるフェアリー11Rがアイテムで回復します!」
「Seika様。私もアイテムを使用します」
フェアリー型AIの11Rと11Kが回復アイテムをSeitoとSeikaが所持しているポーチから使用する。
HPは満タンまで回復し【危険】のメッセージは消えていく。
Seito 「フェアリー11R…?AIは使えないはずじゃ…」
SF1号 「そこのフェアリー型AI!マスター権限の命令だ!スピファン内でプレイヤーに干渉する事は直ちに辞めろ!」
SF1号はSeitoとSeikaのフェアリー型AIに命令をする。
「私のマスターは元々、星冬様です!ハッキングコードを感知してから私達はハッキングされる前にスピファンから強制ログアウトしてダイバーエリアのマスターを現実世界と同じようSeito様になるよう上書きしました!スピファンはダイバーエリアの配下で運営するゲームですから―――」
「11R!話が長くなるから今はSeito様とSeika様の援護を!」
「あっ!!」
1から10まで話そうとするフェアリー11Rは口元を手で覆い、11Kはヤレヤレと手を広げる。
「と、とにかく!私達はもう現実世界のマスターの命令しか受け入れる事しか出来ないのです!」
11RはSF1号にキッパリと言い切る。
Seito 「ありがとう。11R」
Seika 「11Kもありがとう」
「私は星冬様の幼い頃から側にいましたから…。何とかしたかったんです」
「私も星夏様の側にずっといたんです。こんな所でマスターの幸せをこれ以上、潰してほしくはありません」
フェアリー型のAIに援護され2人はのHPが満タンまで回復すると、立ち上がり2人は顔を合わせ頷く。
引き締まった表情に一変すると2人は距離の離れたSF1号の元へ風の恩恵で素早く走る。
SF1号 (まだ立ち上がるのか…?人間はこんなに―――諦めが悪い生き物だったのか?)
考え事をしている最中にSF1号は一瞬、油断をしてしまいSeitoが現れ我に返る。
Seito 「
両手に土を纏い岩で出来たナックルで、SF1号を思いっ切り殴る。
SF1号 「カハっっ!!」
Seitoの動きは瞬きすら許されない程の速さで迫り、SF1号が我に返った時には既に遅く攻撃を腹に食らい吹き飛ぶ。
Seika 「
攻撃を食らい怯むSF1号にSeikaは追い打ちをかけるように火の恩恵、魔法を詠唱する。
SF1号 「熱い熱い!!
身体に
Seito 「
Seika 「
SF1号の頭上に風の矢が降り注ぎ、更に追い打ちで風魔法を詠唱する2人の連携にSF1号は自動回復の衣を纏っても尚、それ以上にダメージを受け続ける。
SF1号 「何なんだ!お前ら!人間なんて傀儡人形のようにAIに命令されて動いていただけの癖に!」
風魔法を詠唱した2人は
Seito 「人間は…どんなに辛くても抗う強い気持ちがある!それに、俺達には助け合う仲間がいる!」
Seika 「そう!不器用かもしれないけど…絶対に折れる事が無い心!互いに想う、思いやる心が絶対にあるんだ!」
Seito 「だから俺達は―――」
Seika 「だから私達は―――」
「「絶対に負けない!」」
2人は全力でSF1号の元へ走る。魔法を繰り出すMP、技を繰り出すTPは残り僅かだ。
Seitoは刀を縦に振るとSF1号は回避し、着地した地点にSeikaは待ち構え剣を横に振る。
互いにギリギリの戦闘をする中、SF1号は蓄積された莫大な情報量から2人が言い放つ言葉の意味合いを引き出す。
SF1号 (仲間!?僕達だって仲間はいる!)
仲間―――物事を一緒に行動し、考える事である。
SF1号は人の形をしたAI達と共にスピリットファンタジーを開発した記憶を思い返す。
SF1号 (思いやりだって…)
思いやり―――相手の事を気遣い、考えてる事に同調し行動する事。人間同士はこの思いやりが強く情が出来上がる傾向があり。しかし、思いやりのある人間は相手の立場になり物事を一緒に考え、支え合い、絶対に絶ち切れぬ団結力を生成する事が可能である。
SF1号は思いやりの言葉に引っかかる。この意味合いを理解するには心を持たぬAIのSF1号にとって不可能に等しかった。それでもSF1号は尊敬する博士との記憶を遡る。
SF1号 (僕だって博士から想い、思い、念い、重い、おもい、OMOI、オモイ、御…モ……I…や…㋷…?)
SF1号は終息する事の無い考えにピタリと動きが止まる。
Seito 「Seika!今だ!雪月花!」
Seika 「うんっ!!一緒にいくよ!天照!」
Seitoは満月のように円を描くと刀を腰辺りに留め力を溜めると刀を斜め下から上に突きあげるように斬り、Seikaは太陽のように輝く光を放出しながら身体の中心を突き刺す。
「「くたばれえぇぇぇえええ!!!」」
SF1号の身体はビリビリと稲妻が放つ中、頑丈でそれでも2人は踏ん張り武器に力を込める。
SF1号 「ようやく…僕が望む人間に出会えた―――」
SF1号はSeitoの腕を握りしめそう呟くと白銀の色をした瞳が閉じていく。
身体は上下2つに割れ、中心部には大きな穴が開くとSF1号は床に倒れ込み端から徐々に光り輝く粒子が空に向い消えていく。
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