第2話 入試開始!
水原冒険者高等専門学校
家からは徒歩十分歩いて電車に乗り、十分使い三駅通り過ぎた水原駅から徒歩十分のところに存在する冒険じゃ高等専門学校だ。
毎年十パーセント、冒険者として排出しているなかなかのエリート校である。
そのため、かなり人気があり、毎年倍率は百倍を超えてくる。
まっ、俺レベルになると合格が確約されてるみたいなもんだけど。
確かに俺は魔法が使えねえ。
けど、剣技なら誰にも負けねえ。
俺が証明してやるよ。
冒険者の命は魔法じゃねえってことを。
冒険者の命は"努力する心"だってことを。
ここか……。
あらかじめエントリーをした際にもらった受験番号の書かれた紙を見る。
『221』
『200〜250番まではこちらの会場へ』
と、扉に貼られていた会場に入る。
試験内容は、学力テスト、魔力測定、実技、面接の四つを2日かけてやる。
今日は学力テストと魔力測定だ。
魔力測定は確定で0点。
そのため、他三つで補わなくてはならない。
正直言って、他三つは満点にならなくては入学は難しいだろう。
会場の中は緊張が肌で感じるほどに皆、集中してテキストをやっていた。
学力テストは国語、数学、英語、社会、魔学だ。
大丈夫、俺なら全教科満点くらい取れる!
つーか、取らなきゃだ。
ここに入学して、俺は冒険者になってやるんだ。
テストを終えた。
全教科満点。
そう言ってもいいほどの自信しかない。
よしよし、いい調子だ!
あとは実技と面接だけ!
どれだけ自分の実力を見せれるか、どれだけ俺の熱意を面接官に伝えられるか、緊張してきたぞ……。
「では、魔力測定を行う。200番から順に呼ぶ、そうしたら会場から外へ! なお、魔力測定を終わったものは帰宅可とする!」
担当者がそう言う。
どう足掻いても魔力0なのだから、やらずにもう帰りたい。
帰って明日の準備をしたい。
かと言って、試験を全て受けたものだけが合否対象者に入ると規定されていたわけだし……早く来ないかなあ。
などと考えていると。
「次、221番!」
俺の番がやってきた。
いよっし。
やっと俺の番だ。
席を立ち上がり、廊下に出て試験管に案内されるがまま俺は隣の部屋に入る。
長テーブルが置かれ、長テーブルの上には一つ紫色の水晶玉が置かれていた。
魔力測定を担当する先生と長テーブルを挟んで対面する。
「ん? 魔力を感じないな……」
先生の開いているか閉じているのかわからない目がはっきりと開いた。
目が合った。
さすがに俺に魔力がないことくらいすぐにわかるよな。
「まあいい……」
先生は一枚の紙を手にして。
「坂本ショウゴくん、水晶玉に利き手を当ててみてくれ」
どうやら、先生が手に持つ紙には俺の情報が書いてありそうだ。
「うっす」
右手を水晶玉に当たると、水晶玉は紫色から青色に変化し光出す。
「……うむ、え?」
ぽかん、と口を開ける先生。
当たり前だ。
こんなエリート高専に魔力0のやつが来るはずがないのだから。
「先生、俺魔力0ですよ」
「……まじか」
「まじっす」
先生は俺の目を見る。
「お前、冒険者に一番大切なのは何か知ってるのか?」
「んなの知ってますよ。でもね、先生」
「ん?」
俺は親指で自分を指差して。
「それは今だけっすよ。近い未来、俺が変えてやるよ。冒険者で一番大切なのは努力だってな!!」
ふん、と先生は笑い言う。
「面白いやつがうちに受験してきたもんだな。一応、聞いておくが魔法が使えなくても受験に合格できる自信はあるのか?」
「当たり前ですよ、なかったら俺は今ここにいねェからな!!」
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