【朗報】魔力なしの冒険者ですが、幼い時から剣技を極め続けた結果、魔法なんて要らなくなりました!
さい
第1話 魔法が使えない?なら、剣技極めればいいじゃん!
十年前──
坂本ショウゴ五歳こと俺は魔力診断にて衝撃な結果を医師から告げられることとなった。
「うん、魔力がなかなかないなって思ってたけど、ショウゴくんの身体は魔力を貯めておくことができないね」
「え?」
何を言っているのか理解できなかった。
魔力を貯めることができない?
それってつまり
「なあに、珍しいことじゃありません。残念ですけどショウゴくんはこれから先、魔法が使えることはないでしょう」
頭の中が真っ白になった。
だって、俺の将来の夢は冒険者になってみんなのヒーローになることなのだったから。
冒険者にとって魔法は命そのもの。
魔法が使えないということは遠回しに冒険者にはなれないということだ。
こんな残酷なことあっていいのか!
当時の俺は将来の夢が叶わないことを知り、酷く落ち込んだ。
「冒険者になれない、冒険者になれない、冒険者になれない……」
車の助手席、ドアに寄りかかり窓から外の景色を見ながら何度もそう連呼する。
運転手の父さんはチラッと俺を見て
「残念だったな、ショウゴ。お前、冒険者になるってずっと言ってたもんな」
「……」
生きる意味がない。
なんてことまで思ってしまった。
「冒険者は魔法が命。魔法が使えなきゃ、冒険者なんてなれない……、父さんはそうは思わんぞ」
「無理だよ、俺は冒険者にはなれないんだ」
「いや、なれるッ!」
父さんの言葉にはどこか自信があるように感じた。
「なれないよ……」
「それはまだ、魔力がない人間で冒険者になったやつがいないからだ。だったらよ、お前が初めての魔力なし冒険者になればいいじゃねえか!」
「どうやってなればいいんだよ、魔法が使えないってのに!」
「んなの簡単だろ。剣技だよ」
「剣技?」
剣技が魔法よりも優れているはずがない。
父さんは一体何を言っているのだろう。
「ああ、そうだ。剣技を極めろ。誰よりも剣技を極めるんだ、そうすれば魔法なんて要らなくなるかも知らないぞ?」
父さんの言葉に、俺の心の中にあった黒いモヤモヤとした不安が吹き飛んだ。
目を大きく見開く。
そっか。
魔法が使えなくても、魔法の分まで剣技を身につければいいんだ!
天才だ。
父さんは天才だ!
「やるよ、父さん……」
「ふん、それでこそ俺の息子だ」
「剣技極めてやるッ!」
「そうとなれば、特訓だな……」
「おう!」
○
そして現在──
ふう、と一息ついた後に俺は三百メートルをも離れた巨大な岩に向かって、剣を縦に一振り振った。
剣からは斬撃が飛び、岩に命中。
一瞬にして岩は真っ二つになる。
「……ふん、きたきたきたァ。やったぜ、親父ィ!!」
「よし、極めたな!! 流石俺の息子ッ!! 今のお前なら冒険者高専なんて簡単に合格だ」
「よーし、行ってくるぜ、親父」
俺、坂本ショウゴ十五歳。
ただいまより、受験です!
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