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と、不意にリベルの手元だけが明るくなった。
思わず後ろを振り向いて見ると、リーシェが小型のライトで照らしてくれている。
「……ありがと」
多少の恥ずかしさを覚えながら、リベルは布が被さった四角くて分厚い形をした目的の物を取り出すことに成功した。
「ねぇ、リベルのお店って何を置いてるの?」
リベルが机までそれを運んでいる間に、リーシェが問う。
その問いかけに、リベルはどう答えようか少し悩んでから口を開いた。
「まぁ……見ての通りというか」
在庫の方へ視線を配る。あまり馴染みがないのは自分もリーシェも同じくらいだろう。
「魔物って知ってる?」
「知ってるわ。私達が生まれる頃くらいまでいたんでしょ?」
リベルは四角い板の布を取りながら、また考えて答える。
「正確には、今も居る所には居る……らしいね。僕達が生まれる十数年前までは活発だったって」
「それと関係があるの?」
「うん。ここの道具は、そういった魔物に対処できるようにするための道具を揃えてるんだ。例えば……」
リベルはリーシェの手や足に視線をやった。
「……どこか怪我してるところある?」
「えーっと……この前手をちょっと切ったかな。まぁ、怪我ってほどでもないけど」
そう言って、リーシェは左手の甲を出して見せた。
たしかにほんの数センチだが傷のようなものが見える。
リベルはそこで、傍らの小瓶から薬草を取り出すと、中の粉を指ですり潰しだした。
「これを傷口に擦り込むんだ……痛かったら言って?」
「ううん、全然」
リベルが優しく擦り込んだ粉を払う。最後に息を吹きかけて粉を吹き飛ばすと、リーシェの手の甲を自身に見えるように持ち上げた。
「ほら、見てみて」
暗い中で、リーシェは自分の手を眼前に近づけてみる。
傷のあった箇所を右手で二、三回擦ってみて、違和感の無さに驚いた。
「すごい! 傷が消えたよ!」
「それがこの店の薬草。多少の傷ならすぐに治るから、旅には欠かせない物さ。今でもこの店じゃ一番売れてるかな」
その言い方にリーシェは多少の疑問を感じた。
「他にはどんなのがあるの?」
「あっちのマントはただの布に見えるけど、羽織るとほんの少しの間だけ姿を隠すことができるよ。隣の棒は自分で消すまで消えない松明」
そこまで聞いて、リーシェは先程の疑問が確信めいたものに変わるのを自覚した。
リベルも自分で話していてそれを悟ったのか、小さな溜息を吐いて付け加えた。
「……まぁ、今じゃどれもほとんど売れなくなっちゃったんだけどね」
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