第28話

 フェアリーたちについていくと、下の方から木々をなぎ倒してゴーレムが近づいてくる。 その後ろに黒いローブの人物が二人いる。


「みんな攻撃!」


「おお!!」


 リーシェの声でフェアリーたちが目をつぶると、水や木、土、石の小精霊が現れゴーレムを押し止めた。


(かなり強い精霊だな) 


「じゃまだ羽虫ども! この間みたいにいかないからな! バグラさまを虚仮にしたことを後悔させてやる! リグレ!」


 バグラは影から虫を大量に放った。 リグレと言われた大柄の黒いローブのものはゴーレムを動かしているようだ。


(バグラとあれはこの間のか、リグレ......)


「はははっ、所詮こんな程度よ! 帰んなさい!」


 そうリーシェは余裕で挑発している。


「なめるなよ! リグレ炎で焼き払え!」


 ゴーレムが炎に包まれる。 そのゴーレムから放たれた炎は瞬く間に森の木々を焼いていく。


「なんだあのゴーレム!?」


『どうやら火の精霊の力もあるようです』


「まずいよ! ぼくたちのおうちか燃えちゃう!」


「水の精霊は!?」


「ここは水が少ないからあまりだせないのよ!」


 おれがきくとフェアリーたちは混乱していった。


「ネオン。 延焼を食い止めて、おれはゴーレムをとめる」


「はい!」


 おれは炎のゴーレムの前にたつ。


「あっ!! お前、私を殴ったあのときの!! リグレあいつは必ず殺せ!」


 ゴーレムがおれに向かってくる。


(マジックオーラで剣に魔力をまとわせ、マジックブーストで体の筋力をあげきる【魔力剣】《オーラブレイド》!)


 剣を振り下ろすと剣先以上に伸びる魔力がゴーレムを両断した。


「あいつすごい!!」


「ええ、すごい魔力よ!」


 フェアリーたちが騒いでいる。


「なんだと!? くっ、くそぅ!! 一旦引くぞ!」


 バグラとリグレは影に消えた。



「何とかネオンが燃えてる木々をおって延焼は防げたな」


「ええ、フェアリーたちの住みかだけは守れました」


「ありがとう二人とも!」


「助かったよ!」


 フェアリーたちは、おれたちの周りを回ってやんややんやと喜んでいる。


「まあまあね。 よくやったわ」 


 そうおれの頭を撫でながらリーシェはいった。


「あいつらは魔王復活のため、モンスター、いや人間たちにも関与してるみたいなんだ。 おれたちと組んで対抗しよう」


「そうだよリーシェ。 【妖精姫】の結界もなくなっちゃったし、このままだとまたあいつらがきちゃう」


「そうね。 この二人は信用できるし、仲間になろうよ」


「うん、それがいい!!」


 そうフェアリーたちはみないいだした。


「まちなさい! そう簡単に仲間になるなんて、絶対信用できるわけじゃないのよ。 妖精姫だって、騙されてつれてかれたじゃない!」


 リーシェはそういうと、飛び去った。


 そういわれたフェアリーたちはうつむいている。


「妖精姫がつれていかれた?」


「ええ、前にね。 外にでたきり帰ってこないの」


「なんか理想郷を作ろうとかっていう人間とモンスターがきて、そのまま行方しれずなんだ......」


(人間とモンスターが...... おれ以外にもそんなやつがいるのか)


 そう思いネオンと顔を見合わせる。    


「元々ぼくたちの領界はもっと大きかったんだけど、モンスターや人間たちがはいるこむようになって、少しずつ追いやられてきたんだ」


「でも妖精姫は他の種族と仲良くしないといけないっていってて......」


(それで人間たちに警戒してるのか。 とはいえ、このままだとあいつらはまた来る何とか信頼されないと......)


 リーシェにあいにいった。


「まだいたの? さっさと帰りなさいよ。 私はあんたたちを信用したわけじゃないから」


「じゃあどうしたらいい」


「......そうねえ。 この先にリフェリアの滝があるの。 そこの魔妖精を倒してみなさいよ」


「わかった。 そいつを倒せば仲間になってくれるな」


「ええ、族長代理のリーシェの名前にかけてね」



「ええ!? だめだよ! 魔妖精はおっかないんだ!」


「そうよ! 私たちだって近づけないんだよ!」


「殺されちゃうよ!」


 フェアリーたちがとめる。


「でもこのままだと、奴らがここにまた来る。 それまでになんとか仲間になってもらわないと」


「じ、じゃあ僕が案内してあげる」


 そう一番小さなフェアリーが手を上げた。


「君名前は?」


「エック」


「わかった! エックたのむよ!」


 おれたちはエックと共に森の奥へと向かった。

 

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